17 マスターの正体
いつぶり?
「私はいわゆる内部の人間だよ。外……ここでいう異世界との齟齬をなくすための役割を持っている」
「えっ、じゃあマスターはウタキの世界のことを知ってるのね?」
「知ってるとも。ほかの異世界人もみんなそこから来てるからね」
「なんでこの世界に送り込んでるんですか、なんか理由が」
「まだ教えられない」
まだ、ということは教えてもいい時がいずれ来るってわかってるってことだ。いつだ、何を狙ってる? いまここで俺に知られてまずいようなことっていうのは一体なんだ。
きっとそれは、マツリカさんのことにつながってくるんだろう。そんな気がする。
「ウタキくん、君はまだ〈渦中〉に居る。本来であれば食人鬼探しは止めるのが筋なんだが」
意味ありげにマスターがほほ笑む。自分のことが全部ばれてるってのはなんだか薄気味悪いが、この人の場合は悪意がないからまだなんとかなりそうだ。
悪意っていうのはあれよ、この連載でいうところのロスくんよ。
あ? ロスくんが悪意じゃなきゃなんだっていうんだよ。天真爛漫? 俺は認めねーぞ。
「面白いことになりそうだから、協力してあげよう」
「ソリャドーモ」
「ね、ねえウタキ。そのう……大丈夫、なの? なんかあなた自身に関わる重大な秘密とかそういう」
「あいにく俺は覚えてないんだ。あるのかもしんないけど」
意味ありげに笑うマスターに目線を投げる。教えてくれなくても知ってはいるだろう。俺がどうして「帰りたくないのか」「その理由を忘れてるのか」絶対なにか裏があるはずだ。
陰謀論みたいなのは好きじゃない。妄想っぽいからな。でも今ばかりはそう思う。なんでかっていうとここがメタい連載だからだ。
ぶっちゃけ書籍化は狙えねーよな。だってすげー読者に話しかけるじゃんこれ。なあ?
まあ更新しねーから読んでるほうもわけわかんないと思うけど。
「コーヒーが冷める前に、話をしようか。マツリカとロータスの話はどこまで聞いた? 誰に教えてもらったかな?」
「アシュタルさんに。南の谷の、墓標のことまで」
「そうかあ。ふむ、じゃあそうだなあ。出奔から南の谷に行くまでの事件の話からしてあげよう。ところで」
マスターが後ろをのぞき込むと天井からつるされているリトと楽しそうに遊んでいるロスくんがいた。
「彼らは……」
「ほっといてください」




