17
朝。
体が動きません。
少しでも動くと、体の節々が悲鳴をあげています。
でも、行かなくてはいけないんです。
正直、辛いです。
食堂
「あ、クルトー!おはよー!」
「クルちゃん~おはよ~」
「(クルちゃん?)おはようございます!ジェシカさん、テレーズさん!」
「ちょっとテレーズ、クルちゃんって何よ?」
「クルトだから~クルちゃんでいいかなって~」
「あ、はは・・・」
「よう、クルト、おはよう」
「ベアさん、おはようございます!」
「昨日は初日だからか張り切っていたが・・・体は大丈夫か?」
「あはは・・・もれなく筋肉痛です!」
「ははは!まぁあんだけやってりゃな!」
言い忘れたが。
ベアさんは、大柄なオールバックの顔がいかつい人だ。
兄貴!って感じのね。
腕なんて丸太みたいだし、肩幅もすごいことになってる。
・・・どう鍛えたらこんな風になるんだろう。
ジェシカさん、テレーズさん、ベアさんと4人で談笑しながら朝食を取った。
この3人は、仲が良いらしく、いつも一緒にいることが多いらしい。
朝礼のあと、トモエ隊長からトレーニング項目が書かれた紙を渡された。
毎日この紙に書いてあることをやれってことだよな。
・・・だが、一日で終わる量なのか、これ・・・
トモエ隊長に渡された紙の通りに、トレーニングを行っていく。
正直、筋肉痛で何をするにも痛くて、諦めたくなった。
でも、そんなとき、リムの笑顔を思い浮かべた。
リムは、僕が守るんだ。
そう、自分を奮い立たせた。
・・・
一週間もトレーニングを続けていると、3番隊の人たちがたまに声をかけてくれるようになった。
頑張れよ、とか、紙書かれているトレーニングの意味とか、色々教わった。
誰も悪い人はいなかった。
さすが、トモエ隊長だ。
中でも、特に仲良くしてもらってるのは、ジェシカさん、テレーズさん、ベアさんだった。
兄や姉っていうのは、こういう感じなのかな・・・
毎日毎日、孤独な筋トレとの戦いだけど、ひどく充実していた。
ある日。
「クルト、ちょっといい?」
「はい!ジェシカさん、何でしょうか!」
晩飯後の夜ミーティングのあと、ジェシカさんから声をかけられた。
「非番の取り方なんだけどさ、クルトもアタシたちに合わせて取りなよ!アタシとテレーズとベアはいつも一緒に取ってるんだよ」
「えっと・・・はい!分かりました!」
「お、深く考えないで返事する、その若者らしさ!たまらないねぇ!・・・ま、そうすれば休みの日、一緒に遊んだりできるじゃん?・・・剣とかも見てあげられるしね」
「ジェシカさんの優しさに、感激しました!」
「クルト・・・すっかり軍隊式に染まっちゃって・・・お姉さんは嬉しいやら悲しいやら・・・」
「あ~、クルちゃん~、ジェシカと何話してたの~?」
テレーズさんもやってきた。
「非番の取り方か~、うん~、一緒がいいよ~、絶対~」
「だろ?せっかく仲良くなったんだからな!」
「ほ~んと、クルちゃんは~弟みたいで~可愛いなぁ~なでなで~」
ちょっと前から、テレーズさんに頭を撫でられることが多くなってきた。
色んな意味で、くすぐったい。
他の人はそれを見て、微笑ましい顔で通り過ぎていく。
もはや小動物扱いだ。
「テレーズさん!いつも可愛がってくれて、ありがとうございます!」
「クルト・・・それは元気よく言うことかぁ・・・?」
「えへへ~、そろそろ~、ハグハグと~、スリスリも~、追加しようかな~」
「ちょっと、テレーズ!抜け駆けはしないって約束したわよね!?」
ジェシカさんもテレーズさんに、僕は甘えっぱなしだ。
いつか、きっと、恩返しをしてあげたいと思う今日この頃だった。
ほんと、二人は同郷出身の幼馴染だけあって、仲がいいなぁ。
そんなこんなで、初めての非番の日が訪れた。
今日ぐらいは筋肉を休ろ、とベアさんに言われたため実行しようと思う。
超回復とか、色々あるらしい。
筋肉も奥が深いな・・・
習慣で早く起きてしまった。
まだ朝食まで、しばらく時間がある。
・・・そうだ、久しぶりに剣を振ろう。
訓練場
まだ朝早い時間からか、誰もいなかった。
僕は鎧を着ずに、私服で、剣だけ持って訓練場まできた。
鞘から剣を抜く。
今まで・・・自分から剣を振ろうなんて思ったこと無かったからな・・・
とりあえず、素振りをしよう。
毎日毎日、筋トレをしているためか、剣は幾分か軽く感じられた。
よし・・・いいぞ・・・
覚えている剣の型をやってみる。
すごく簡単な初歩的なやつだけどね。
中々イメージに近い感じで、振れていると思う。
僕は次第に夢中になっていた。
筋肉痛も忘れ。
「クルト」
ドキッとした。この声は・・・トモエ隊長・・・!!
瞬時に僕の脳裏に浮かんだのは・・・
「私がやめろと言うまで筋トレだ。」
勝手に剣を振ってるがいいのだろうか・・・
非番だから別にいいだろう・・・
いや・・・だめなのか・・・?
僕は表面的にかいている汗以外に、冷たい汗を感じていた。
「朝早くから頑張っているな」
「おはようございます!トモエ隊長!」
「うむ。非番のときにまで訓練しているとは・・・感心するが、体を休めることも訓練の内だ」
「ご指導ありがとうございます!体が勝手に動いてしまいました!」
「まぁ良い。非番の時間をどう使うかは個人の自由だしな・・・無理せず頑張れ」
「はい!!」
トモエ隊長は、そう言い残し去っていった。
剣のことについては何も言われなかった。
よ、良かった~・・・
よし、これで非番のときは剣を振っていいという安心感ができたぞ。
しばらくして。
また僕は剣を振るのに夢中になっていた。
「あ、クルト!こんなところにいた!!」
「クルちゃ~ん、おはよ~」
「ジェシカさん、テレーズさん、おはようございます!」
こんな朝早くから、結構みんな起きてるんだな。
・・・みんな習慣なのかな。
「ちぇー、せっかく非番だから、朝早くクルトの部屋に潜入して、クルトが眠ってるベッドに裸で入って、クルトが目を覚ましたら、昨日は激しかったね・・・キャッ、なんて朝チュンドッキリを楽しもうと思ったのにーーー!!」
「・・・えっと、ジェシカさん?」
「クルちゃ~ん、今からでも私の部屋に行って~、寝なおさない~?」
「・・・えっと、テレーズさん?」
「こらテレーズ!最近、抜け駆けっぽい発言が多いぞ!自重しろ自重!」
「お互い様だよ~、朝チュン既成事実だって~、立派な抜け駆け発言だよ~」
「あ、あははは・・・」
ほんと、この二人を見ていると飽きないなぁ。
「お、クルト、剣振ってたのか?」
「あ、ベアさん!おはようございます!」
「おう!・・・筋トレばっかしてて、剣が恋しくなっちまったか?」
「あはは・・・正直なところ、体が勝手に動いてました!」
「おいおい、非番だってのに偉いやつだなぁ・・・たまには体を休ませてやれ・・・って言っても、その体が勝手に動いたんだっけか?がっはっは!」
「あはは・・・」
「おい、ベア、珍しいな。非番の日にこんな朝から起きてるなんて」
「ん?いやぁ、ちょっとクルトの剣でも見てやろうかなぁと思って、早起きして剣の手入れでもしようかと・・・」
「ぐ・・・まともな理由で早起きしてやがる・・・」
「朝チュン既成事実のために早起きなんて~、ジェシカは本当にダメ人間だね~」
「うるさい!じゃあ、テレーズは何で早起きしてんのよ?」
「ジェシカが起こしたんでしょ~、も~」
「あ、あれ?そうだったっけ・・・?」
ジェシカは猪突猛進タイプです。
「おい、クルト。朝チュン既成事実って・・・何のことだ?」
「えっと・・・かくかくしかじか」
「ちょっとクルト!何ベアに説明してんのよ!」
「なるほど・・・ジェシカもほんと行動力だけはあるよなぁ・・・ニヤニヤ」
「ニヤニヤしてんじゃねー!!」
「ニヤニヤ~」
「テレーズも!!」
結局、朝早くからいつもの4人が集まった。
なんか・・・いいなぁ、こういうの。
学校とかいくと、こんな感じなのかなぁ。
分からない人のための、朝チュン講座。
小説・漫画等で性行為を描く際、セックス描写を詳しくしないまま、行為があったという事実だけ伝えてシーンを切り替えること。暗転からいきなり朝を迎えるため、この名がついたと思われる。『チュン』はスズメの鳴き声という説が根強い。
はてなキーワードより
勉強になったね・・・
って、僕は誰に言ってるんだろう・・・




