45 一旦持ち帰らせてください、という常套句
『求めてるものが真実じゃなかったらどうするんだ?』
考えても見なかった。知ったらどうとか、そんなことより知らなきゃ始まらないとさえ思って突っ走ろうとした矢先にずっこけた。かっこわりいなあ。
そんなことよりもいろいろと思い出せないことが問題だ。だって大学生活だって二年目だったっていうのにこんなになにもわからないもんなのかよ?
家族のことは、正直あんまり考えたくない。
大学まできちんと出さしてくれた親だっていうのに、こんなに覚えてないんじゃちょっと薄情すぎて自分に泣けてくるからね。
「ね、ね、ウタキさま、いつになったら食べていいの?」
「いや食べさせないよ何言ってんの」
また後日改めて来るからと伝えて一旦王都に戻ることにする。フィーアを今後どうパーティに組み込むか考えなおしたいしクレオにももう一回会っておきたい、と思って飛行船に戻ってきた。俺の両サイドにはティタニアさんとフィーアが、
「いや、正規ヒロインってエレーナだよな?」
「なあに?呼んだ?」
「いやごめんなんでもない」
「ウタキってたまによくわかんないこと言うわよね」
勇者って大変ね、とエレーナは笑った。くっっっっっそかわいくなかった?何今の?どういう状況?
たまにこうやってフラグ立てて来るくせにそういうのばきばきに折ってくるから本当に心も悲鳴上げるってもんだ。ヤンデレハーレムの俺にオアシスなんかないよマジで。
「ふざけるなよ、このクモ女。こいつを殺すのはこの私だ」
「なあにぃ?あっつくるし・・・これだから火属性って嫌いぃ」
「なんだと・・・?貴様もかっさばいてやろうか」
「まーまー、ティタニア様落ち着いて落ち着いて」
「うるさいぞ、準戦闘員」
「一応僕、きちんと戦闘要員としてカウントのはずなんですが」
あいかわらずニコニコこそしているが、あれはちょっと怒ってるな。なんかわかるようになってきたぞ。ロスくんって運転士じゃなくて戦闘要員で来てたのか。ごめんね、俺ロスくんのこと非戦闘員だと思ってた。(俺のが限りなく非戦闘員だったわけだけど)
「あ、もしかして、この見た目がだめなの?」
「うーん、まあそうだね、クモだからね」
「人間っぽくしたらいいってことぉ?おっけぇーい」
バキバキバキッ、と不穏な音を立てながら八本の足が折りたたまれていく。なかなかえぐい光景だ、あんまり見たくなかったな。リトは端っこからぷるぷるとこっちを見ている。あいついつの間に逃げたんだ。
この間接と骨の存在ガン無視してますみたいなトランスフォームなんなの?もっとそれこそ「かあいい」変身方法ないの?これアニメ化できないよね無理だよね。
腹の中心にぱっくりと切れ目が現れ、綺麗に収納されると胴体部分がなんか、こう、ちょっと人間っぽくなった。スキニーデニム履いてる脚っぽい。ただしつま先はぬるっとした棒状。怖い。
「これなら問題なあい?」
「ないけどあとでスカート買おうな」
「わあい!お洋服ぅ!」
だから正規ヒロインってエレーナだよな?なあ?




