14 鬼のこと 愛のこと その2
「まず、マツリカは外部から転生してきたのですが、彼が転生しなくてはならない理由が外部にあったのです。それはまあ、関係ないのでいいでしょう」
とつとつとフォルトゥナさんが語りだす。
やっぱり、最初に事務局で発行されたあの番号は患者の、ないしは検体番号かなにかなんだ。順民の管理ってことにここではなっているけどランダムにはじき出す番号とかそんなものそもそも必要ないはずだもんな。
だって、番号なんかなくたって、管理されてるじゃねーかよ。
「その理由は、転生してきたあともついて回りました。彼は本来そんなこと考えなくてよかったんですが、転生した際にその悩みを解決するだけの要素も与えられていたのですよ? それでもマツリカの悩みは肥大化していく一方でした」
「それって、容姿のことかしら? 聞くたびみんな凡庸っていうけど能力の話はされないものね」
「まあ、そうですね。アシュタル様やオーグレス様ほどではないですけど剣術だってやれば人並み以上でしたし、計算も詩文も絵も音楽も大抵のことはそれなりにできたはずです」
できたはず、ってのがなんかひっかかるが、とにかく「普通の人だった」ってのには間違いないらしい。
その人が転生までしなきゃいけない理由ってのがむしろわからないけど、喋ってくれないってことは聞かないほうがいいことなんだろう。
「その悩みが大きくなる中で、彼はロータスと恋仲になりました。容姿も心も美しい娘でしたが、それゆえマツリカはその美しさを忌避しました。ロータスがウタキさんくらいならもっとましな結果だったかもしれません」
「いまさらっと俺のことディスりせんでした???? ねえ????」
どうせ俺は平凡むしろマイナスですけど今なんでついでのようにディスられたの? え? なに? その比喩いらなくなかった? なんで?
シリアス続きだから一回ギャグはさんでおこうかな☆的な読者への配慮? 俺への配慮どこだよ。
「その肥大化した悩みが恐怖となり、いわゆるエラーに相当することが起きたのです。それによってマツリカは運営局の管理から逸脱しました。もちろんずっと追いかけてはいるのですが……対応できない一つのバグですね。」
「バグ……」
「ただ、この世界には今、万単位の人間が異世界から来ています。それを全部どうにかしなくてはマツリカへの対処ができないのですがそうもかないのです。プログラムが終わっていないのに強制的に帰還させては元の世界でなにが起きるかわかりませんから」
クレオが言ってた。
『バグ』かもしれない、っていうことを。
クレオ自信が悩んでいるなにか。それはここが人為的に管理されている世界だからなんじゃないのか?
神の目線の人間たちがどこかに居る。それによってこの世界は管理されている? なんだ、うまく頭の中でつながらない。知ったら、まずいことでもあるのか。
頭が痛い。なにか、わかりそうなのに。俺はなにかを知ってるんじゃないのか?
「もっと詳しい話もしたいのですが、なんせ私は患者をケアする手段がないもので……その手記を書いた人間に会うのが一番でしょう。彼も医者なので」
「えっ? 書いた人に会えるの? っていうか会える人なのね?」
「ええ、というかあなた方一度会っているでしょう?」
「へ? がた、って、俺もっすか?」
手記の筆者は、ミヤノシタ シンイチロウ。
どこかで聞いたような気がしてはいたけど、わからなかった。会ってる? この世界で? いつ? どこでだ?
「少し前に、魔蟲の行軍であなたがたトストリアに行っていたでしょう?」
『ねえ、シンイチロウさん』
そういったのは、たしか、あの時……
「あんときのカフェのマスター、かよ……!」




