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そして絶賛落下中・・・。
さあ、一瞬のうちに思考を行うしかなさそうですね。
久々ですが・・・。
世界が止まって見える。
地面が見えてきた。
落下できそうな場所は・・・。
視界に入るもの。
(岩)山、森、草原・・・。
落下の安全を考えるなら、森か・・・?
だが、あの神のことだ。信用ならない。
たぶんだがセーフティーか何かを仕込んでいる可能性が高そうですね。
なら、山ですか・・・。
あそこは明らかにやばそうですね・・・。
さっき飛行する何かが見えました。
空を制されたら、まず何があっても対応できないですし・・・。
草原には飛行物体の気配はない。
それに町が先に見えますね。
さあ、決まりましたね。
思考を止める。
世界は動き出す。
丁度良さそうな風が吹いてきた。
よし、流れに任せましょう。
私は流されていく。
草原に向けて・・・。
4人の男女とオーク3体が戦っていた。
青年と若い女性がオークを押え、
魔術師の男が一体のオークに魔法の矢を浴びせていた。
少女は適宜回復、
そんな状況で戦況は若干押されていた。
「おい、どうしてこんなところにオークなんていやがるんだ。」
と言う勝気な青年。
「知らないわよ。
だから、予定のゴブリンを狩り終えたら、
帰ろうって言ったじゃない!」
気の強そうな女性がそう言う。
「2人とも、そんな場合じゃなさそうですよ。」
眼鏡をかけた青年がそう言う。
「そうです。
2人ともしっかりしてください。」
少女がそう言う。
「でも、こいつらはCランク相当・・・。
Dランクの俺たちじゃあ1体が限度だろう・・・。」
「で、ですが・・・なら、どうすれば・・・。」
私は支援しかできない・・・このままじゃあみんなが・・・。
小さな女の子は決意を込め、声を張り上げる。
「わ、私が囮になるので、みなさん逃げてください!」
「こ、この相手じゃあ、無理だ。
むしろお前だけでも逃げろ。」
「そうよ。あなたは幼いんだから・・・。」
「そうですね。大人の私がするべきでしょう。」
「み、みなさん。」
そんな会話をしていたのを知ってか知らずか、
空から何かが降ってきた。
ドォ~ン。
「ちっ。
読み違えましたか・・・。
まさかなにも仕込みがないとは・・・。
ここはいったい・・・。」
周りを見渡す。
オークと目が合う。
「フゴッ?」
うん?
夢ですかね?
まさか・・・駄神、転生とは言いましたが・・・異世界ですか・・・。
見たことのない存在・・・。
頭が豚・・・。
「失礼。邪魔しましたね。
さて、町を目指しましょうか?」
私は見なかったことにして町を目指す。
邪魔しちゃ悪そうですからね。
ふと、裾を掴まれた。
「た、助けてください・・・。」
うつむいた顔を上げ、僕に頼み込む。
「お嬢ちゃん?
私が強そうに見えるんですか?」
前はこれでいけました。
自業自得の方の時はこれで・・・。
「はい!」
すごくいい笑顔で返してきた。
希望を見つけたような・・・。
はあ。
「なんでそう思うのですか?」
私はそれなりに細身で身長はそれほど高くない平均程度。
ただどこかオーラがあるとは言われますが・・・。
「ステータス見えますから・・・。」
何を言っているのですか?
と言った様子だ。
「すごい隠蔽を持っているのにしないなんてどうしてですか?」
・・・・・・あの駄神。
「お嬢ちゃん、交換条件です。
私があの豚を屠るから、
その代わり、ステータスの見方とその隠蔽の使い方を教えてくれませんか?
それと私のステータスは内緒です。
できますか?」
「はい。」
指切りをする。
「指切りげんまん嘘ついたら、殺す、地獄に落とす、二度と日は見れない~。
指切った。」
「・・・・・・絶対に守ります。ふるふる。」
「さて、代わりますか。」
眼鏡が何やら唱えているところに行く。
「そこの眼鏡さん、退きなさい。」
蹴り飛ばし退かす。
「な、何をするんだ。」
「邪魔です。」
わかりませんが、たぶん人間と急所は同じですかね・・・。
ただ、丈夫そうにみえます。
顎に掌底を放ち、
腹を蹴り飛ばす。
あ~あ、上着が・・・汚れました。
てか、あの駄神、服の穴くらい塞ぎなさいよ。
ほとんど原型とどめていませんね。
Yシャツは軽い穴と血程度だったが、上着はところどころ破れ、土や血で汚れていた。
上着を脱ぎ棄てる。
まあいいです、
さて、とどめを。
立ち上がろうとしたオークの首目掛けて蹴りを放つ。
バキッ。
ああ、嫌な音ですね。
一応、もう一撃。
ボギッ。
よし、これで粉々ですね。
女性が視界に入る。
「流石に女性は蹴れませんね・・・。」
女性がオークに一撃を受けそうなところを肩をつかみ、
後ろにそらす。
「大丈夫ですか。
代わりますよ。」
「・・・はい。」
なんか面倒な予感がした。
まあいいです、
さて、やりますか・・・。
「さっきの眼鏡さんが言っていた言葉、何となく聞こえたましたね・・・。
・・・魔法の矢。」
手にそれなりの大きさの矢が現れる。
なるほど・・・手の中にイメージしたら、
そのようになった。
それに、血液以外に体中に廻っているものがあることにも気付けた。
・・・この取引、意外と悪くなかったかもしれませんね・・・。
「さて、刀・・・ですかね?」
もう一人の面倒な方に昔、剣道をやらされましてね。
あれは叩くのが主体ですが。
アレの付き合いで真剣を持つ機会がありました。
居合いをやらされたことが・・・。
・・・あの時の感覚を思い出せばいいですかね・・・。
さっきの矢を作り変える。
硬度もあげ、切れ味も・・・。
体中をめぐる何かをより手の中に集める。
すると光を放ちながら、形を変えていく。
こんなものですかね?
あの時の日本刀に近い。
ただうっすらと透けた刀だ。
折れそうな・・・。
刃を横にして、地面に叩きつけてみる。
これで折れないどころか曲がらないほどですか・・・。
すばらしい!
オークは律儀に待っていた。
「律儀ですね。」
「フン。ジュンビ、ワ、オワッタ、ノカ。」
「へえ、喋れるんですか?」
「・・・・・・。」
「律儀に待っていてくれたお礼に、
私も名前を名乗りましょう。
椿 氷華です。」
刀を1度振るい、
消滅させる。
「以後・・・いや、これはいいですかね。」
「ナンダ?アキラメタ、ノカ?」
「いえ、もう終わったんですよ。」
「ハア?」
首が横にずれていく。
「グハッ。」
崩れ落ちる。
目線をもう一体の方に向ける。
「さて、残りは・・・って終わっていますね。
さすがに私だけに任せたりはしませんでしたか・・・。」