01 エロサイト見るのやめたら転生した
ガラケーからスマホになった利点の一つにエロサイトを見やすくなったというものがある。
当然だよな、だってパソコン持ち歩いてるのと同じだし。ピンキリ価格で容量も様々、ただやってることはパソコンを買うのと大差ない。違いと言えばそれを日常的に使う人がほとんどでライフラインの要の一つであることくらいだろう。
でも、だ。そんな世の中だからこそスマホばっか弄ってる大衆の中で本を読んでるほうが頭がよさそうに見えるってものだ。
なんでそんなこと思ったかというと今見てる深夜アニメの準レギュラーにそういうのがいるからである。
で、だ、
その結果俺がどうしたかというと、エロサイト見るのやめて本に移行するじゃん。けど歩きスマホ癖は抜けてないから本も歩きながら読むじゃん。けどスマホよりも読書のほうが視界が狭くなるってところまでは至っていないわけで。アホかと。
派手に電柱に額をぶつけて、痛いし恥ずかしいしどうしようもない感じになった。誰も見てなかった……っぽいのが幸いだ。
けどしゃがみ込むくらいには痛かったので頭を押さえてその場に蹲る。まあ人間としての正しい反応だ。その前の反応が鈍い? うるせえ黙ってろ。
痛みも治まって、歩き読書はやめよう、と顔を上げる。目の前にあったコンクリートの電柱は丈夫そうな木の看板に早変わり。さっきぶつかった電柱の広告をきちんと見たわけじゃないが少なくとも現代社会で「王都:北に約300m」とか書いてある広告はない。と思う。
待て待て待て待ておかしいおかしいおかしい。ここは日本だ。もっというと大学の帰りなので都区内某所だ。日本の産業と文明の中心(笑)でこんな素朴な木の看板があってたまるか。
あれか、オシャレ系コーヒーショップのオリジナル看板か? それなら多少は合点がいくがそれにしたってでかいだろ。
大体コンクリートジャングルに木の看板て、と視線を逸らすと周囲はビルとコンクリートとアスファルトと車……ではなく、草とせせらぎと風と森である。どういうことなの。
急にUIの設定変えられたらユーザーはついていけないでしょうが。どっかの小説サイトみたいに。
閑話休題。
人間焦りすぎていろいろ通り越すと冷静になれるらしい。いらん知見を得た。
いや、多分極限パニック状態なんだろうけど、途方に暮れる、ってのはこういうことかと痛感してる。焦りすぎで悲鳴もでないと人間はぼやっとするしかないようだ。普段からぼんやりしてるけどな!
「あら。丸腰ね……危ないわよ、そんな軽装で」
「はい?」
真後ろから声をかけられる。振り向くとそこには見事なおっぱ……ゲフン。女の子が眉間にしわを寄せて呆れたようにこちらを見ている……▼
「自殺するには早すぎるわ、同い年くらいよね。早まったりしたらダメよ」
「はあ……いやその……?」
「なあに?」
Aラインの白いコートに金のラインが刺繍された、派手じゃないけど上品な格好だ。紺のタイツの上から左右の太腿にはガーターベルトとホルスターが装備されている。コスプレか? ソシャゲでしか見たことないぞそんな装備。
ちなみにご丁寧に2丁、同モデルの拳銃も差し込まれている。え、本物……じゃないよなそれ……怖……物騒……。
顔は、めちゃくちゃかわいい。色白で二重でわかりやすく美少女だ。インフルエンサーです、芸能人ですって言われても納得できそうな顔だが口説く前に俺にはツッコむべきことがある。
なんで髪の毛水色なんですか?