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8話 俺、驚愕する

ふわふわのゆるく巻かれた髪は、王族らしいプラチナの髪、金目であった。


「ぁ、ティア!」

ハルは彼女に向かって、手を振る。


「ぁ、ティア!じゃないです!もう、私との約束をお忘れですか!?」

ティア、ということは彼女が第一姫なのであろう。


ずんずんと、ハルのところまで歩いてきた。


「大丈夫だよー。すぐ、ティアも迎えに行くつもりだったんだから~。

まぁまぁ、今度パーティするから、お誘いしてたんだからー。ねー、いいでしょ?」

ティアの手を取って、にこっと笑う。


「それは、えっとポルンの料理もあるの?」

笑みに気を取られたのか、ぽかーんとした表情になりつつも尋ねる。


「というか、全部あたしのプロデュースよ」

腕がなるわーと、腕まくりするそぶりを見せた。


「ティアも参加してほしいな?」

その言葉にティアレーナは落ちた。


「もう、仕方ありませんわね。ポルンの料理はとってもおいしいですからね!」


『ハルの作った料理はちょーおいしい!』


ぁ、たしかにさきにそっくりだ。笑った顔も似ている。


「じゃ、決定ねー。お祝いの名前は、祝こんちゃん入学&パーティ作りだね!」

にこにこっと笑う彼女は、変なパーティ名を付けている。


「ぇ、俺!?」

まさか、ここで自分のことが出てくると思っていなかったので、驚いてしまう。


「当たり前じゃない。こんちゃんが、せっかくパーティを作ったんだから!」


「で、でもさ」

ハルは俄然にやる気を出している。


「それにさ、こんちゃんと一緒になるこのメンバーさんらはずっと、何かない限り一緒なんだからね?」

一年ごとにパーティは変わるわけではないようだ。


「一年だけ、ってわけじゃないんだ」


「んー、前は確かに一年ごとだったんだけど。せっかく出来たパーティの絆を割くのはねぇ、得策じゃないということ。

ま、反りが合わなくてケガさせたとか。色々あれば、そりゃグループ交換させられるけど。でも、そういったのはあまりないかな?」

んー、と指を顎に当てつつハルは答える。


「嘘言っちゃダメよ。ポルン。

あたしにつきまとってきたメンバー、全員治療院送りにして、私たちを2人パーティにさせたの、知ってるんだからね」


おや、これはひどい。

治療院、とは治癒魔法では治らないケガなどを治す場所である。全治1カ月レベルものだ。


「だって、ティア。ティアさ、あの子らに泣かされてたじゃん。それに、なんもしないのに高評価とか酷くない?」

どうやら、3人はティアレーナ様を蔑ろにしてきたみたいだ。


それを、ハルは怒って治療院送りにまでした、ということかな。


「でも、治療院送りはよっぽどだと思うけど?」

まぁ、全治1カ月ならね。


「あたしのケロちゃんに負けるくらいの弱さなら、パーティにはいらないから」

ケロちゃん、とはケロべロスのことかな。


そういや、いたな。

何故か、図体だけはデカい三頭魔獣だった。

ハルにこびっていた、猫みたいなやつだった。


「だから、アイツらは一回ここらで根性を叩き直すべきなの!」

まぁ、本によるとケロちゃんである三頭魔獣はギルドパーティSランク10組レベルだそうだし、それはハルを敵に回した方が悪い気がする。


「3人になって、苦労してるじゃない」

もう、というティアレーナさまは優しそうだ。


蔑ろにされていたのに、慈愛の心を持っている。聖女の卵を持つだけはあるらしいな。


「ふん、野生の地竜にコテンパンにされたらいいのよ」

その完成なる聖女スキルを持っているはずの彼女は、魔王らしい言い草だ。


あ、完成なった魔王スキルも持っていたわ。


「ポルン、地竜にコテンパンにされたら死んでるよ」

しっかりと、ティアレーナさまはハルにツッコミをいれている。


「でも、あたし。地竜は楽勝に勝ったよ?」


「あれ、ギルドランクAパーティ3組くらいで倒すレベルなんですけど」

ハルの戦闘能力はけた違いになってきているからな、何があっても可笑しくない。


「ふーん、地竜が子どもだったからかな?」

地竜の子供はワニのようで、ギルドランクBパーティで討伐できる。


「普通の成竜だったよ、あの遺体は」

はぁ、とため息をつき、ティアレーナさまは思いだしているのか手を頭に置いている。


相当苦労したのだろうな。


「またまた、ゴマすってー」

だが、ハルは呑気に言っている。


「事実だから!」

ティアレーナさまは、嘘じゃないと言っている。


「いや、そんな嘘言ってもダメだよ。お姫様が嘘言っちゃダメなんだからね?」

まるでお母さんがこどもの嘘を見抜いているように言う。


「だから、嘘じゃないってー!」

けれど、お母さんの勘違いです!それ!


あー、第一姫。めっちゃ苦労してる!


「さすが、ポルンさま」

うん、カティアはハルに夢中なのはわかったから


いつのまにか回復していたカティアは、まるで聖女を見るように敬愛の眼差しをしている。

というか、ハル。いつのまにか、レベル上がってるな。


ポルン・メイドビー(9歳)

前世名: 井村 遥(山川 遥)

『人族』『貴族らしきの女の子(一応血縁関係で言えばは貴族)』『転生者』『8888兆8888億8888万8888人目の死者』『隠されし者』『王女の親友』『王女の側近』『王女の守神』『龍殺し』『ダンジョン王』

レベル:93(+94)

魔法:計測不能(全属性)

体力:100

精神力:2000

スキル

『鑑定』『空間魔法』『テレパシーフォン』『万能再生』『スキル倍効果』『無生物創造』『転移攻撃』『転移防御』『吸収放出』『武術奥義』『魔術奥義』『全反射』『呪い無効化』

ユニークスキル

『運』『料理人および造酒職人』『吸収複製』『マジックボックス』『全表示』『魔王』『全スキル使用可能』『フラグ察知能力』『フラグ折り』『全智全能』『聖女』『勇者』『覇王』『変身』『魔術具生成』『魔法器具生成』『全召喚』


しかも、前までなかった勇者のスキルまで持ってない?

あと、覇王ってなに?

しかも、王女の親友、王女の側近、王女の守神、龍殺しとか、ダンジョン王とかなんか格までついてるけど!?

王女関係は分かるが。

なに、ダンジョン王って!

ツッコミたい、すごく、ツッコミたい


「どうしたの?こんちゃん」

まだ近くにいたユースロが不安げに見上げてくる。


「ハルが、すごい立派になったなぁって思って。」


「ハルって、ポルンさまのこと?」

カティアが尋ねてくる。


「そうだよ。昔から、こんちゃんはあたしのことハルって呼んでいるんだよ」

最早貴族のカケラもない口調で、ハルは喋る。


ぁ、貴族の長女っていう格だったのに。いつのまにか、貴族らしきの女の子(一応血縁は貴族)になってる。

ステータスで貴族として、認められなくなってる。。


「ポルン、私もハルと呼んでいいかしら?」


「いいよ、ティア!むしろ、呼んでくれてありがとう!」

ハルはとっても良い笑顔で、にこっとした。


「姉上」


「あら、アヴァンス。ごめんなさいね、彼女に構ってたから、言うのが遅れてしまったわ。

学園へ入学おめでとう」

ティアレーナさまは天使のような笑みを浮かべて、アヴァンスへと声をかける。


「ありがとうございます、やっと姉上につきまとっている無粋なモノを目にすることができました」


「無粋なモノ?」

ティアレーナさまは分からないようで、頭にハテナを出している。

「おい、侯爵家だからといって!いくら名声が欲しいからといって、姉上にずっと付きまとうのは迷惑だと分からぬのか!?」

と言ってアヴァンスが指を指したのは、ハルであった。


「んー、これはなんか嫌なウワサを流されているわねー」

はぁ、と小さくハルがため息をつく。


「おい、メイドビー!」

アヴァンスがもう一度、大きく声を上げる。


「アヴァンス、いくら王子だからといって私の友達であるポルンを呼び捨てにするのは許しませんよ!格が上だからと言って、年上の人を呼び捨てにするものではありません!」

しかし、ハルが言う前にティアレーナさまが止める。


「で、ですが。ティア姉様!」

それに悲痛な顔をしたアヴァンス。俺は、もしやと思って鑑定を彼へとしてみる。


アヴァンス・クリスト・パロワーズ(7歳)

『人族』『王族の第一王子』『姉上大好き』『姉上と一緒にいたい』『姉上を守り隊!隊長』

レベル:1

魔法:50(炎・水・光)

体力:25

精神力:35

スキル

『鑑定』『空間魔法』『王子のオーラ』

ユニークスキル

『勇者の卵』『剣生成』『魔法操作』


「なんじゃ、こりゃー」


「どうしたの?こんちゃん」

またユースロが心配をしてくれる。


「い、いや。殿下は本当にティアさまのことを大事に思ってらっしゃるんだなーって」

まさか、鑑定しているとは誰も思っていないだろう。


「当たり前だろ!私の姉上なんだぞ!」

俺の言葉に、アヴァンスはいち早く反応する。


「ぁ、あの。もしや、ポルンさまですか?」

アヴァンスにくっついてきてポルンに興味を示したのか、レティシアが尋ねてくる。


「はい、私がポルンです。たしかあなたは、今回数多に渡る試験を合格されたという一般からいらしたレティシアさんですね?」


「は、はい!あ、あの、ポルンさまに、お会い出来て嬉しいです!

そして、ありがとうございます!」

レティシアが急にハルに向かって、綺麗な礼をする。


「お、おい。レティシア!?」

その様子にアヴァンスは慌てる。


「ポルンさまは、私の村がオークに襲われているときに颯爽と現れて助けてくださいました。あの日、私たちは死ぬ運命だったのに、オークを一撃で亡き者にし、傷ついた者たちを全員治療してくださいました。

また、オークの魔核までくださり、村を復興させてくださいました!」


「ん、それって、一年前のヤマサ山手前の村の話だよね?

たしか、山で炎龍が突如出てきて、スピンビートが出てしまって、オークが村に行ったんだよね」


「ぇ、あの炎龍事件!?」

サハクが驚いている。ちなみに、アヴァンスも言葉が出ずに驚いている。

え、なにそれ。俺はその事件は知らない。


嫌な予感しかないが、それってまさか。


「あたしが炎龍を討伐して、オークを狩りまくったよねー」

あぁ、やっぱりお前はそこにいたのか。


どうやら、この炎龍で彼女は龍殺しの格をつけたみたいだな。


「近くにあった最大ダンジョンから、ダンジョン王である炎龍が逃げるなんてねー」


だ、ダンジョン王の炎龍だと?


「でも、ヤマサ山村はそのダンジョンのおかげで、生計を立ててれたんで」


ん?ダンジョン王の持つ宝玉が無くなれば、ダンジョンは崩壊する。

しかも、ダンジョン生まれであればその宝玉は心臓にあるはずだ。

炎龍を討伐したということは、宝玉も崩壊したはず。

でもここ近年、ダンジョンは崩壊したって話は聞いてない。


「まぁ、ダンジョンはまだ続かせているようにしたけれど、不具合とかはないかな?

一応見には行ってるんだけど」


続かせている、だと?


「むしろ、ダンジョンの宝箱がレベルが上がったといって、よく冒険家が来てくれるようになりました。生計も右肩上がりです!

それで、私もポルン様のいる学園へぜひ行って来なさいと村長から言われて、数多の試験を受けれたのです!これも、ポルンさまのおかげです。」


ダンジョン王、ダンジョンの宝玉を持つものが王となる、という。


まさか、な。


人間がダンジョンの宝玉を持って、ダンジョンが成立するなんてあり得るわけがないのに。


「まさか、ダンジョン内の宝はダンジョン王のレベルで変わるとはなー」


訂正。こいつなら、やりおる。


「くっ」

何故か同じグループであるレティシアは気に入られていて、悲しいかな。王子は、ぐっと堪える。


さらに、ダンジョン王の宝玉を持っているとか、なにそれ状態。



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