65 ミス・パートナーの意見
「ただいまぁ!」
「エレーナさん!おかえりなさいっす!」
「おお、すごいな、無駄のない魔力の揺らぎが見える…」
「わあ、ぜひ手合わせしたいですね!」
「待て待て待て待て待て」
「なによウタキ、まず言うことあるでしょ?」
「おかえり!でもごめん待って」
夜になってエレーナが城に戻ってきた。元気そうなのはいいし、筋骨隆々とかにもなってない。胸が小さくなったとかでもない。背が劇的に伸びてるとかそんなこともない。うん。修行パートが終わったのはいいことだ。いいことなんだけど、気になるのはその恰好。
「なにその真っ青なローブ」
「魔法使いの正装だけど…青い服の話はフィーアがしてたじゃないの」
「うんうん、エレたんキュートだよお!髪も青だし親和性いいかんじぃ!」
「ほんと?嬉しいわ!」
髪の色の濃淡はその人の能力値だって言っていた。エレーナの水色っぽかった髪は濡れ羽色に近い青になっているから強くなりました、ってことなんだろうけど。
「すっげえ魔女っぽくなったね…」
「クラスもガンナーから魔法使いにジョブチェンジしたしね」
何が悲しいって、露出が減ったこと。
エレーナってヤンデレルートじゃないから正規ヒロイン枠でしょ!?だったら魔法使いだったとしてもミニスカートだったりローブの丈って短いもんじゃないの!?なんで!?こんな色気のない魔法使いルックある!?
「なによ、じろじろ見て」
「俺前のコスチュームのが好きだったなあ」
「な、あ、あのねえ!ウタキが私にデレてどうするのよっ!」
「だって俺が命の危険を感じないで可愛いって思えるのエレーナしかいないんぞ!?わかってんの!?俺のメンタルは日々限界値なんだよ!」
「ご、ごめん、そんな必死だと思わなくて…」
今だって「可愛い」ってワードで後ろのほうから「あたしもかわいくなったら、食べてもいいよって…」「ずるいですわずるいですわずるいですわ…」って聞こえている。振り向かなくてもわかる。あと声にはなってないけどものすごく重たい殺気を感じる。これもだれだかわかる。
四方八方からプレッシャーかかってるのってなんであれ結構疲れる。なんなの。なんでこんなルートなの。俺の日ごろの行いがもっと清廉潔白とかなら正統派冒険譚とかになってたの?ギャグとシリアスいったりきたりするのやめたいんだよ俺は。
「それでなにかわかったの?」
「うん、まだフィーアにも共有してなから話したいんだけど、みんな腹減ってね?」
「あー、たしかに、お昼も大したもの食べてませんもんね」
「腹が減ってはなんとやらっすね」
「あ、あたしはまだストックがあるからあ」
「ストック」
「うん、さすがに300一気には食べれなかったのお」
察した。ストックってどういうこと。どこに隠し持ってんの。いや怖い聞くのやめよう。
「ね、ウタキ」
「ん?」
「これで私、あなたと一緒に旅してあなたのこと助けてあげられるわね」
「元から俺より強いじゃん」
「ううん、なんていうか、覚悟みたいなものよ。いきなり勇者ですって言われてはいそうですかってなってるあなたたちはやっぱり特別だから」
過大評価だと思う。歴代勇者のことは知らないけど、俺はそんなすんなり受け入れた覚えとかなかったりするわけで。なんならこのパーティで今一番使えないの俺なんだし、そんな比較とか特別とか言われても俺は相変わらず平凡むしろマイナスにかわりない。
「これが私のやることなら、あなたのパートナーは私だわ」
「…なんでそんな張り切ってんの」
「私、言ってないことがあるの」
「言ってないこと?」
「自分が、エリューニスだってことよ」
「…なにを知ってんの」
「後で話す。だからね、そういうのをひっくり返していきたいの、だからあなたの隣で戦うわ」
おなかすいたわね、と笑って前を歩くティタニアさんの横に並ぶ。
俺が思ているより、もうすこし難しいことが多いのかもしれないけど、少なくとも彼女が俺の味方でいてくれるなら、俺だってエレーナの一番の味方になりたいって思う。
ちょっとラブコメ色強めてみました。一応ね、正妻(笑うところ)なので。




