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異世界転生してハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がないんだが?  作者: 沢瀉 妃
勇者と魔王とぐだぐだ編

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52/99

52 これギャグハー小説じゃないの?



「どーーーーしても聞きたくないからちょっと待って心の準備するから」



背中がぞっとする。スプラッタは苦手だ。

別に領土争い自体も楽しいものじゃないけど、まだ現実味がある。それはきっと元の世界で世界史に自衛隊にアメリカ軍にとまだ身近にあったものだったからだ。


紛争地域に立入ることはなくたって、液晶の1枚向こう側にそんな映像はごろごろしまくってた。自分は戦ってたわけじゃないけど、そういった慣れのおかげであんまりショックじゃないんだろう。


食人鬼はファンタジーだ。



「ふー……」


「なんか緊張してるみたいね、凛々しい顔してるわ」


「いつもがアホ面みたいな言い方だなおい」



否定はしないけどさ。



「よし、食人鬼については?誰が教えてくれんの」


「覚悟を決めたものの目だな」


「待ってアシュタルさんなの」



重たい。空気も内容も重たい予感しかしない。

これギャグジャンルじゃないの?ヤンデレハーレムとか頭の悪いタイトルなのになんでこういう空気醸し出してくるの?趣味じゃん。誰のとは言わないけど完全に趣味じゃん。自分が楽しいだけじゃん。



「さて、最初に言ったが食人鬼は王族と同じで世襲制。つまりその筋の一族が存在する」


「野蛮かも知れないけど根絶やしにしちゃえばよくないですか」


「それがそういうわけにもいかん。まあ、順に話すから聞いておけ。まず食人鬼の始祖はマツリカという男だ」



マツリカ。頭の中で茉莉花、と変換されるのは多分俺が一時期よくジャスミン茶を飲んでたからだろう。ジャスミンの和名をマツリカっていうんだよな。日本だとマリカって名前の女の子いたりするし。どっちにしてもイメージは女性名だ。



「マツリカは元々普通の男だった。普通の、というには少し足りないくらいだ。身長も体力も、容姿も、人並みよりは少し劣るような」


「(耳が痛い)」


「しかし気立てはいい男だった。困ってる奴を捨て置けず、見捨てるということが出来ず、また同じくらい断ち切るということもできない…人がいいのだ、簡単に言うと」


「自分が死にそうになっても、他人を見捨てられない?」


「ああ、この世界はいつ死んでもおかしくないときおいうのがある、あるにも関わらず…」



人助けに精が出る、といえば聞こえはいいかもしれないけど自分の命を省みず他人を助けようとすることも、思い出にしがみつき続けることも普通の人間のやることじゃない。


そんなのは英雄だ。そうじゃなきゃ死ぬことを恐れてないだけだ。行く末を知っているかのように。

動物ってのは基本自分が可愛いし、ひとつの事をついさっきのように何度も鮮明に思い描けるのは特殊だ。忘れていくんだから、時間には抗えない。



「なんで、そんな人が」


「……ロータスという娘がいた。綺麗な娘だ」



あーーーーやだやだやだやだTRPGみたいになってきたこわいこわいこわい。

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