60 魔法使いとしての資質
「私が、魔法使い?」
きょとーん、とした顔でエレーナが言った。
魔法使いも固定役職、つまりある程度のルートが想定されるわけだけど、エレーナは今日まで普通の女の子として生きてるわけだしそりゃきょとんとしたくもなるだろう。
「だってそうじゃないといろいろ説明つかないっすもん」
「どゆこと」
「オーグレスが言っておったろ、この世界でズルはできないとな」
「言ってたな」
「つまりズルで手にいれた力にしては綺麗すぎるんじゃ、初回こそ吸収率が高すぎてパンクしかけておったがな。エラーがおきないところを見ると魔法使いと見て間違いない」
「しかし軟弱2号、エレーナのルートではそんなこと言われてない」
「考えられるのはウタキさんのパートナー枠になってズレが起きてるってことっすね」
「俺のせいなの!?」
ほーんそんなことあんのかーくらいで聞いてたらすごい飛び火した。なに、俺のこと助けちゃったからエレーナのルートの書き換えが起きちゃったってこと?俺、人ひとりの運命変えちゃったわけ?そんなでかい責任とれないよどうしてくれんの。これだから勇者ってやつは。俺だ。
「人生が変わるってことはないのぉ?」
「そこまではないだろうが、問題が一つ」
「問題?」
「今から弟子入りしたんじゃ今回の陣取りは確実に負けるじゃろうな」
そうだ、なんで魔法使いの話になるかってパーティにいたらいいよねっていうのがあったからだ。たしかに、エレーナが今いなくなるだけでも大分痛手なのに、修行だとかいっていなくなったらその間に簡単に負ける自信ある。
人間族の命運背負っている以上、じゃあ修行頑張ってこいよって送り出すにはちょっといろいろ考えないとまずい。
「ど、どうしたらいいの?私、一応ウタキのパーティなのよ?今外れたら」
「チートにはチートのやり方ってもんがあるぜ」
にっこー!と王様が笑っておかわりの紅茶のぐいっと流し込んだ。チートのやり方、とはいってもここはゲームじゃない。課金すりゃいいとか裏技が使えるとかそういうのとはわけが違うだろう。なにか策があるのか?
「アリアだよ」
「えっ」
「夜の間あいつについて無理やり仕込んでもらうんだ、96時間もありゃ魔法使いとして使い物になる」
「・・・ほんとに?」
「合法的なズルってのは積極的にやってかねえとなー」
いたずらっ子みたいな目でエレーナを見る。困ったようにエレーナこっちを見てくるけど、俺の一存では決められない。
「アリアさんは断らないと思うけど、ティタニアさんとフィーアはどう思う?」
「行かせるべきだろうな、それで形になるのなら」
「あたしもそー思うよぉ、ねえりっちゃん?」
「りっちゃんって俺っすか・・・」
「どうする、エレーナ」
あいかわらず困ったように眉間にしわを寄せている。考えてるんだろうな。とはいえそれよりも手っ取り早い方法なんて存在しないいだ、どっちにしたってやるしかないんだろうけど。
「アリアさんに頼みに行きましょう」
「うん、あれだ、ロスのこと連れてけばいいしな、強いぞ」
「え、ロスくん借りていいの?」
「おう、あいつの戦い方って荒っぽいからな、町に居ないほうがいい」
「そっちが本音でしょ?」
とにかく、エレーナの力を確立させたうえでロスくんが増えるならそんないいこともない。とりあえず、パーティはこれで暫定的に組みあがりだ。剣士枠にティタニアさん、魔法も物理も使えるところでフィーア、魔法を確立させたエレーナと、戦士枠でロスくん。情報収集するのにリトがいればだいたいのことなんとかなりそ・・・俺いらないんじゃない?




