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05 自分の立場を省みることなんて現実ではほとんどない


「ウタキさん、役職選べなさそうッスねぇ」

「なんで!? 俺は人権すら与えてもらえないってこと!?」

「いや、そうじゃなくて……」

「珍しいわね、固定役職の転生者なんて」

「ごめん俺にもわかるように言ってくんない!?」


 さっきまでの話であれば、転生者は自分で役職をえらんでもいいことになってるって言っていた。

 種類は豊富で、まず大きく戦闘組と町民組がいて、戦闘組はガンナーやアーチャー、ランサーとよくある役職筆頭に魔道士などの魔法系も様々。

 町民組は武器屋、宿屋、薬屋、食べ物屋とかそういったサポートをする役職を指すそうだ。

 今直面してる問題は俺にそれを選ぶ権利がないこと。


「俺が何したっていうんだ……」

「違うのよウタキ! 固定役職っていうのは……」

「ある意味では王族と同じッス」

「……というと?」

「王様の娘は姫って生まれつき決まってるでしょ、そんな感じッスね。ここに来た瞬間に役割が降られてしまうパターンがたまーーーーーにあるッス」

「たまーーーーーに」

「たまーーーーーにッス」


 リトの理屈では、あらかじめ決められたものになるように設定されてるからそれ以外のものがえらべないってことだ。わかってた? ごめん俺がわかんない。


「この世界には、属性とクラス、ルートってものがあるッス」

「本当に申し訳ないけど全部説明してください」

「いいッスよ。じゃあ、分かりやすいように紙に描くッスね」


 つまりはこうだ。

 この世界には属性が存在し、大きく火(赤)、水(水色)、草(緑)、光(白)、闇(紫)の5属性がある。

さらに得意とされる技の細分化がされていて、例えばエレーナは水属性だけど風使いらしく、リトは光属性の毒使い。ゲームっぽく言い換えよう。エルフと白魔導士(あるいは癒者)ということになる。この〇〇使いは資質こそ根底にあれど訓練でどうとでもなるようだ。


 ルートというのはほとんどが生まれつき持っているもので、人生がどういう流れかがおおよそ確定されているということ。

 大人になるまでに、こういった経験で属性が確定し、こういった職業が適正でといった大まかなものでしかないらしいけどそれでもまあ生きる道筋が大体決まってるっぽい。いいなあ台風と一緒じゃん。進路決まってんの。


 転生者はそれに該当しないから「選ぶ」という動作が発生するらしいがごくごくごく稀にルートを持った転生者が存在するんだそうだ。ちなみに今まででは5人。全員すでにログから消えている。


「で、お、俺のルートってなに? 死ぬ感じ?」

「なんですぐ死にそうなことばっかり考えるのよ」

「役職は戦闘組確定みたいッスけど」

「エレーナ、短い付き合いだったな」

「死なないから! そんな簡単に死なないから!」


 はっきり言っておくが俺は、趣味はアニメ鑑賞ですって部類の人間だ。もっというとスポーツ経験なんてほとんどない。小学生のときになんとなっく水泳に通ってたくらいだがそれってなんの役にもたたないよな?


 顔は並み以下、身長は平均くらい。中肉中背の、いってしまえば「思い出すのが難しい」タイプだ。そんな俺が戦闘とか死亡フラグですかそうですかってなるじゃん。


「ルートは、また、なんていうか、珍しいものばっかりッスね」

「自爆して魔王を倒すとかいうあれ?」

「なんでそんなにネガティブなのよ……」

「男としては喜んでいいと思うッスよ、俺は無理だけど」

「なんで俺は無理とかいう枕詞つけたの? ねえ?」

「ルートはハーレム、ッス」

「無視すな」

「でもハーレム対象がみんな病んでるっていうおまけもついてるッス」

「は?」


 瑞垣歌生。ごく平凡な、むしろマイナスな大学生。

 電柱にぶつかったら転生した。

 転生先の俺はチートでもイケメンでも魔物でもない。


 「異世界転生したらハーレムルートなのにヤンデレしか選択肢がない、ってこと?」


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