39 やめてよして女はダメヤンデレハーレムだから
「娘?」
「娘です。アリアドネといいまして私とはあまり似ていませんけど」
写真を見せられる。なんかこう、ケーキとかぬいぐるみに囲まれて幸せそうなゴスロリに身を包んだピンク色の髪の女の子がたくさんのスイーツを頬張りながら幸せそうな顔で笑っていた。
ぱっと見はロリだ。ここにきてロリ。うん、まあ、正統派ジャンルだよな。俺も好きだよロリ。
見た目は普通の女の子。ロッタ―ルさんと同じで羊みたいな角が生えている。あとこれ背景に紛れて見づらいけど羽はえてるくさくね?蝙蝠みたいな。
「魔王族の第一代目はカタストロフという名で、ほかの固定役職と同じく代々直系の長子が役職を継承いたします。アリアドネのほかにも兄弟が何人かいますし、娘は子供がいませんからあなたが勝ったら息子たちに代替わりしますね」
「そんなさらっと情報ながしていいもんなんですか・・・」
軟弱軟弱とはもうティタニアさんにもマロニエさんにも繰り返し言われたけど、一応勇者、一応敵だ。娘を脅かそうとしている相手に対してこのあけっぴろげな感じはどういうことなんだと問いたい。
「情報というか事実ですから、ねえタカミツさん」
「まあ、そうですね、毎度のことだから」
問題はたった一つ。まさか魔王職まで固定役職だとは思わなかった。完全なる想定外。もしかしなくても魔王戦ものすごく苦戦する可能性出てきてしまった。魔法使えるようになったしなんとかなるかなと思ったけど、曰く固定役職のルートの強制力は絶対だ。
俺のルートと魔王のルート、どちらがより強いかはわからないにしてもこの子は確実にヤンデレだ。俺の本能がそう叫んでいる。
「坊や、顔が真っ青よ」
「いや、なんというか俺女の子に関して厄介なルート持ってるんで・・・」
「あー、毎度毎度勇者役はなんか大変そうだものね」
「それで、ウタキくん、ロッタにも同じことを聞きたいんでしょう?」
「あっ、はい、そうでした。えーと」
「ロッタでよろしくてよ」
「ロッタさん、あなたはこの陣取りゲームに違和感を感じたことないですか」
「あるわ」
「ですよね、やっぱこの世界の・・・なんて?」
「あるわよ」
絶対「何言ってんだ」という反応が返ってくるだろうと身構えてたのでしょっぱなでこけた。そろそろと近くに寄ってきたリトは聞き耳を立てているようできょとんとしながら話を聞いている。
「リト、お前魔王と善領域の陣取り、疑問に思ったことあるか?」
「ないっす、普通のことだと思ってるっすから」
エレーナと同じ反応。やっぱりこれが「人間族」側にとって普通の反応なんだ。タカミツ先生や俺は外部から来てるからいいとしてそりゃあクレオだって悩んでしまうはずだ。周りに行ったってそれこそ何言ってんのって反応しかされないだろうから。
「ふうん、ゲームについて聞きたいのね。いいわ、何でも聞いて」
白磁のティーカップを優雅に傾けてロッタさんは微笑んだ。
やっとアリアドネとウタキがつながった。アルバートくんはまだ出てきません。




