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ラスボスは幼馴染!?  作者: 駄々っ子
第一章 魔族編
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第4話 出会い

本作ヒロインの登場回です。

ハーレムタグをつけているので、今後も続々登場予定ですが、なにせ筆が進まない(笑)

がんばって書いてますので、生ぬるい眼差しで応援お願いします。

やばい、やばい、やばい。

とっさに風の魔法を駆使し何とか落下速度を下げる。


谷底には川が流れていた。

地面に叩きつけられてお陀仏という事態は避けられたが、しかし今度は水攻めである。


なんとか激流の中、岸にたどり着いた。


「はぁ…はぁ…はぁ…」


必死で泳いだ。死ぬかと思った。

落ちる時に気絶してたらお陀仏だったな完全に。


「澪…無事かな。」なんて独り言をつぶやきながら上を見上げる。

月夜に照らされた谷底から推測するにそうとうな深さの谷のようだ。

日が昇ってからもう一度確認するか。


「へっぶしっ」


とりあえず濡れた衣服をどうにかしなきゃなぁ。周囲に有った燃えそうな素材を見つけ、魔術で火をつける。


暖を取りながら、どうしたものかと考える。

出掛けに見た地図は確か、魔族の領域の近くだったはず……。


幸い武器はある、大人数相手でなければなんとかなるだろう。

助けがくる可能性はゼロかなぁ。この世界に高度な救命器具はなそうだし。


付近には魔物の気配はないが、このまま眠るのは不安だ。

とりあえず火は絶やさないようにするか。


良かった、火魔術の適性があって。

どうやら魔術には向き不向きな属性がある。

適正値が低いと発動の威力も低く、効果持続も短い。

騎士達の見立てによると俺の魔術は

火 60%

水 20%

風 40%

土 20%

雷 30%


特殊系統に至っては発動プロセスがイマイチ理解出来なかったため、0%だ。


魔法の概念については、体内にある魔力をイメージや詠唱によって体外に具現化する。ただし、どんなにイメージができても魔力がなければ、発動はしない。


魔力→イメージ→詠唱→発動のプロセスを辿る。


また、剣に纏わせることができたのも初級火魔術のみである。効果時間は適正、魔力依存による為、さほど長くはない。

先の戦いで魔力消費している為、魔物と遭遇しないに越したことは無い。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



3時間くらいは歩いたと思うが何せ時計がない為、正確な時間はわからない。スマホ使えないしなこの世界。

どこまで続いてんだこの谷。悪態をつきながら歩く。


「休憩するか。」


どこか適当に身を隠せるような場所を探すことにする。

と、その時前方に黒い塊が見えた。


「ちっ、こんなところで新手の魔物か。」


とりあえず松明の火を川へ投げ入れた。

幸い月夜の為、ほのかに明るい谷底を警戒しながら黒い塊に近づく。


ドックン…ドクン…ドクン…

心臓の音がやたら聞こえてくる。

剣を持つ手に汗をかく。

どうやら黒い塊は動く気配がない。


恐る恐る近づくと。



少女だった。


なんでこんなところに少女がと思いながらも、あわてて駆け寄る。

「おい、大丈夫か?」


少女は金髪でまだ幼さの残るものの端正な顔立ちをしていた。

年の頃は10歳前後といったところだろうか。

体は濡れ、体温がかなり低下しているのがわかる。


いそいそと燃える物をかき集め、火をつけた。

しばらくすると


パチっパチっ…周囲の静けさに焚火の音のみがしている。


「…んっ」


「おっ!目が覚めたか。」


「わっ!!誰!?どこ!?なんで!?」


タケルは少女の体が冷えていたので毛布代わりに抱きかかえるようにして座っていたのである。


そして少女の衣服はお手製の木の枝で作った物干しに掛けた。

少女とは言え脱がせるのに戸惑ったが人命救助の為と意を決して脱がした。俺は断じて幼女に興味はない!!と。


そして少女は飛び起きシャツで下半身を隠しながら、タケルから距離をとった。


「落ち着け!俺は君が倒れてるのを見つけて助けただけだ。」


「なんで私はこんな格好なの?この変態!!」

言いながら少女は後ずさる。


「…っ、衣服が濡れていたからだよ。そのままでいたら間違いなく死ん でいたぞ?」


少女は衣服がかかっているのを視界の隅に確認し、ぺこっと頭を下げた。


「ごめんなさい、助けてくれてありがとう。」


「君の名前は?」


「…メル。お兄ちゃんは?」


「タケルだよ。」


「…タケルはなんでここにいるの?」


「うーーん。いたくているんじゃなくて魔物に落とされちゃって…メルはどうしてここにいるんだ?」


「魔物に追いかけられちゃって気づいたら川に落ちちゃったの。」


しばらくの沈黙。


ふいに少女は話し出す。

「タケル?タケルも私のこと殺すの?」


「ん?メルのこと?」

殺す?なぜそうなる?


「そう、私は魔族。タケルは人族でしょう。魔族と人族は争ってるから。」


「いや殺さないよ?実は俺はこの世界の人間じゃないんだ。」


自分が異世界から来たこと。ここに来るまでの経緯を話した。

メルもぽつぽつと魔族のことについて話した。魔族全体が人族に敵意を持っているわけではない。一部過激派による現在の状況であること。


「そうなのか。」


「タケル信じてくれるんだね。ありがとう。」

ニコっとほほ笑んだ。


その笑顔は少女の雰囲気ではなく明らかに大人の女性の雰囲気で思わず、思わず息をのんで見とれてしまった。


はっ!!ダメだダメだ。あわてて首をぶんぶんと振る。

(去れ!邪心よ!!)心に宿った危ない感情を追い払うようにメルに話しかける。


「ちなみにメルはここがどこだかわかる?」


「ここは魔族領アビス・デ・スコトス峡谷」


早口言葉みたいな地名だな…


「魔族領か…メルここから抜ける方法を知らないか?」


「ここからさらに南にいけば平地に続く道に出られる、はず…」


「まぁでもそれしか道はないなら進むしかないか。メルをお父さんとお母さんのもとに送んなきゃなんないしな。」


「え?タケル魔族領に行くつもりなの?」


「メルは魔族領に両親がいるんだろ?」


「私は、一人…両親はずいぶん前に死んだ。」


「あーそうなのか。でも家は魔族領にあるんだろ?」


「あそこに私の居場所はない。」


「そっか。」10歳の子供なのに随分と苦労してきたせいで大人びているのか。


「とりあえず南を目指そう!メル知り合いがいないわけじゃないんだろ?」


「うん。だけど…「よし!南に向けて出発!!」」


メルの前にかがんで背中を向ける。


「ほら!乗れよ!」

メルを背中に乗せて歩き出す。

魔族領はどういうとこなのかとか。

そんなことを話しているうちにメルがだんだんうつらうつらし始めた。


「メル寝てていいぞ。」


「…う…ん」

間もなく背中から寝息が聞こえ始める。


メルを背負い手がふさがっているため、松明は持てなかったが、

幸い月明かりがあるため、歩くのに支障はなかった。

吸いこまれそうな闇、メルがいなかったらちょっと寂しかったかなと自嘲しながら、背中のぬくもりに意識を傾けた。


と、その時。

周囲が闇に包まれた。


雲ではないな。今日はきれいな月夜だったはず。


月を見ると何やら月を隠す物体…

なんだ、あれは!


「ちっ!メル!メル起きろ!」


「…んっなに?タケル」


「魔物だ!」


メルはガバッと起き上がる!


「ん?どこにいるの?」メルはキョトンとした。


「上だ!」


「あれはデスバット、飛行能力は高くないはずだからきっと地面におりてくる。タケル逃げて!!」


死の蝙蝠は俺目がけて急降下してきた。


「うおっ!」


いそいで後方に飛び退く、地上に現れた死の蝙蝠は翼を広げ約2メートル。ただし凶悪そうな爪をもっていた。


「俺の知っている蝙蝠よりはるかにでかく凶暴そうなんだが。メルこいつの弱点は?」


「雷の魔法には弱いはずだよ。」


「よりによって雷かっ…」こんなことならもっと魔術に真剣になるんだった。といまさらどうしようもないことを思いながら死の蝙蝠からの攻撃を回避する。


メルを背負っている以上攻撃を食らうわけにはいかない。

そしてメルを背負っているから攻撃もできない。


「タケル!私がやる!」


「…紫電」


メルの手から紫色の稲妻が繰り出される。

初級の雷魔術だ。


「ギャアァァァァァ」


「やったのか…」


束の間、死の蝙蝠は飛び上がった。


「ごめんタケル。初級魔術じゃ手も足も出ない。」


「メル降りてくれ、降りたら俺が攻撃するから安全な場所に身を隠すんだ。」


「わかった。」


メルをおろし詠唱しながら駈け出す。

「天を切り裂く紫電を我が剣に、雷剣」

剣が雷を纏う。

持続時間は長くはもたない、一撃で決めてやるっ。


死の蝙蝠を袈裟切りにした。


しかし、踏み込みが浅く致命傷には至らなかったようでカウンターを返されてしまう。


「がはっ!」


羽ばたきによる風魔術が襲う。


「がはっ」

背後の岩に背中を叩きつけられた。


「タケルっ!!!」

メルが駆け寄ってくる。


「…メル、逃げろ…」


「タケル、私を信じて!!!」

メルが抱きついてきた、え?なにこれどゆこと?


次の瞬間…首筋にメルの牙が突き立てられた。

「いたっ…メル…なにを…」

急速に体の力が抜けるのを感じる。


突き立てられた牙が首筋から離れていくのを感じる。


「ごちそうさま♡」


意識を朦朧とさせながら気を失う前に見たメルは、やたら妖艶にほほ笑んだのだった。



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