11 俺の屍を超えて行け?お断りします
お久しぶりです。
「どこで知ったのですか。それを」
「内緒」
「なぜ知りたいのですか」
「約束したから」
「約束……」
帰りたい理由はない。思い出せないから。
積極的に思い出したいかと聞かれればそれもまあ別に、って感じだ。わからないことに違和感を感じたりはしない。たぶん現状、困ってないから。
ただ、クレオと約束した。わからない、知りたいってそれだけだ。
その違和感に気づいたときに自分でも知りたいって思ったからそれを調べるのは当然だと思う。
それがエレーナのことなら、なおさら。
「では、私とひとつ知恵比べをいたしましょう」
「知恵比べ?」
「ええ、勝負は一回きり。解答も一回きり。ウタキさんが見事に答えられたらあなたの知りたいであろうことを、私が知っていることを、教えて差し上げます」
「ふんむ……まあ、いいですよ」
「えっ、やめなさいよフォルトゥナさん相手に。生き恥さらすわよ」
「始まる前から俺の心折りにくるのやめよ? な?」
確かに自慢じゃないが俺は頭が良くない。良くないけどやってみないとわからないもんだ。奇跡が起きることだってあるかもしれない。対魔王戦みたいに。
あとそれ以上に俺のメンタルえぐるのやめてほしい。ほかの誰でもないエレーナの言葉が一番刺さる。
「ふふふ、誰かと知恵比べなんて久しぶりですね」
「ほんとーっに後悔しても知らないっすよ? 局長は王都の技能・資格試験試験の統一筆記テストで満点しかとらない化け物っす」
「おお、ここにきてようやっと頭のいいキャラ登場なわけだな。遅くねえか!?」
ロスくんも頭いいって話したけど、傾国(物理)だからな。あんな王子様みたいなビジュアルの脳筋とか冷静にこっちがバグるからマジでやめてほしい。
「では、とっておきの問題をひとつ」
「っしゃ、かかってこい」
「……」
「……」
「パンはパンでも食べられないパンは?」
「正気か?」




