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異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?  作者: 沢瀉 妃
勇者と魔王とぐだぐだ編

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64 アルターエゴ



「私たちには不可解な単語が多すぎてよくわからんな…」


「ウタキさんわかったっすか?」


「専門用語的なのはともかく、これがなんなのかくらいはわかった」


「じゃあこの日記だか手記だかの作者はウタキさんと同郷ということになりますね」


「おそらくな」



医療関係者の手記というだけあって、難しい単語が多すぎる。投与してる薬の種類とか書かれててもそれがなんなのかとかはわからないわけだし。

とはいえ、このミヤノシタさんがマツリカさんの監視目的でこの世界に居る、居た?のは間違いない。マツリカさんもこの世界の人間じゃないってのがわかっただけでも大きいな。時系列の矛盾なんかはこの際後回しにしておくしかないけど。



「この記録のこと王様とかアシュタルさんには伏せておいてくれ」


「なに…?陛下たちを欺くつもりか!貴様、どういうっ…」


「ティタニアさん、自分の家族が自分たちをだましてた、転移者だったなんて聞いて落ち着いていられる?」


「……アシュタル様は、そんな、軟弱なお方ではない」


「じゃあ、落ち着いていたとしても悲しまないなんて断言できる?」


「…紅薔薇様、ウタキ様にもお考えあってのことでしょう、悪いようにはきっとなりませんよ」


「私は、王家に使える身なのだ。今までも、これからも。王家に害なすものを、排除するのが仕事だ。…いいか軟弱、陛下にもしもことでも起きてみろ、死んだほうがマシな目にあわせるからな」



この人すげえなあって思う。俺を殺したいタイプのヤンデレなのに王様の優先順位が不動の一位で、ことによっては自分の欲求よりみせしめを優先できる人なんだな。いや、言ってることは物騒には違いないんだけど。あと標的が俺だから今手汗すごいことになってるけど。



「そんで?つまりどういう話で、これから俺たちどうするっすか?」


「簡単に言うと、マツリカさんは記憶を引き継いで生まれなおした人だな。それがどうやら「危険」扱いされてこの人は産まれることを知ってて監視役をしてたみたいだけどそれもむなしく食人鬼に、ってことらしい。どうやってこの世界に来たとかそういう記述はなかった」



平然とこっちに来たって書いてあるってことはなにかそういう人為的な原因があるに違いない。WOMOのIR部門がなんなのかはわからないけどそこも何かしらの関係があるのは明白だ。それを突き止められたら簡単なんだろうけど、これ以上はちょっと無理臭い。



「俺たちがやらないといけないのは、魔王の討伐。同時進行で今代の食人鬼の捜索だ」


「え、食人鬼探すんですか?」


「うん。なんかキナ臭ぇんだよなマツリカさん。このページ見てほしいんだけど」


「なんすか、この図」


「固定役職別相関図みたいだな、っつってもこの時点で食人鬼はイレギュラーだけど」



ずっと思ってた。なんで食人鬼だけ戦争に関係ないポジションなんだろうって。王族、魔族、薬屋、魔法使い、踊り子、勇者…こういうのは戦争するために色分けされてる。対立する前提で存在してるといってもおかしくない。ロッタさんもそういう話をしていたし、マロニエさんの商売にも紐づいてくるからな。

対して食人鬼は20年前にいきなり発生してずるずる役職に組み込まれてるだけ、手記から察するに「ミス」とか「バグ」とかそんなやつだ。ってことは食人鬼を捕まえてなにか吐かせればまた別の視点が存在してたことの証明ができるかもしれない。



「…まあ、そんな感じかな」


「ウタキ様、思ってたより賢いのですね」


「脳筋ロスくんに言われるの心外すぎるんですが…」



たしかにバカなのは否定しないけどさ。



「結局、マツリカさんがなんでそうなったのかはわからずじまいっすねえ」


「食人鬼を縛り上げたらおのずとわかるだろう。今夜あたりエレーナも戻ってくるだろうし、そこでまた方針を固めれば問題あるまい」


「ロスくん、これ持ちだしていいかな」


「正規の記録じゃありませんし、黙ってれば問題ないかと思いますよ」


「黙っててね頼むから」


「あはは、もちろんです」



わからずじまい。本当にそうか?

マツリカさんに限らず、転生、転移者が多い理由。それってこの手記に書いてあることが解明できれば多分それが答えなんじゃないだろうか。



「アルターエゴ…」



二重人格、なんて。卑怯な落ちが想像に難くない。




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