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異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?  作者: 沢瀉 妃
エレーナと食人鬼とあれこれ編

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04 血の零時事件おさらい

感想欄かすかすで寂しいのとモチベが下がるので、感想が特にない人は「にゃー」って書いてってください。猫はいいぞ。



血の零時事件。

前にもアシュタルさんから聞いたけど、食人鬼・・・マツリカさんの起こした最初の事件だ。被害者多数。死因はショック死とか出血多量とか、とにかくみんな「食い散らかされてた」ってことだ。


愛憎だの復讐劇だの憶測は様々あるようだけれどその実態はよくわかってない。なんせそのあと捕まった犯人が何も語ってないんだからな。



「私がぎりぎり産まれる前の事件ね」


「エレーナってほんとに19なの?」


「あら、どうして?」


「いや、なんとなく。これって20年前の事件だろ」


「ううん、そうね、厳密に言うとちょっと違うかな。19年と6か月前、とかそんなのが正しいの。私が生まれたのは血の零時事件より2ヶ月後の話らしいから」


「らしいって・・・」


「お母さん・・・育てのね、お母さんそう言ってたわよ」



嘘だな、と直感で思う。血の零時事件はロータスさんが子供を産んでから起きてるはずだ、だってアシュタルさんはそう言っていた。エレーナ・・・厳密にはオリーヴィアをオリーヴィアとして大人にさせないためにどこかで出生の記録とかがいじられてるんじゃねーかなあ。

誰かなんのために。誰がかは、わかんないけど、なんのってそんなのエレーナがエレーナとして生きていけるようにだろうな。


鬼の子なんてわかってたら、きっとすんなり生きてられない。たとえマツリカさんと血が繋がってないとしても、ロータスさんの娘なら。



「それで、なにが知りたいことなの?」


「まずこの日記、というか手記?に書いてあるのはマツリカさんって俺と同じ世界から来てるっぽいってとこでさ」


「そんなこと書いてあったの?」


「で、なんかこいつはやべーからな、って監視されながらここに来たみたいなんだよ。だから神様とか魔法とかじゃなくて裏で誰かが糸ひいてんだって」


「やけに色んな人がくるとは思ってたけど、人体実験でもされてるのかしら?」


「そこまではわかんねえ。でもマツリカさんが異世界から来たのは確定なんだ。俺とは違って別人に生まれ変わってるけど」


「ウタキの言ってた転生と転移の違いってそういうことだったのね」


「そ、俺のは異世界転移」



だからエレーナの出生事情も気にはなるけど、俺が重点をおきたいのはどちらかというとそっちのほうだ。なにがなんでも帰る方法見つけなきゃな。



「ウタキは」


「ん?」


「帰りたいの?会いたい人がいたりするのかしら?」


「え?いや、特には」


「ならどうして帰るの?そりゃあまあ異世界なんて怖いけど、私せっかく友達になれたのにちょっと寂しいのよ、帰っちゃったら」



どうして、って言われるとたしかに考えたこと無かったな。漠然と帰らなきゃいけないような気がしてたけど帰りたい理由とか聞かれても答えられない。なんせ恋人なんかはいないし、あと覚えてないことも多過ぎるから。


家族のことも、よくわからんしな。会いたい?とかきかれても正直微妙っていうのが本音だ。なんせ家族のこともよく覚えてないから、覚えてない人に会いたいとかは、俺はあんまり思ってない。


・・・あれ、俺はなんで帰りたいんだろう?

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