5話 俺、家でパーティする
俺の家、レッスロート家は貴族になる。
王都の近くにある国になり、辺境伯とはいえ地方貴族とはなるが。
いつも王の期待にいつも沿っているそうだ。
その現当主であるバレンド・レッスロートは、捌きの剣豪として有名であったそうで、前領主から今の領地を受け取るまでは、騎士団に所属していたそうだ。
その妻であるメリッサ・レッスロートは、王都の貴族の次女であり、冒険家としても名を馳せていたそうだ。
今でも、冒険がしたいとぼやいている。が、冒険をするのには背に重いものを乗せすぎたようで、今では良い奥様をしている。
そして、もう一人家族がいる。それは次男になる、アベルトである。まだ、4歳ながら優秀で、剣に興味がある。きっと、父親似になるであろう。
そして、ハル……いや今の名でポルンの家、メイドビー家は王都に仕える貴族だそうだ。
が、昔からの顔なじみのようで、同じ敷地に家を構えている。というか、もう一つの家族と言っても過言ではないくらいだ。
ポルンの母、マリンさんと俺の母は、学園時代前からの親友で、彼女も冒険家として活動してたみたいだ。
その旦那であるクロードさんも俺の父との学園時代の戦友である。
なので、父と母同士友達での結婚だったようだ。
まぁ。貴族は皆が知り合いになるだろう。
ハルにも妹二人と弟がおり、俺の二つ下に妹が双子でいる。その下に弟がいる。
ハルは、なんだかんだ言って4人兄弟になる。
「はぁ、ハルはもうすぐ学園か……」
そうなのだ、ハルはもうすぐ7歳になり、日本で言う小学生・中学生・高校までずっと学園での寮生活になるのだ。
その寮生活内で、貴族としての誇り・たしなみ・ルールなどを学んでいく。
そして、そこで
「結婚かな」
「いや、それはないな。学園でって、貴族とでしょ?あたしは冒険家になるの」
窓に腰かけていうのは、ハル。どうやら、何か終わったようだ。
「……ハル……」
「やっほ、紺ちゃん。さっきぶり」
ふん、と言ってそっぽ向いている。
「準備できたのか?」
「まったくシェインは、内緒にしてと言ったのに」
窓から飛び降り、とんっと床に着くと、俺の目の前へ詰め寄る。
「はい、誕生日」
渡したのは、すごく懐かしいものであった。
日本であったレゴの緑色のキーホルダー、そして赤文字でKと彫ってあった。
「これ……」
「どう?」
懐かしい自分の思い出の品に、俺は嬉しくなる。これは、同期の皆で作ったおそろいのキーホルダーだったのだ。
「ありがとう、すっごく嬉しい」
「よかった、これは紺ちゃんへのプレゼント。コルベットン用は、またあとでね」
照れ隠しなのか、ちょっとだけそっぽを向いている。
「それで、学園の話だけど。あたしのときは第一姫だけなのに、紺ちゃんの時に、この国の第一王子と宰相の息子たちがいるんだよね。それに、筆頭貴族の娘と友達もいるし。
あなた。絶対にひっかけられないようにね」
「あ、うん。でも、まさかハルが2つ上になるとはな」
「仕方ないでしょ。先に生まれちゃったんだから」
「ホントだね」
「あ、でも」
「ん?」
「こんちゃんより、早くアラサーになっちゃうね」
「……」
今から、そんな心配してどうする。とつい思ってしまった。
パーティはささやかながら、ハルの作った和食も並んだことでとても有意義な時間となった。
「ポルンちゃん!このスープ、とてもおいしいわ!」
「それは、出汁ですよ」
「そのダシというの作り方を、ぜひうちのシェフに教えてくれないかしら!」
「いいですよ」
なんて話をしている俺の母とポルン。
「あの子、どうやってこんなものを知ったのかしら」
「やはり、『料理』のスキルが開花しているからかもな」
「もしや、あの子。いつか、商人とかになろうとしてたりして」
「……有り得そうで恐ろしいな」
という、ポルンの父と母に。
「この鶏の甘辛いタレが、ワインに合う!」
などと言って、美味しそうにワインを飲んでいる俺の父。
うん、やっぱりぐだぐだだ。
俺も、ポルン作の鳥の照り焼きでも食べよう。