第3話
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※第1話~第4話は短編とほぼ同じです。既に読まれている場合は第5話からどうぞ!
※カフェでの水かけシーンを変更しておりますが、ストーリーに影響はありません。
「アレ? ひょっとして青山さん?」
ガタイのいい少しイケメンの男を連れた清楚な感じの、美人と呼んでもおかしくない女性が、青山さんに声を掛けてきた。
大学の同級生か何かかな……。
「……どうも」
「なあんだ、青山さんもこのカフェ利用するんだー」
そう言うと、なぜかこの女の人は砕けた感じで笑った。
……なぜだか分からないけど、チョット嫌な感じがするのは気のせいかな……。
「……って、ふうん……」
女の人は、今度は俺をジロジロと見た後、ニヤニヤとした表情を浮かべた。
「なるほどねえ……アレだ、大学じゃみんな、青山さんのこと男だって勘違いしちゃってるもんねえ? だから、高校生の男の子をつかまえたってわけだ」
「っ!? ち、違います!」
青山さんの知り合いなのかもしれないけど、ちょっと今のはさすがに言い過ぎなんじゃ……。
「えー? だって、この前だってゼミで女の子からは逆ナンされて、男の子達からは舌打ちされてたじゃない? イケメン過ぎて」
「そうなの?」
同伴の男が、一緒になってニヤニヤしながら女の人に尋ねる。
「そうそう! で、結局ゼミでも仲間外れで、いつも一人でいるのよねー! カワイソウ」
「……………………」
「なんていうか、男に生まれてくれば良かったのにねー「はあ……ダセ」……って、ハア!?」
青山さんに絡むこの下品な女に向かって俺が呟くと、耳ざとく聞いていた女は醜いほど顔を歪めた。
「チョット! アンタ何言って……」
「や、だから青山さんが自分より綺麗だからって、やっかんで絡んでくるのがダセエって言ったんすよ。それにここカフェなんで、他の客に迷惑っすよ? 常識ないんすか?」
「正宗くん……」
俺はこれ以上この女の声を聞きたくなかったんで、被せるように矢つぎはやにディスってやった。
つーかこの女、マジでムカつくんだけど。
すると、隣の男がこれまた顔を歪めながら凄んできた。
なんだろ、女の前でいいカッコしたいのかな。クソダサイ。
「テメエ! チョットコッチ来いよ!」
「は? イヤに決まってるでしょ。なんで行かなきゃいけないんですか? バカですか?」
どうやらこの言葉が引き金になったらしい。
気がつけば俺は男にぶん殴られて、目の前が真っ暗になった。
◇
「……アレ? 俺……」
「っ! 正宗くん!」
目を開けると、心配そうに、そして泣きそうな表情で覗き込む青山さんの顔があった
「青山さ……イチチ……」
「だ、大丈夫!? ま、まだじっとしててください!」
起き上がろうとして、青山さんに慌てて止められた。
ていうか、後頭部がフワフワというか、フカフカというか、すごく柔らかくて気持ちいい感触がするんだけど。
って、えええええ!? 俺、青山さんに膝枕されてる!?
「あ、お、俺……!」
「まだダメです!」
慌てて起きようとした俺を、青山さんはまた抑えつける。
「ぐす……ホントにもう……」
「ええと、すいません……」
とうとう涙を零してしまった青山さんを見て、俺はたまらず謝ってしまった。
「あの……それで……」
「あ、うん……説明しますね……」
どうやら俺は殴られた後、意識を失ったらしい。
で、殴った張本人はというと、店の人に通報されて警察に連行。あの性格がクソ悪い女も一緒に連れて行かれたってことらしい。
「それで、警察の方が正宗くんにも事情聴取したいからって……」
「ええー……メンドクサイ」
できれば、あんな奴等とは関わりたくないんだけどなあ。
「だけど、ちゃんと被害届も出したりしないといけないですし……私も一緒に行きますから……」
「はあ……」
青山さんにそんな顔で言われたら行くしかないよなあ。
「あ、そ、それと……ごめんなさい、私のせいで……」
「や、青山さんのせいじゃないでしょ。悪いのは全部アイツ等」
「ですが……」
だけど納得できないのか、青山さんは落ち込んだ表情で俯く。
「ホラホラ、そんな顔似合わないですよ? せっかくそんな綺麗なのに」
「わ、私がですか!?」
「? そりゃそうでしょ。他にいませんから」
「あわわわわわわわわ!?」
青山さんは顔を真っ赤にして、両手で顔を覆う。
ナニコレ、反応も超可愛いんだけど。
「そろそろ痛みも引いてきましたし、それじゃ、そろそろ行きましょうか」
「あわわわわ……あ、そ、そうですね……」
で、俺達はカフェを後にし、渋々警察に出向いた。
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