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ラスボスは幼馴染!?  作者: 駄々っ子
第一章 魔族編
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第5話 魔族との軋轢の真実

目を覚ますと、二つの山が見えた。


「んっ…なんだこれ」

手を伸ばし触ってみる、やたらふにふにしたさわり心地。


「…あんっ」

やたら艶めかしい嬌声が山の向こうから聞こえた。

「タケルったら大胆なんだから///」


ハッとして起き上がる。

「魔物は!?」

起き上がってあたりを見回すがそこに魔物の姿はなかった。


「もう大丈夫よ?タケル」


振り返ると、赤い目に金髪巨乳な美人がそこにいた。

「…あのどちらさまでしょうか?」


「ひどーーーいっ?私よ私!」


新手の詐欺か?私私詐欺なのかっ。

俺にこんな金髪巨乳美人の知り合いはいない。ましてや異世界。

そういえばメルの姿が見当たらない。

ん?…となると目の前の美女は…


「…メル…さん?」


「そうよっ、さっきの衝撃で頭でもぶつけたのかと心配しちゃったじゃない。」

「あ、そっか。今の姿じゃわかんないのも無理ないか~」


「本当にメルなのか?」


「そうだよ!」


「とりあえず何が起こったか説明してくれ。」


「ん…わかった。」


焚火がたかれている前に座りなおすとタケルはメルに説明を求めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


時は少しさかのぼる。


「ごちそうさま♡」


「いっけない、ちょっと吸いすぎちゃったかも…」


口を離すとタケルは気絶してしまった。

体に魔力が戻ると、同時に体に変化が起こる。


少女のような姿から、大人の女性へ。

青かった瞳は血の赤へと色を変える。


「キィィィィィィイ」

忘れてんじゃねぇよと言わんばかりに死の蝙蝠は吠える。


「せっかちは嫌われちゃうよ~」


そんな軽口を叩きながら攻撃をいなしていく。

死の蝙蝠は地上戦では決めきれないと空中に飛び上がった。


「蝙蝠ごときが私に手を出そうなんて100年早いのよ。」


「…雷槍、そぉれっ!!」っと


それを死の蝙蝠に向かって投げつける。

手を離れた瞬間、光の如く槍が飛び死の蝙蝠の腹部を消滅させる。


「ギィ?」


あっというまの出来事に何が起こったかわからないまま、死の蝙蝠は撃墜される。


「まぁこんなもんね!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ってなわけ。なのでもう死の蝙蝠はいないわ。」


「…ありがとう、メル、いやメルさん。」


「やだ、メルでいいってば!!」


「いやなんというかその…ずいぶんと大人な姿になっていらっしゃるので…」


「?」

メルは自分の胸を指さし「これ?」っと無言で聞いてくる。

いや、あれは凶器だろー。あんなボインに触れてしまったのか…。


「私の種族はサキュバス。タケル淫魔は知ってる?」


「えーっと、男の夢に出て精を吸いつくすっていう悪魔だよな?」

たしか、そんな悪魔だったはずだ。


「んー半分正解。正確に言うと精ではなくて魔力の方を吸ってるの。いうなれば生命力の搾取かな。それと私の祖先には吸血鬼を夜這したサキュバスがいてね、私は祖先返りしちゃったみたいで、吸血鬼の能力を持ち合わせているの。」


美女が精だの夜這だの言っちゃってるよー。

なんの恥じらいもないな…いや、こっちが恥ずかしくなるんだが。


「つまり、メルは俺の血を吸って魔力を補充したってことかな?」


「正解っ!」


「なんで最初はその姿じゃなかったんだ?」


「淫魔は自由に容姿を変えることができるの。容姿といっても顔とかは変わんないんだけど、年齢をちょっと、ね!まぁ最初は、魔物に追いかけられた時に魔力を使いすぎちゃって、魔力節約のため小さな体になってたってわけ。」


「なるほど」


それで少女のような容姿から大人の雰囲気を感じたわけだ。

一人で妙に納得していると、


「怒ってる?」


そんなことを聞きながらメルが四つん這いになりながら上目遣いで隣に迫ってくる。


焚火に照らされたメルはあまりにも扇情的なポーズで胸の二つの凶器をアピールするかのようだった。

思わずサッと顔をそむけてしまった。


「やっぱり怒ってるよね。騙すようなことをしてごめんなさい!!」


俺が顔をそむけたのを拗ねたのと勘違いし、メルは左腕に抱きついてくる。二つの凶器が腕を蹂躙する。


「…ぐわぁぁぁぁぁ、め、め、め、メルさん、あの…その…当たってます。。。」


「…ん?当ててるんだよ?」


くっコイツ確信犯か!!

「怒ってないから、離してくれ。」 


「…ホント?」


「ホント!!」


「よかった。」


メルはほっと胸をなでおろしたようだ。


改めてメルの姿を見る。

胸元の強調され裾はおへそだけを隠すようなシャツに短パン姿の金髪美女。

女の子座りしているメルは「?」と頭上に浮かんでいるのがわかるほどキョトンとしていた。


背景母上様、僕がピンチの時に助けてくれたのは、金髪赤眼の巨乳美女でした。などとメルを見つめながら若干トリップしていると、


「…ケル…タケルってば!」


メルがゆっさゆさと体をゆする。


はっ!!


「な、な、なんでしょうか!」


「ホントに大丈夫?貧血とかになってない?ちょっと吸いすぎちゃったから…」


あぁ若干頭がフラフラするのは貧血のせいかと思いながら、

「大丈夫だよ、これくらい平気、平気!」


「ところでメルはなんで魔物に追われてたんだ?」


「えーっと、どこから話したらいいのかな。」


「時間はたっぷりあるんだ。最初から聞かせてくれ。」


「ん、わかった。今から300年前この世界は魔族も人族も仲良く暮らしていたの。そこに魔族の中でも特別力を持った吸血鬼が現れた。その吸血鬼が現れた頃、人族が魔族を殺すという事件が発生した。それを機に吸血鬼は魔族を束ね『人族は我らの敵である。彼らは無抵抗の魔族を殺した。我々こそがこの地を統べるにふさわしい種族である、人族など脆弱な種族にこのような辺境の地に追いやられた我らの憎しみ、今こそ晴らしてくれよう。』と奮起したの、私も最初はその軍に参加していたわ、許せない、と。裏切られたという思いが強くて。でも、私は作戦中、人族の村に潜入してて、こんな話を聞いたの。『殺した魔族の亡骸が消えていた』と。そこで私は気付いた。吸血鬼には再生能力がある。彼は無抵抗に殺されたフリをして人族との争いの火種を生み出した。そのことに気づいた私は周りの魔族を説得しようとした。でもその時にはもうすでに、遅かった。周りの魔族は洗脳されていたの。私は洗脳を解くべくいろんな方法を試した。でも洗脳が解けたのはごくわずかな魔族。私は吸血鬼にバレないよう秘密裏に洗脳を解こうと奔走していたのだけど、それがつい先日バレてしまって、魔物をけしかけられたの、魔物は全部倒したんだけど、そこで魔力が切れた時にタケルが助けてくれたというわけなの。」


「だとすると、今の魔族と人族の争いはその吸血鬼が仕組んだということなのか?」


「そう…。この100年で人族は魔族を、魔族は人族を完全に憎しみあってしまった。私しか止められなかったのに、止めることができなかった。」


そう言うとメルは俯き、頬に一筋の涙が伝った。


「俺たちなら、人族と魔族が仲良くしている様子を見れば、変えられるんじゃないか?幸い俺と一緒に来た異世界組は魔族に対して偏見がない。というか知りもしない相手に偏見を持てという方がおかしい。俺たちならそれを変えることができる可能性はあるだろ?説得できるかもしれないしな。」


「ほんとに…できるの?」


「ああ、俺達にしかできない。」


「…タケルっ!!!!!」


「どわっ!!!!急に抱きついてくるな。」


メルに押し倒された。


「ホントにほんとにそんな世界を取り戻せるの?」もはやボロボロと泣きながら


「ああ。きっとやれる。」力強く返事をした。


メルは抱きついたままグスッと鼻を鳴らし動かない。

こういう時どうしたもんかなぁと内心思いながら、頭をポンポンとしてやった。


メルはしばらくすると起き上がり、赤い目をさらに赤くしながら


「もう大丈夫!ありがとね…」

と頬を赤く染めながらはにかんだほほ笑みを見せた。


そして、次の瞬間とんでもないことを言い始めた。

「でもタケル、今のままじゃ無理ね!何かをなそうと思えばそれなりの力は必要なのよ!」


「…ごもっともです。」

死の蝙蝠に手も足もでなかった俺では確かにどうしようもないのかもしれない。


「というわけでやっぱり魔族領にいきましょう!」


「は?え?」


「あ、勘違いしないでね。いきなり説得に行くんじゃなくて私が洗脳を説いた魔族達がひそかに作った町があるの、そこに行きましょう。」


「ん?どうして魔族領でないといけないんだ?」


「それはナイショ」口に人差し指をあてなんとも魅惑的なポーズである。


「んっ…」


メルは背中から羽を出す。蝙蝠のような翼が背中から出てきた。


「えええええええええええええええ、羽出せるのメル…さん?」


「え、あ、うん?吸血鬼の血のおかげで。もちろん魔力がないと飛べないし、魔力を途方もなく消費するから飛ばないんだけど。」とチラチラと見てくるメル。


あ、察し…どうやらその補給源はオレのようだ。


「じゃあ行こっか。」


「…はい。」


メルはすでに宙に浮いている。

メルの手をぎゅっと握ると、、、


「じゃあ行くよっ!!」


こうして俺は魔族領へとむかった。




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