15 『危惧するティーナ』
クレアに起こされたアクアは疲れていた身体を無理やり起こした。
「……もー、何? さっきまで二人で話してたじゃん」
そして、不機嫌である。
「ごめんごめん、せっかく集まったんだから三人で遊びたくって」
「うん、時間もあるし……あ、でも私はくすぐったりしてないからね」
二人の言い分を噛みしめるように聞いた後でアクアは髪を弄りながら目を閉じた。
「はぁ……クレアちゃんがそういうことするのはなんとなく分かってたし、仕方ないかぁ」
「えっ、私が悪いの? なんか私だけ罪に問われてる感が拭えないんですけど!?」
クレアの叫びは聞き届かず、アクアは勝手に納得したようであった。
その後はいつも通りに三人で色々なことをして遊ぶこととなった。
川をクレアの火魔法で爆破したり、ティーナの風魔法で空中浮遊してみたり、アクアの水魔法が魔力不足で不発に終わり、三人で爆笑したりとなんだかんだで楽しい一日を満喫した。
時間というのはあっという間に過ぎていく。
楽しい時間ほどそれが短く感じられるというのはお約束のことであった。
「あはは、クレアちゃんもティーナちゃんも面白すぎる!」
「アクアちゃんこそ」
「ね、水魔法が変になって、クレアちゃんに大量の水が掛かるなんて思わなかった」
アクア、クレア、ティーナはそれぞれ笑い合いながら服を汚してティーナの家の庭にいた。
必死に濡れた服から水を絞ろうをするクレアの姿にアクアとティーナは笑い、クレアも貰い笑いをする。
しかし、このように可笑しく笑っているのは、アクアが疲れていたのと魔力が枯渇していたからであり、結果的にある意味特訓の成果が出たと言えなくもない。
だからこそ……。
「アクアちゃんが疲れてて良かったね」
クレアはアクアの方をまじまじと見つめてそうふざけたように告げた。
「……それ皮肉にしか聞こえないんだけど」
「ごめん、私もアクアちゃんに賛同」
「えっ、なんでよー。私なりに褒めたつもりなのにー!!」
クレアは本気でそう思ったいたのだが、どうやらアクアとティーナには響かず、ただの皮肉に聞こえてしまったようであった。
勿論、二人とも本気でクレアに対して軽蔑した目を向けていた訳ではなく、あくまで仲間内でのちょっとしたジョークみたいなことである。
ポカポカと可愛らしい音を立てながらクレアはひたすらにアクアの肩を叩き続け、痛いと言いながらも苦笑いをするアクアは心なしかとても嬉しそうであった。
そして、ティーナもその光景を微笑ましく眺めていた。
そんなこんなで、お昼時。
三人は昼食をそれぞれの家で食べるため、今日のところはここでお開きとなった。
「じゃ、お昼食べてきます!」
「じゃ、私もお昼食べてきます!」
クレアがノリノリでそういうと真似をするようにアクアも同じことを言った。
「分かった。じゃあ、また明日かな。今日は楽しかったよ、またね二人とも」
ティーナは二人に手を振り、それに二人も手を振り返した。
クレアとアクアの家はそこまで距離が離れているわけではないが、ティーナの家は二人の家とはそこそこ離れている。
なので、クレアとアクアは帰り道が遠いことを憂鬱に思いつつも、二人で楽しそうに話しながら帰っていった。
二人の姿が見えなくなると、ティーナも手を振るのをやめて家の中へとトボトボ入っていった。
あと三年……あと三年。
ウェアスさんがなんとかしてくれていればいいんだけど……。
もしも、あの二人に奴らが接触しようものなら、その時は……。
一人、未だにここらをうろついている魔人のことを警戒しているティーナは深い深い乾いた息を吐いた。
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