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第100話

ご覧いただき、ありがとうございます!


「えへへー! センパイ、待ってましたよー!」


 昼休みになり、俺は佐山の教室に顔を出すと、佐山は嬉しそうにしながら俺のところに駆け寄ってきた。


「それで、選挙管理委員の選定について、ですよね?」

「ああ、経緯を詳しく聞きたいんだ」

「でしたら、一緒にお昼ご飯食べながらゆっくり丁寧に説明しますね!」


 や、できれば簡潔かつ速やかに教えて欲しいんだけど。

 とはいえ、佐山のお尻からブンブン、と激しく振られているバーチャル尻尾も見えてるし……仕方ないなあ。


「んじゃ、中庭にでも移動するか。弁当はあるのか?」

「はい! ちゃんと持ってますよ!」


 そう言うと、佐山が俺の目の前に弁当を掲げた。


「よし、行くか」

「はい!」


 というわけで、俺と佐山は中庭にきたわけだけど……。


「……なんで他の生徒からジロジロ見られてんだ?」

「……さあ?」


 いつも環奈とメシ食う時はこんな視線を感じることはなかったんだけどなあ……?

 俺と佐山は首を傾げるばかりだ。


 まあいいや。


 俺達は芝生の上に座り、弁当を広げる。


「うわあー! センパイのお弁当、美味しそうですねー!」

「だろ? 姉ちゃん特製だ」


 そう言って、俺は早速弁当に入っている定番のだし巻き卵を頬張る。

 うん、今日も美味い。


「あ、セ、センパイ、私のも食べてみてください!」


 佐山は少し恥ずかしそうにしながら弁当箱をズイ、と差し出した。


「え? いいのか?」

「はい! 特に春巻きがオススメです!」

「じゃあ遠慮なく……」


 俺は佐山オススメの春巻きに箸をつけると、そのまま口の中へ放り込む。


「むむ!」

「あ……お、美味しくなかったですか!?」

「美味い! 美味いぞ佐山! このパリッとした衣の中から、とろりとした春雨がたっぷり入った餡が口の中に広がって……うむ! ごはんが進む!」

「! あ、あは、もう驚かさないでくださいよおー!」


 俺が感想を伝えると、不安そうにしていた佐山の表情がぱあ、と明るくなった。

 うむうむ、こういうところは佐山も女の子だなあ。


「おっと、それで選挙管理委員の選定なんだけど、アレってどうやって選ばれたんだ?」

「あ、はい。そもそも選挙管理委員は、各学年のクラス委員の中から、学年ごとに二名ずつ選ぶんですよ。で、当然ですけどそんな面倒くさそうなものになりたがる人もいないわけで」


 そこで一旦区切ると、佐山ははむ、とごはんを頬張ってモグモグさせてる。


 だけど、まあそうだよな。俺でも、そんなモンに選ばれたら断固拒否するよなあ。


「ところがですね……今年に限って、自分から委員になるって言い出した変態がいるんですよ!」

「何だって?」

「ええ。一年生からは二人、二年生から一人も」


 変態ってフレーズは置いといて、立候補するバカがいる時点で怪しすぎるんだけど!?


「そ、それで、その立候補した三人はどんな奴なんだ?」

「うーん……委員になりたい変態だとは思いますが、とりたてて普通だとは思いますよ?」

「でも、例えばだけど杉山と接点があったりするんじゃないのか?」

「それはないですね」


 俺は委員に疑いの目を持つが、佐山はキッパリと否定した。


「どうしてだ?」

「選挙管理委員には、立候補者と関係する人は不正防止の観点から選ばないんです」

「じゃあ、今回の委員には……」

「はい、一応環奈さんや杉山に関係する人かどうか裏を取りましたけど、そういった事実はなかったですねー」


 うーん……じゃあ、そもそも不正目的じゃなくて、純粋に選挙を良くしようと思って提案……って。


「そんなわけあるかよ」

「? センパイ?」


 や、委員への立候補といい投票券といい、明らかに杉山に有利にするために動いてるようにしか思えねー。

 委員と杉山、どこかに接点があるはずなんだけど……………………あ。


「と、ところで佐山。その立候補した委員達と、杉山本人じゃなくて杉山と関係のある奴との接点はあったりしないか?」

「へ? あ、うーん……さすがにそこまで裏を取ったりはしないので……」

「そうか……」


 だけど、例えば杉山がサッカー部の同級生や後輩を使って委員になるように根回ししたら?

 杉山が、委員になった奴にどんな見返りを用意してるかは分からんが、調べてみる価値はあるんだろうけど……。


「ふう……こりゃ調べるにしても、範囲が広すぎて手に負えねーな……」

「あはは……センパイも大変ですねー……」

「まーな。でも……これが環奈の力になるんなら……」


 俺は苦笑しながらも、気合を入れるために拳をギュ、と握った。


「あ……センパイ、そ、その!」


 すると佐山が少し複雑な表情を浮かべたかと思えば、今度は真剣なまなざしで俺に話し掛けた。


「? どうした?」

「あ、そ、その……今日の放課後! 私にセンパイのお時間をください!」

「え? あ、ああ……」


 そんな佐山に、俺はあいまいながらも首を縦に振った。


「よ、よろしくお願いします!」


 深々と頭を下げる佐山。

 その肩は、少し震えているようにも見えた。


 あ……ひょっとして……。


 そんな佐山の目的が、俺にはなんとなく予想できた。


 だけど……。


 俺には、佐山をただ静かに見つめることしかできなかった。

お読みいただき、ありがとうございました!


この「イケメン大学生」も気づけば100話到達です!

これも応援、お読みいただく皆様のおかげです!

この場をお借りしまして、厚くお礼申し上げます!


これからも皆様にお楽しみいただけるよう、精一杯物語を紡いでまいります!


また、新連載しました「俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ」も併せてどうぞよろしくお願いします!

下のタグから行けますので、ぜひぜひご一緒にお読みください!


少しでも面白い! 続きが読みたい! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[一言] どうして続きを出してくださらないんですか? それから、はるさんファンの僕からすると、環奈ちゃんに傾きかけてるのが、とても焦れったいです笑笑 お待ちしてますので、続きよろしくお願いします。
[良い点] 100話の大台突入、おめでとうございます!! 選挙編も盛り上がってきたところで、更に佐山ちゃん!? どーするんだろう……
[一言] 100話到達おめでとうございます。お疲れ様です。 メインの3人との話は一息、の感じですが。彼女たちは誰も切り捨てる事はできなかったけれど、後輩さんにはきちんと断れるのかなあ、と。
感想一覧
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