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プロローグ『ジムノペティとモノローグ』

注釈 ジムノペティは古典音楽です。以上。

 はてさて、俺の物語はどこへ向かおうとしているのやら。

 特徴もない、ジムノペティが好きな普通の男子高校生だったのだが。


 学校の教室の一番後ろの窓際の席で顎を突きながらボーっと外を眺めながら、耳にイヤホンをつけて今日の夕飯の事を考える日常が好きだった。


 退屈ではある。


 しかし、その退屈さはジムノペティによく合う。

 何も無い日常を好んで波風立てずに、息を潜めるように生きる。

 孤独を愛し、他人とは距離を置く。


 和気藹々と話すのはジムノペティには合わない。

 優しさを感じる静かな音色は冬の人のいない教室こそが至高。

 現在の季節は夏だが。

 まぁ蒸し暑いのも一興。開けた窓から入る風がカーテンを巻き上げるシチュエーションに心トキメクものだと思ったりも。


 友人がいないからジムノペティを好きになったのか、ジムノペティが好きだから友人がいないのか。


 自分の好きな物を言い訳の道具にはしたくはない。

 ジムノペティは俺の人生であり青春なのだ。

 灰色の高校生活をより灰色に塗りたくるその曲に惚れ惚れする。

 まるで映画のワンシーン。アニメのワンシーン。

 一人でいる事に何の意味も無いはずなのに、そのBGMを流せば一人の主人公の出来上がりだ。

 世界を俯瞰して見て、少しだけ物思いに耽れば、孤独を超えてもはや孤高。

 何か高尚な物語が始まっているようで、ワクワクするではないか。


 勘違いはしない、俺が高尚ではなく、ジムノペティが高尚だという事を。

 俺はその気品に溢れた音色のお零れにあやかっているだけの、結局のところ普通の高校生、それも、最底辺と自負する。


 別に、友達がいない事が人として欠如しているとも俺は思わないが、俺みたいな人間は失敗作な気がしてならない。


 人間失格である。太宰を読んだ事はないが。

 深淵に嵌りそうで怖い。


 自分の事を卑下したような事をツラツラ語ったたが別に意味はない。というか、中身も無い。ただイヤホンから流れるジムノペティに合わせたモノローグを語っているだけだ。


 全部嘘かもしれない。

 本当かもしれない。

 そんな事はどうでもいい話。


 要は俺がジムノペティを好きな普通の高校生だったという事を知って欲しいだけなのだ。

 さて、そろそろジムノペティも鳴り止みそうだ。

 惜しくもあるが、そろそろ物語を始めないといけない。


 ただのジムノペティ好きの普通の物語を語ろうじゃないか。


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