14 この世界のあれやこれや
宿は確保したし、宿主もヤンデレだし、問題抱えつつ問題クリアしてるのはジレンマでしかない。
「なあエレーナ、そういえばここは国なのか？」
「国よ？あ、この世界のシステム的なとこが知りたいのね」
飲み込みが早くて助かる。この世界、エレーナは呼称するけど決まった呼び名はないらしい。俺たちの世界は地球といえばいいんだろうけど。そういやラノベの転生先ってこのナントカという世界では〜みたいに名前があるよな。普通に疑問だけど。
「まず、この世界は大きな国が三つあって、その中に街が沢山あるの。この三つは牽制しあっていてバランスがとれているのよ」
そんな乙女ゲームがあった気がする。
要は三つ巴よりは牽制してたほうが安全で都合がいいってことだろう。王様も大変だ。
「北西のエイベル公国、東のルプリル帝国、そして北の、私達のクレアモル王国」
カタカナ多すぎてもう何もわからない無理。無理。
最初に言ったけど俺はあいにく頭が良くない。
「エイベルとルプリルについては私も学校で習ったことくらいしか知らないわ。クレアモル外周は全て街で、中心にこの王都があって奇襲を避けることを目的にしてるの」
「それで三国間の戦争を防いでるのか」
「あら、私たち善と中立の派閥はそんなことしないわよ」
またなんか新しい属性出てきた。基礎知識だろうからエレーナにとってはなんてことないんだろうけど、俺は小学三年生が中学の授業を受けさせられてるくらいに意味が分からない。
「さっき説明したけど、善国家と中立国家が三つ存在することで人口や移民のバランスはとれてるわ。ウタキたちみたいなイレギュラーも含めてね。
だけど南と西は悪派閥の領土なの。この世界には魔王という役職が存在していて、南は治安が悪いわね」
完全な偏見だが、南ってのはどうにも治安の悪い場所にされるらしい。日本もそういうとこあるよな。
あと今さらっと魔王って言ったよな。さもありなんって顔してるけど俺の生きてた世界で魔王名乗ってるのなんて織田信長くらいしか知らない。あ、閣下はいるよな。
まあ俺は日本史も芸能も詳しくないから、あまり掘り下げないことにする。
「つまり、善・中立・悪の派閥でヒトに分類されるのは善か中立、そうでなければ悪。そしてみんなに役職と５属性、得意分野が存在するのよ」
「半分くらいは理解した」
「なんで半分なのよ、こんなにかみ砕いたのに」
エレーナ先生の基礎知識勉強会、導入だけでほとんどわからない。
俺これからなにしてけばいいんだろう。
「まだ１時ね、じゃあもう少しいろいろ教えるわ」
「俺のことは５歳だと思って説明してくれな」
「はいはい」
