箱の中のキャンディ
みんな、箱を持っていて、その中にはキャンディが入っていました。
箱の大きさや柄、キャンディの量や味もバラバラだけれど、だれもが必死に抱えています。
たくさんの味が入っていますから、中には嫌いな味だってあるでしょう。
そのキャンディを、どうしましょう。
吐き出して、捨ててしまいますか?
それとも、我慢してでも最後まで舐めますか?
どちらを選ぶことも出来ます。
ある人は、好きな味しか舐めませんでした。それ以外のものは全て、ペッと吐き出してそのまんまにして、気に入るものだけを求めて舐めるのです。
ときには、人が持つキャンディを取ってしまうこともありました。
またある人は、どのキャンディも美味しそうに舐めました。たとえ好みに合わない味であっても、キャンディを手にしていること、それ自体が嬉しいらしく、笑顔で舐めていました。
どちらが幸せとか、そういうわけではないのです。
中には、こんな人もいました。
一つ。偶然、自分の好みに合わないキャンディを取ってしまいました。
だから「もういらない」と、残りのキャンディも全て放り出してしまったのです。
あと少し、あと少しで大好きなキャンディを舐められたかもしれないのに。
どんなに欲しくても、キャンディが手に入らなくて、泣いている子もいるというのに……。
箱の中のキャンディは、同じではありません。
大きさも数も味も見た目も、全部が違っています。
だから――