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「クルト……クルト……」
「ん……」
「朝だぞ…ちょっと早いが、私も自分の部屋に戻らないといけないからな…」
「はい…おはようございま…ぷ!」
僕を抱きしめながら、優しく起こしてくれたトモエ隊長から離れようとしたら、離れなかった。
「ふふ」
「ふぉもえふぁいひょふ~」
「私の胸は気持ちいいだろう?もう少し堪能しておけ」
「ぷは!いや、起こしてくれたのに、起きれないってどういうことでしょうか…」
「良いではないか。あと…少しだけ…」
トモエ隊長のぬくもりを全身で感じると、また眠くなりそう。
僕が目を閉じると、トモエ隊長はやさしく僕の頭を撫でてくれた。
謁見の間
まだ隊員たちや城で働いてる人たちも起きてない時間、僕とリィム隊長と母上と父上とリムだけが、この場所に集まった。
昨日はリィム隊長のための宴が開かれたとかなんとか聞いたが、4人ともなんともないみたいだ。
「おはようございます、女王陛下!」
「おはようございます!」
リィム隊長と僕が挨拶をする。
「おはよう、みんな。朝早くからありがとうね」
母上はいつも通りの表情と口調だった。
「おはようなのじゃ!兄上を見送るために、頑張って起きたのじゃが……やっぱり眠いのじゃ…」
「昨日は宴もあったし、無理しなくても良かったのに…リムったらお兄ちゃんが大好きなんだから」
母上の言葉に、リムは「当たり前じゃ!」と胸を張っていた。
僕はすごく嬉しかった!
「おう、クルトにリィム隊長にみんな…おは……うぷ!!」
「ちょっとあなた!だから昨日あまり飲まないようにって言ったのに!」
「う~やばい、マジでヤバイ…洗面器的なバケツ的なものが今…世界で一番欲しい…」
父上は完全なる二日酔いだった。
息子の旅立ちとリィム隊長の見送りに、吐かれたらそれはそれで記憶に残りそうだ。
「だってよぉ…リィムちゃんが「お酒でも地上に敵はいないんですか?」なんて言いながら注いでくれるもんだからよぉ…おえっぷ」
「人のせいにしない!」
スコン、と父上の頭をスリッパで、はたく母上。
スリッパなんてどこに隠していたのだろう…
気にしてはいけない…
「今日は私のために集まって頂き、感謝します。クルト王子は責任を持って私が護衛いたしますので」
と、リィム隊長は僕の腕に自分の腕を絡ませ、見つめてきた。
軽装のリィム隊長の胸の感触に、僕はドキッとしてしまう。
「あらあら、どこまで責任とってくれるか楽しみね」
「むー!!リィム殿、兄上をく れ ぐ れ も頼むぞ!!」
「はっはっは、モテモテだな、クルト!!父さんも昔な……ぐふっ!!二日酔いでも容赦ないな……」
「あ、あはは…母上、父上、リム、行って来ます!!」
母上は僕の近くまで来て、僕の両手を握った。
「帰りはこちらから迎えを出すから、存分に楽しんで来なさい」
「いえ、でも遊びではないので…」
「研修とは名目よ。今まで外に出たのは、城下町とトモエちゃんの故郷だけでしょ?
今の内に色々見て回ったほうがいいわ。
あなたは近いうちに決断を迫られるのだから…ね」
最後、母上が少し寂しそうな顔をした。
「クルト、エルフの国は森の中だ。この城の軍隊とは、また違った編成になっているはずだ。色々見て聞いて、帰ってきたら皆に教えてやれ。
それ以外は観光だと思って、リィムちゃんに甘えるといい。な!」
父上は男くさい笑顔で親指を立てている。
「分かりました!!リィム隊長よろしくお願いします!!」
「あにうえ!いってらっしゃいのチューじゃ!!」
リムは僕に向かって飛びついて、頬にキスをしてくれた。
「ありがとうリム!行って来ます!!」
「では行こうか」とリィム隊長に促され、僕は歩きはじめた。
「外に馬車を待たせている。少し長い旅になるだろうが、なんでも私に言ってほしい」
「はい!よろしくお願いします!!」
大きめの道具袋と剣を担ぎ、僕とリィム隊長は、城下町の外に待っている馬車まで向かった。




