第四十一話 ロゼッタのスキル更新2
〈ロゼッタ=A=タートルのスキルの更新を開始します。
現在のスキル帯はレベル4、スキルの数は7つです。
更新特典としてスキル帯をレベル2若しくはレベル5へと変更可能です。
どちらのレベル帯に更新しますか?〉
先程と同じくスキル帯の選択肢が現れた。
当然選ぶのは5だ。
何しろ『引き篭もり』を乗り越えた特典でレベル2は手に入るのだ。
選ぶ理由が無い。
〈スキル帯レベル5を選択しました。
新たに5つのスキルが与えられます。
但し、更新されるスキルが有る場合にはそちらが優先されます。
・スキル『王族』の更新スキルの判定は先程終了しましたので割愛します。
・スキル『中級植物使い』はスキル『上級植物使い』に更新されました。
スキル『上級植物使い』を入手しました。
レベルを1つ上げる毎にHP、MP、心力が80、力、頑強、素早さ、運が40上昇します。
また、スキルを最大値まで上げると、MPを消費して現存する植物を生み出す事が可能となります。
・スキル『成長停止』の更新スキルの判定は先程終了しましたので割愛します。
・スキル『成長停止解除』に更新スキルは存在しません。
更新できない代わりに、新しいスキルを追加でもう一つ手に入れることになります。
スキル『成長停止解除』はロックされました。
・スキル『引き篭もり』に更新スキルは存在しません。
更新できない代わりに、新しいスキルを追加でもう一つ手に入れることになります。
スキル『引き篭もり』はロックされました。
・スキル『薬師』の更新スキルの判定を開始します。
更新スキル名『中級薬師』
『薬師として3年以上のキャリアが必要です』クリア。
『10種類以上の薬を1つにつき100以上作成していること』クリア。
スキル『薬師』はスキル『中級薬師』に更新されました。
スキル『中級薬師』を入手しました。
レベルを最大値まで上げると、薬を作成する材料を魔力と引き換えに手に入れる事が出来るようになります。
・スキル『保護者』の更新スキルの判定を開始します。
更新スキル名『保育者』
『保護者として3年以上のキャリアが必要です』クリア。
『10人以上の子供を護り育てて来たこと』クリア。
スキル『保護者』はスキル『保育者』に更新されました。
スキル『保育者』を入手しました。
レベルを最大値まで上げると、被保護者達の基本ステータスが上昇しやすくなります。
更新スキルは以上です。
新たなスキルを獲得するためにライフルーレットを開始致します〉
『保育者』の威力がこれまた半端ない。
基本ステータスが上昇しやすくなるってこれ、一見地味だが凄まじい能力だぞ。
しかも数に際限がないから、孤児院の子供達全員に効果が波及するんじゃないのか?
成程、だから『保育者』な訳か。
文字通りロゼのスキルで『育てる』という訳だ。
『薬師』の更新スキルは俺と同じく『中級薬師』、
そして『中級植物使い』の更新スキルは『上級植物使い』だった。
ステータスの上昇値は倍になり、更に植物をMPを使用して出すことが可能となった。
これはあれだな、漫画やアニメで良く居る植物使いの能力そのまんまだな。
実に分かりやすい。
そしてロゼのライフルーレットが開始される。
その内容は、先程と同じく1つだけだ。
よく考えれば、説明が間違っている可能性もあった訳だが、無事に済んで何よりだ。
〈呪いスキル『引き篭もり』を乗り越えました。
特殊スキル『引き篭もり解除』を獲得します。
このスキルはレベルアップ時のスキルへのレベル配分が、優先状態となります。
レベルを最大値まで上げると、スキル『引き篭もり』の効果を打ち消すことが出来るようになります。
また、呪いスキルを乗り越えた特典として、スキル帯の追加が行われます。
スキル帯の追加は最も少ないスキル帯が優先されます。
スキル帯レベル2を追加します。
新しいスキルを2つ獲得することになります。
おめでとうございます。
複数の呪いスキルを乗り越えた特典としてスキルの代わりに『天使』が授けられます。
闇の神殿はゲンブとツクヨミの影響下にあります。
よってそれぞれから『天使』が派遣されます。
詳しい説明は派遣される『天使』から直接お聞き下さい。
スキルの更新が終了次第、貴方のもとへ『天使』が降臨いたします〉
は?
えっ何?
天使?
ゲンブとツクヨミの配下が天使?
おかしくね?
いや、それ以前にゲンブとツクヨミの影響下ってどういう事だ。
ツクヨミは分かる、闇の神殿はツクヨミを祀っている。
俺も毎日食事の度に闇の神様であるツクヨミにお祈りをしているのだ。
でもゲンブってどういう事だ。
ゲンブはこの国の名前だ。
表記だってゲンブではなく玄武だ。
それの影響下って事はつまり何だ?
ひょっとしてゲンブという名の神様も居るって事なのか?
突然天使降臨を告げられ、闇の神殿の広場は大混乱に陥っている。
そんな中ライフルーレットはいつの間にか始まっており、何時の間にやら終了していた。
〈スキル『医師』を獲得しました。レベルを1つ上げる毎に、医学書を1つ手に入れる事が出来ます〉
最後にロゼが手に入れたのは『医師』のスキルだった。
医学書が手に入るのは確かに良いな。
この世界はどうにも魔法やマジックアイテムに頼り過ぎな傾向があるから、医者の地位が低いのだ。
しかし医学書が多く集まれば、それだけ治せる病も増え、医者の地位も向上するだろう。
〈ロゼッタ=A=タートルのレベルを初期値へと戻します。LV40⇒LV0
ステータスが以下の様に変更となります。
『名前:ロゼッタ=A=タートル
LV40⇒LV0
HP:1064⇒24 1064/1064
MP:1060⇒20 1060/1060
力: 664⇒24
頑強: 666⇒26
素早さ: 666⇒26
心力:1076⇒36
運: 660⇒20
所有スキル:『王族LV10』、上級植物使い、『成長停止LV10』『成長停止解除LV10』『引き篭もりLV10』引き篭もり解除、中級薬師、保育者、医師
特殊能力:全ステータス2倍、成長停止、成長停止解除、引き篭もり、
所属天使:ゲン、ヨミ』
経験値のストックが存在しています。
確認しています。
……
……
確認しました、レベル21までレベルを上昇させることが可能です。
レベルアップを開始します。
なおスキル更新の特典として、レベルアップ時のステータスの上昇値が1上昇します。(3⇒4)
呪いスキルを乗り越えた特典により、スキル帯の追加が有りました。
更にステータスの上昇値を追加します。(4⇒5)
レベルアップ優先スキルが存在します。
『引き篭もり解除』のレベルアップを開始します。
……
……
『引き篭もり解除』のレベルが10まで上昇しました。
残りレベルアップ数は11です。
自動配分を開始します。
スキル『上級植物使い』がレベル10になりました。
スキル『中級薬師』がレベル1になりました。
……
……
レベルアップを終了しました。
ステータスが以下の様に変更となりました。
『名前:ロゼッタ=A=タートル
LV0⇒LV21
( 『上級植物使い』による上昇値:HP、MP、心力が800、
力、頑強、素早さ、運が400。
レベルアップによる上昇値:155)
HP:12+800+155=967×2=1934 1934/1934
MP:10+800+155=965×2=1930 1930/1930
力:12+400+155=567×2=1134
頑強:13+400+155=568×2=1136
素早さ:13+400+155=568×2=1136
心力:18+800+155=973×2=1946
運:10+400+155=565×2=1130
所有スキル:『王族LV10』、上級植物使いLV10、『成長停止LV10』『成長停止解除LV10』『引き篭もりLV10』引き篭もり解除LV10、中級薬師LV1、保育者、医師
特殊能力:全ステータス2倍、成長停止、成長停止解除、引き篭もり、引き篭もり解除、植物生成
所属天使:ゲン、ヨミ』
スキルの更新は以上です。
次回はレベル50で更新が可能となります〉
ロゼのスキルの更新が終了した。
最終的にはLV21で打ち止めか。
思っていた以上に少ないな。
いや、俺のレベルアップが思っていた以上に多かっただけだな。
恐らく8年前に倒した魔族の経験値が他の3人よりも多かったからだろう。
……それにしても物凄いステータスだ。
これ下手をしなくても国内トップクラスのステータスなんじゃないのか?
勿論勇者を除いてだけど。
HP、MP、心力は2000を超えそうな勢いだ。
まともに戦ったら絶対に勝てないな。
いや、戦う気も無いけれど。
それにしてもスキルの更新が終了したという事は、これから天使が降臨するということか。
……いや、天使降臨って何だよ。
ロゼのステータス画面にしれっと『所属天使』なんて項目も追加されてるし、名前まで付いてやがる。
ゲンとヨミってあれだ、結構有名な名前だ。
この国を建国した初代王やら歴代の勇者の仲間にはその名前を持つ者が多い。
そしてこの国の中で特に多い名前でもある。
役所内でも学校内でもゲンさんやらヨミさんやらは沢山いるのだ。
何しろゲンブのゲンでツクヨミのヨミだ。
歴史上の人物と同じ名前であり、国の名前であり、崇めている神の名前でもある。
そりゃあ名付けるだろう。
分かりやすい上にありがたい名前でもあるのだ。
だからって天使の名前まで同じにしなくても良いではないか。
こう、ルシフェルとかラファエルとか如何にも天使っぽい格好良い系の名前では駄目だったのか。
いや、そもそもそんな風に考えるのは、俺が転生者で地球での天使の知識があるからだ。
そもそもこの異世界は向こうでよく描かれていた中世欧州風の異世界ではなく、どちらかと言うとアジアンテイストだ。
だから天使の名前も和風でも良いということか。
こちらで暮らして早18年だが、未だに地球での暮らしの影響が根強い。
何かにつけて向こうと比較してしまう癖が付いてしまっている。
こちらの天使はこちらの天使として真っさらな気持ちで受け入れるべきなのだ。
……駄目だやっぱり混乱している。
何が「受け入れるべきなのだ」だ。
そんな簡単に天使を受け入れてたまるかってんだ。
天使降臨という異常事態に俺が対処できていないだけではないか。
とにかく落ち着け。
落ち着く為にまずは深呼吸だ。
ヒッヒッフー、ヒッヒッフー。
違う違う違う!
くそっ駄目だ、深呼吸しても落ち着けない!
俺の混乱は収まらない。
勿論広場の混乱も収まらない。
誰も彼もが落ち着き無く周囲をキョロキョロと見回し、周囲の人達と不毛な話し合いを続けている。
いや、1人だけ混乱していない人物が居た。
エルだ。
彼女はいつの間にかステージに上っており、好奇心に溢れた眼差しで天使の降臨を待っている。
流石だ。
エルにとっては天使の降臨も、自らの好奇心を満たすためのイベントの1つに過ぎないという事か。
そしてステージの中央で、突然光の柱が立ち上った。
その数は2つ、その色は闇色と土色。
余りの光景にこの場の全員が度肝を抜かれている。
光の柱はしばらく立ち続けたかと思うと段々と収束し、その場には謎の光の玉が浮かんでいた。
その玉は浮遊したまま動き出し、ロゼの周囲をクルクルと回り続け、停止したかと思うと突然形状が変化。
甲羅を背負った茶色い男の子と、長い黒髪の全身真っ黒な女の子現れた。
「オイラはゲンブの使い! 名前はゲン! 宜しく!!」
「あたくしはツクヨミの使い! 名前はヨミ! よろしく!」
現れた子供達はロゼに向かってビシッとポーズを決めた。
この日玄武の国に2人の天使が降臨したのであった。




