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ルミナス


  異世界転生を果たした俺は取り敢えずこの世界の情報を集めようと思っていたのだが…


 「え、ルミナス…って」


 前世の記憶が戻ったとは言えこちらの世界の自分の記憶が消えた訳ではないのでなにかいい情報はないかと記憶を探って見たところ、この国の名前に聞き覚えがあったのだ。


 「んー、偶然だよな?」


 しかし、もしかしたらと淡い希望を消し去ることはできないので駄目元で母親に更なる情報を聞き出して見ることにした。


 「お母さん!」


 「どうしたの?そんなに慌てて…」


 「この国の第二王女様のお名前ってなーに?」


 「ルナ·ルミナス様よ」


 その名前を聞いた瞬間体をまるで雷でも走ったかのような激しい衝撃が襲った。


 「ルナ…」


 それは俺が前世で死ぬほど好きだったゲームのキャラクターの名前と一緒だ。

 まさか、本当に…?

 いや、まだ偶然かもしれないので更に確認してみる。


 「第一王女様のお名前は?」


 「今度は第一王女様のお名前が気になるの?サン·ルミナス様よ」


  間違いない。ゲーム『ブレイブナイト〜成功への道』はサン·ルミナスをメインヒロインとしていて、平民の主人公が成り上がり彼女と結婚してこの国の王になることをメインエンドとしたゲーム。


 ここまで名前が一致していることはそうそうないだろう。

 もし仮にここが『ブレナイ』の世界だとしたならば…


 「ルナが実在している」


 「え?」


 まずっ!?声に出ていたらしい。

 お母さんが(もう子供の記憶につられてママとは絶対に呼ばないったら呼ばない)不思議そうな声をあげる。


 「ううん!なんでもないよ!」


 ルナが…、ルナが実際にいる!

 この事実は俺の人生の中で1番嬉しい事だ。


 前世の俺はルナのことを愛していたと言っても過言ではない。

 正直自分でもキモかったと思ってる… 


 それまでも好きな二次元のキャラはいたりしたのだが、ここまで好きになるということは無かった。


 ただ、異世界転生できたというだけでも十分すぎるほどに幸運なのにそんな好きな子がいる世界に転生できた俺は世界一の幸せものかもしれない。


 サンやルナの他にもヒロインはいて、この世界では一夫多妻が認められているのでハーレムルートなんてものもあったのだが、ハーレムルートに入るときにメインのキャラを選択できてルナを選択した時の


 『○○が他の子とも仲良くするのは嫌だけど…。私は○○と一緒にいられるだけで幸せだから。でも…、ちゃんと私を一番に愛してね?』


  といい不安そうな顔で胸に寄り添ってくる彼女とのシーンは萌え死にしそうだったわ…


  

 「あらあら、マークなんだか嬉しそうね?もう体は本当に大丈夫見たいね。そろそろパパも帰ってくる頃よ。元気にお帰りなさいしてあげてね?」  


 お父さんは錬金術師の一種である鍛冶師をしている。

 なぜ鍛冶屋が錬金術師の一種であるかというとこの世界は魔法をあらゆる事の基盤としていて、当然、武器や風呂、電気、水道など様々なものが魔法で動いている。

 

 錬金術師と魔導師の違いは錬金術師とは物質の変成や魔道具、魔法薬など作成などを扱い、魔導師はそれ以上。

 

 つまり物に関する魔法が錬金術。それ以外が魔法ということだ。


 お父さんは武器や一部の魔道具を扱う鍛冶師。

 ちなみにお母さんは薬師。魔法薬に関する錬金術師だ。


 


 ガチャ


「ただいま帰ったぜー!」


 この陽気な声は間違いなくお父さんだ。 


 お父さんはお母さんとは違い40代のおっさんって感じ。

 まさに美女と野獣だ。

 お母さんににればきっと将来イケメンになるんだけどな〜。


 俺の顔立ちからすると将来はお父さんとお母さんを足して割った感じになるのかな?


 まあ、せいぜいちょっとかっこいいか?くらいになりそう。


 「あなた、お帰りなさい。マークお父さんが帰って来たからご飯にするわよ」


 「お父さん、お帰り!」


 「おう!ただいま!…マーク?今パパのことお父さんて呼ばなかったか?つい朝まではパパだったのに」


 「え、あはは言い間違えただけだよ〜、パパ」


 変な所に鋭い。少しずつ変えていかないとやっぱり違和感があるか。


 「そうか?ほら!こい!マーク抱っこしてやる!」


 「やったーー」


  えええーおっさんに抱っこされるとか誰得??と思いつつも喜びの感情を感じるのはマークとしてのものなのだろう。


 この時の俺はこの世界に転生できたことに浮かれて頭がすっかり回っていなかった。

 この世界に転生しただけでは全く意味がないことを。








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