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それから1時間くらいゆっくりしてから、また馬車に乗って移動した。
休憩中、少し体を動かそうかとリィム隊長に言われ、剣を教えてもらった。
プリンセスガードの実技試験の相手に剣を習うってのもアレだったけど、僕はまだまだ素人だから…と割り切った。
リィム隊長の剣は、トモエ隊長の剣と違う。
相手に動きを読ませない多種多様な動きをする力強い剣が、トモエ隊長。
流れるような動きで相手のどんな剣にも対応する綺麗な剣が、リィム隊長。
絶対的な恐怖を感じるのはトモエ隊長の剣だが、動きのリズムが崩せないとあっという間にやられるリィム隊長の剣も恐ろしい。
僕は勝てるのか、この人の剣に…
馬車の中
「ふぅ、やはり体を動かすのは気持ちが良いな」
「そうですね、汗をかくとなんだかスッキリします」
「む、私と一緒にいるとスッキリしないことがあったのか?」
リィム隊長はムッとした、顔をした。
怖くない、むしろ可愛い。いや綺麗可愛い。
「いや、その、すごく緊張してたんですよ!リィム隊長とも、まだ会ってからそう時間は経ってないし、馬車に乗るのも初めてだし、他国に行くのも初めてだし……色々あって……」
「私だって、愛してる男と自分の国に行けるということが嬉しい反面、嫌われたらどうしようとか、期待に応えられるだろうかとか、私のことを気に入ってもらえるだろうかとか、緊張の連続だぞ」
「ほ、ほんとですか?」
「嘘などつくものか、ほら手を貸してみろ」
僕とリィム隊長は今、向かい合わせのソファにそれぞれ座っている。
リィム隊長は、言いながら僕の方に体を乗り出し、僕の腕を掴む。
いきなりだったので僕はリィム隊長の方に体を引っ張られる。
そして僕の手はリィム隊長の薄い服越しの胸に押し付けられた。
布越しの女性の胸の柔らかさを感じた瞬間、僕は自分の顔が熱くなるのを感じた。
「り、リィム隊長!?」
「私の胸の高鳴りが聞こえるだろうか…?クルトのことを思うと、こんなにも鼓動が早くなるのだ…」
さらにギュッと強く押し付けられる。
「わ、わかりました!わかりましたから手を離してください!」
「本当にわかっているのか?胸の肉が邪魔で聞こえないのではないか?」
「邪魔じゃないですし、聞こえてますから!」
「そうか…わかってくれたのならいい」
リィム隊長はゆっくりと僕の腕を掴んでいる手を緩めてくれた。
僕はホッとした。
「すみませんでした…」
「なぜ謝る。私はクルトに理解してもらえて嬉しかったのに」
「いや、その…体に触れてしまいましたので…」
「? クルトが私の体に触れると何か問題があるのか?」
問題しかねーよ!!
って叫びたいけど叫べない。
空気に敏感王子だから…
「あぁ、なるほど!」とリィム隊長突然手をポンと叩いた。
「すまぬな、クルトの年頃だったら女の胸に触ったら興奮してしまうよな」
「へ!?」
「決して色仕掛けをしたわけではないので、誤解しないでほしい。私の胸の高鳴りを伝える方法が、それしか思い浮かばなかったのだ」
「は、はぁ」
「私の体を使ってクルトに好きになってもらうのは違うよな…互いの心を通わせて、内面から理解してもらいたいのだ」
「は、はい」
「女の体は武器だ、と女中が言っていたが、それは最後の手段に取っておくよ、ふふ」
照れ笑いをしたリィム隊長はとても綺麗だったが、なんだかこれからも体に触れるスキンシップが無くなりそうにない感じがするのは、僕だけかな…。
そして、色々と会話をしている内に外は夕焼けに染まり始めていた。




