プロローグ
処女作です。
いつもの日常、朝目覚まし時計にぶったたいて止め、そのまま二度寝に耽る。
人生で至福の一時である。眠りに落ちるか落ちないかの間際。
バンっ!!!!!
「猛起きなさい!!!!!!!!!!!!」
勢いよくドアが開き、近所迷惑この上ない声で怒号が聞こえた。
声の正体は隣の家に住む幼馴染、上原澪、セミロングの黒髪にきりっとした目元、やや?男勝りな性格に勝気な性格、黙っていれば美人という言葉がぴったり、ちなみに彼女の父親は空手道場の師範であり、例にもれず澪も幼いころから空手をしており現在は有段者という兵である。
未だ起きない俺は布団をはぎとられ、バチンっと頬に鋭い一撃を頂く
「おはよう」
「…あぁ、お、おはよう」
「毎朝叩かれないと起きれないのこの惰眠貪ろうは」
澪はやれやれといった表情である。
頼んでもないのに起こしにきてんのはお前だよ!!!
声に出さずジト目を向けると見透かされたのか。
「何か文句でもあるのかしら?」
にこやかな表情なのだがものすごい殺気を感じてしまったが為、しぶしぶ目を覚ました。
「早く準備して!また寝たら今度こそぶっ飛ばすからね!」
なんとも物騒な言葉を言い残し階段を下りて行くのであった。
「おばさーーーーんタケル起きたよ!!!」
「いつもありがとうね、澪ちゃんが起こしてくれるから助かってるのよ」
「とんでもないです、こちらこそ毎日朝ごはんまで頂いてありがとうございます。」
「いいのよ~未来のお嫁さんなんだから!」
「もうおばさんったら!気が早いです!!!」
そんな会話を聞きながら準備を終え階段を降りる。
いつものように朝食をかきこみ。
「いってきます」と家を出る。
そう遠くない通学路なのだが、寝坊したため走る。
そして我がクラス2-Bのドアを開ける。
ガラガラっ
澪と共に遅刻5分前に教室に到着する。
「タケルが早く起きないせいだからねっ!!!」
「朝から耳元で喚くなよ・・・」
そんな会話をしながら席に着くと。
「おはようございますわ」
声の主は隣の席、財閥のご令嬢、荻原桜花 である。かなりの大財閥の孫娘である桜花がなぜこんな庶民の学校にと思うのだが、どうも本人の希望によるものらしい。
桜花の外見については学校でも1、2を争う。物腰も柔らかく、長い髪ゆるふわな茶髪に吸い込まれそうな瞳。少し儚げな印象がtheお嬢様だ。
人気が高いお嬢様が話しかけてくる。当然そこには周囲の目が集まる。一部の熱狂的ファンのクラスメートから殺意に近い視線を浴びながら
「おはよう荻原」
「いやですわ、桜花とお呼びくださいませと言ってるではありませんか。」
「あ、いやその…」
どう返事をしようか戸惑っていると、
「おはよう桜花!」
なぜか、このお嬢様は親しげに自分の名を呼べと言ってくるのである、
「よ!桜花おはよう」
なんて話掛ければ一部の熱狂的なファンによってコンクリ詰めにされて海に流されかねない。
人生に波風を立てないがモットーの俺にとって財閥のお嬢様なんて大海原のハリケーンで暴風雨を巻き起こす原因でしかないのだ。邪険にするわけでもなく、当たり障りのない会話だけでやり過ごすのが一番だしな。
「おっす!タケル今日も夫婦そろって登校か!」
後ろの席から豪田傑が話しかけてくる。スポーツ万能の力持ち、まさに豪傑なのである。身長180センチ短くそろえた髪、意外なことにキレイ系の顔である。言いよってくる女子も少なくないのだが特定の彼女の噂は聞かない。なんでも好きな人がいるとか、いないとか。
「こんなにガサツな嫁は願い下げだ。」
ぶっきらぼうに言いながら傑に話すと
「誰がガサツなのかなー?ターケールーくーん?」
前の席の澪が振り向く、顔に気持ち悪いほどの笑みを張り付けている。
それに気付かず澪の過去の武勇伝を傑に話す。
「小さい頃は近所のガキ大将を一撃で沈めた黄金の拳の持ちぬ…ぶふぉほぉぉぉ」
言い終える前に伝説の拳が放たれ、反応しきれず盛大に顔面にヒットした。
机に突っ伏し痛みに悶絶寸前の俺を尻目に
「お前ら、夫婦喧嘩はほどほどにな!」
カラカラと笑う傑。
「誰が夫婦だ!!!!!!」
「誰が夫婦よ!!!!!!」
そんなありふれた日常にちょっとだけの退屈を感じながら高校生活は順調だった。
あの事件が起こるまでは……
その日は課外授業だった。なんでも学校裏にギリシャのパルテノン神殿の様な建物が地面に埋まっていたらしい。
現在は発掘作業は終わり見学ができるようになっているものの、地面にぽっかりと大穴があいている。
一般開放されているためか立ち入り禁止のスペースもなく、とはいっても部屋なんぞない、それがゆえに最近見つかったというのに足を踏み入れることができているのだ。
担任、不知火美南先生より
「遊びではないから、しっかりと見学するように!後日レポートを提出!」という宿題を言い残しクラスは解散となった。
「真っ黒な神殿なんてちょっと不気味ね」
「大昔にはもっとたくさんあったのかもな」
などと、話しながら澪と神殿内を歩いていた。神殿の広さは人が50人ほど収容できそうなスペースに真っ黒な柱、真っ黒な床。上には大穴があいている為暗くはないのだが、不気味だ。
そのとき、
「…み…つけ…た」
まるで地の底から聞こえるような不気味な声…。他のクラスメートは気付いてない様である。
「今…確かに見つけたって聞こえたよね?」
「……あぁ」
澪にも聞こえたのか。
その直後、神殿中央から何やら真っ白な円環の幾何学模様…が発生し、またたく間に神殿の床全域に広がると白い光を発し始めた。
何が起こっているのかは分からない。
先生の叫ぶ声が聞こえる。
「みんな!逃げて!!!」
足元の幾何学模様は強い光を発し、カッと光ると俺たちは真っ白な光の中に包まれた。
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