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天使A視点

「こ、怖かったですね。あれが本当にメリッサ様の転生体ですか?」

水鏡(みずかがみ)を覗き、天使の一人が言う。

「ええ、でも本質は変わっていなかったじゃない。

優しいあの方・・・。」

サラス様はそう答える。

「ええっ。今の様子からわかりますか!?」

「まあ、ラルクがかなり警戒されていたからじゃないかしら?

さっきの様子は・・・。

轢かれそうな人をかばったところを見たでしょう?」

「ええ、殺しにかかってきた相手をかばったのは・・・。」

「それにあの女の子をかばっていた。」

「ええ。」

「それこそが本質。

まあ、私の知り合いの子の巫女の影響で言葉遣いというか性格はちょっと悪くなっていますが・・・。」

「それだけじゃないだろう?」

声がした方を振り向くと、

全能神がいた。

「ええ・・・まあ。」

少し視線をそらす。

「天使ちゃん、いいことを教えてあげよう。

さっき急いで調べたんだけどね。

その巫女さんがね。

ドMだったんだよ。

そして彼女は考えたんだ。

ドSの王子様がほしいと・・・。」

全能神は額に片手を当てている。

「そしてね。

あろうことかその役目を自分の弟に与えた。

可愛がっていた、それでいて優しい弟だったから、

聞きいれてくれると思ったらしい。

そして、できたのは彼さ・・・。

まったくやってくれたものだよ・・・。」

両手で顔を覆っていた。

「僕の嫁さんの転生先に・・・。

僕はどんな子か楽しみだったんだ。

そしたら、轢かれそうな相手、たとえ自分を殺そうとした相手でも助けたのを見たときは、ああ、あの子だって思ったよ。

会ってみたら、あれだよ。

僕に厳しすぎやしないかい?

僕はそりゃあもう耐えたさ。

どんな目を向けられようと・・・言葉を浴びせられようと・・・。

でももう僕にまともな笑顔すら見せてくれないなんて・・・。」

確かにあの笑顔は心底馬鹿にしていた・・・。

もう見ていられないくらい悲痛だった。

「それにもうあの経験を経て、

魂が変質したようで自分に危険があると判断したら、

間違いなく誰であろうと殺すよ彼は・・・。

絶対に人助けなんてしない。

もうどうしたらいいんだよ。」

泣きだしてしまった。

女神さまはもう逃げ去ってしまった・・・。

「まあ、全能神様、元気出してください。

彼をそう判断するのは早計かもしれませんよ。」

私も正直、全能神様に賛成寄りだけど・・・。

「そうだ!

彼の行く末を見て判断しましょう。

うん、それがいいですよ。」

お願いします。

 さま、どうかあなたの魂がかけらでも残っていますように・・・。

水鏡の前に座り込む全能神・・・。

こんな姿は見たくなかった。

そして水鏡に彼の姿が映る。

それからのことは言うまでもないだろう。


そしてそのとき、全能神は気づいた。

「ああ、特典・・・渡していない・・・。」

と1人、青い顔をして。


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