2・のどかな魔界と剣の師匠
最初は少し狭い感覚で投稿します。
魔法陣を抜けるとそこには禍々しい建物が広がっていたのだが……天気はごく普通の晴れであり、建物以外はここは魔界なのかと疑いたくなるほどのどかであった。
すると複数人の魔族が駆け寄ってきて、
「「「魔王様、お疲れ様です!」」」
「うむ、変わりはないか?」
「はい!以上ありません!」
この世界の魔王軍は魔界に住んでいるといっても、元の地球の影響を受けたのか人間を滅ぼすなんて奴はほとんどおらず、ある程度の土地を魔王軍の領土として確保し、のんびり暮らしているのであった。
まだ多くの人間が恐れを抱いているが、一部の友好的な人間は魔王軍と貿易をしたりするなどさほど人間と変わらない暮らしをしているのがこの世界の魔王軍なのであった。
ただ未だに種族間での争いや偏見、差別などは魔族に限らず残っていて世界が今後の課題としてあげている。
だが要人は幼少期から魔界で過ごすことも多かったため、魔族のほとんどが要人のことを知っており、
シュランが保護者をしているのもあって交流が深い人物も多かった。
「これから領土内の視察に出掛ける。担当のものはついてまいれ。」
そういってシュランは準備をするために魔王上に向かった。
「要人はどうするんだ?」
要人はどうしようかと考えているところに一人の男が声をかけてきた。
顔を黒い布で覆っており、見た目が忍者に見えるこの男。
名はロギアスといい、魔王軍一の剣術の使い手であった。
要人は軽く考えてから、
「久しぶりにロギアスさんと手合わせしたいんだけどいい?」
要人は父親であるシュランが忙しいときはよく魔族の人たちに相手をしてもらぅていた。
しかし、魔族の者たちは人間の子供が喜ぶ遊びをほとんど知らなかった。
そこで、シュランが要人には剣と魔法の才能があるといっていたことを思い出し、剣術や魔法を教えていた。
その時に剣術を教える担当をしていたのがこのロギアスなのである。
つまり要人の師匠にあたるうちの一人で、要人は魔界来ると頻繁に手合わせしていた。
「要人と手合わせか……いいだろう。ただし3割までだぞ。やりすぎちゃいかんからな。」
「わかってるよ。」
要人は苦笑する。
一度二人とも全力で手合わせをしたとき周りの建物を10個ほど壊してしまい、シュランにこっぴどく叱られたのである。
それ以来、手合わせの時は竹刀を使い力を三割に抑えてするようになったのだ。
「にしても要人は十分俺よりも強いだろうに、もう俺じゃ相手にならんからな。」
「そんなことないよ、剣術だけならロギアスさんの方が上だよ。」
要人は道場につくやいなやロギアスと向かい合うと構えを取り、
「まだまだ盗めるものはたくさんあるからね。」
「やれやれ参ったな……。」
ロギアスの言う通り実力なら要人の方が上だった。
ロギアスどころか要人は魔王であり父でもあるシュランとも互角以上に渡り合える実力を持っていた。
だが単純に剣術だけの勝負であればロギアスの方が実力は上である。
「いつでもいいよ。」
「おし、じゃあ始め!」