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王位継承  作者: るーく
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17/60

17

朝。


体が動きません。


少しでも動くと、体の節々が悲鳴をあげています。


でも、行かなくてはいけないんです。


正直、辛いです。










食堂



「あ、クルトー!おはよー!」


「クルちゃん~おはよ~」


「(クルちゃん?)おはようございます!ジェシカさん、テレーズさん!」


「ちょっとテレーズ、クルちゃんって何よ?」


「クルトだから~クルちゃんでいいかなって~」


「あ、はは・・・」


「よう、クルト、おはよう」


「ベアさん、おはようございます!」


「昨日は初日だからか張り切っていたが・・・体は大丈夫か?」


「あはは・・・もれなく筋肉痛です!」


「ははは!まぁあんだけやってりゃな!」




言い忘れたが。


ベアさんは、大柄なオールバックの顔がいかつい人だ。


兄貴!って感じのね。


腕なんて丸太みたいだし、肩幅もすごいことになってる。


・・・どう鍛えたらこんな風になるんだろう。





ジェシカさん、テレーズさん、ベアさんと4人で談笑しながら朝食を取った。


この3人は、仲が良いらしく、いつも一緒にいることが多いらしい。














朝礼のあと、トモエ隊長からトレーニング項目が書かれた紙を渡された。


毎日この紙に書いてあることをやれってことだよな。


・・・だが、一日で終わる量なのか、これ・・・










トモエ隊長に渡された紙の通りに、トレーニングを行っていく。


正直、筋肉痛で何をするにも痛くて、諦めたくなった。



でも、そんなとき、リムの笑顔を思い浮かべた。



リムは、僕が守るんだ。


そう、自分を奮い立たせた。











・・・










一週間もトレーニングを続けていると、3番隊の人たちがたまに声をかけてくれるようになった。


頑張れよ、とか、紙書かれているトレーニングの意味とか、色々教わった。


誰も悪い人はいなかった。

さすが、トモエ隊長だ。



中でも、特に仲良くしてもらってるのは、ジェシカさん、テレーズさん、ベアさんだった。


兄や姉っていうのは、こういう感じなのかな・・・




毎日毎日、孤独な筋トレとの戦いだけど、ひどく充実していた。










ある日。



「クルト、ちょっといい?」


「はい!ジェシカさん、何でしょうか!」



晩飯後の夜ミーティングのあと、ジェシカさんから声をかけられた。



「非番の取り方なんだけどさ、クルトもアタシたちに合わせて取りなよ!アタシとテレーズとベアはいつも一緒に取ってるんだよ」


「えっと・・・はい!分かりました!」


「お、深く考えないで返事する、その若者らしさ!たまらないねぇ!・・・ま、そうすれば休みの日、一緒に遊んだりできるじゃん?・・・剣とかも見てあげられるしね」


「ジェシカさんの優しさに、感激しました!」


「クルト・・・すっかり軍隊式に染まっちゃって・・・お姉さんは嬉しいやら悲しいやら・・・」



「あ~、クルちゃん~、ジェシカと何話してたの~?」


テレーズさんもやってきた。



「非番の取り方か~、うん~、一緒がいいよ~、絶対~」


「だろ?せっかく仲良くなったんだからな!」


「ほ~んと、クルちゃんは~弟みたいで~可愛いなぁ~なでなで~」



ちょっと前から、テレーズさんに頭を撫でられることが多くなってきた。


色んな意味で、くすぐったい。


他の人はそれを見て、微笑ましい顔で通り過ぎていく。


もはや小動物扱いだ。




「テレーズさん!いつも可愛がってくれて、ありがとうございます!」


「クルト・・・それは元気よく言うことかぁ・・・?」


「えへへ~、そろそろ~、ハグハグと~、スリスリも~、追加しようかな~」


「ちょっと、テレーズ!抜け駆けはしないって約束したわよね!?」



ジェシカさんもテレーズさんに、僕は甘えっぱなしだ。


いつか、きっと、恩返しをしてあげたいと思う今日この頃だった。


ほんと、二人は同郷出身の幼馴染だけあって、仲がいいなぁ。










そんなこんなで、初めての非番の日が訪れた。


今日ぐらいは筋肉を休ろ、とベアさんに言われたため実行しようと思う。


超回復とか、色々あるらしい。


筋肉も奥が深いな・・・




習慣で早く起きてしまった。


まだ朝食まで、しばらく時間がある。


・・・そうだ、久しぶりに剣を振ろう。










訓練場



まだ朝早い時間からか、誰もいなかった。


僕は鎧を着ずに、私服で、剣だけ持って訓練場まできた。




鞘から剣を抜く。


今まで・・・自分から剣を振ろうなんて思ったこと無かったからな・・・


とりあえず、素振りをしよう。










毎日毎日、筋トレをしているためか、剣は幾分か軽く感じられた。


よし・・・いいぞ・・・


覚えている剣の型をやってみる。


すごく簡単な初歩的なやつだけどね。



中々イメージに近い感じで、振れていると思う。



僕は次第に夢中になっていた。


筋肉痛も忘れ。










「クルト」



ドキッとした。この声は・・・トモエ隊長・・・!!


瞬時に僕の脳裏に浮かんだのは・・・


「私がやめろと言うまで筋トレだ。」


勝手に剣を振ってるがいいのだろうか・・・


非番だから別にいいだろう・・・


いや・・・だめなのか・・・?


僕は表面的にかいている汗以外に、冷たい汗を感じていた。





「朝早くから頑張っているな」


「おはようございます!トモエ隊長!」


「うむ。非番のときにまで訓練しているとは・・・感心するが、体を休めることも訓練の内だ」


「ご指導ありがとうございます!体が勝手に動いてしまいました!」


「まぁ良い。非番の時間をどう使うかは個人の自由だしな・・・無理せず頑張れ」


「はい!!」



トモエ隊長は、そう言い残し去っていった。


剣のことについては何も言われなかった。


よ、良かった~・・・


よし、これで非番のときは剣を振っていいという安心感ができたぞ。










しばらくして。


また僕は剣を振るのに夢中になっていた。




「あ、クルト!こんなところにいた!!」


「クルちゃ~ん、おはよ~」


「ジェシカさん、テレーズさん、おはようございます!」



こんな朝早くから、結構みんな起きてるんだな。


・・・みんな習慣なのかな。





「ちぇー、せっかく非番だから、朝早くクルトの部屋に潜入して、クルトが眠ってるベッドに裸で入って、クルトが目を覚ましたら、昨日は激しかったね・・・キャッ、なんて朝チュンドッキリを楽しもうと思ったのにーーー!!」


「・・・えっと、ジェシカさん?」


「クルちゃ~ん、今からでも私の部屋に行って~、寝なおさない~?」


「・・・えっと、テレーズさん?」


「こらテレーズ!最近、抜け駆けっぽい発言が多いぞ!自重しろ自重!」


「お互い様だよ~、朝チュン既成事実だって~、立派な抜け駆け発言だよ~」


「あ、あははは・・・」



ほんと、この二人を見ていると飽きないなぁ。




「お、クルト、剣振ってたのか?」


「あ、ベアさん!おはようございます!」


「おう!・・・筋トレばっかしてて、剣が恋しくなっちまったか?」


「あはは・・・正直なところ、体が勝手に動いてました!」


「おいおい、非番だってのに偉いやつだなぁ・・・たまには体を休ませてやれ・・・って言っても、その体が勝手に動いたんだっけか?がっはっは!」


「あはは・・・」




「おい、ベア、珍しいな。非番の日にこんな朝から起きてるなんて」


「ん?いやぁ、ちょっとクルトの剣でも見てやろうかなぁと思って、早起きして剣の手入れでもしようかと・・・」


「ぐ・・・まともな理由で早起きしてやがる・・・」


「朝チュン既成事実のために早起きなんて~、ジェシカは本当にダメ人間だね~」


「うるさい!じゃあ、テレーズは何で早起きしてんのよ?」


「ジェシカが起こしたんでしょ~、も~」


「あ、あれ?そうだったっけ・・・?」



ジェシカは猪突猛進タイプです。





「おい、クルト。朝チュン既成事実って・・・何のことだ?」


「えっと・・・かくかくしかじか」


「ちょっとクルト!何ベアに説明してんのよ!」


「なるほど・・・ジェシカもほんと行動力だけはあるよなぁ・・・ニヤニヤ」


「ニヤニヤしてんじゃねー!!」


「ニヤニヤ~」


「テレーズも!!」



結局、朝早くからいつもの4人が集まった。


なんか・・・いいなぁ、こういうの。


学校とかいくと、こんな感じなのかなぁ。










分からない人のための、朝チュン講座。


小説・漫画等で性行為を描く際、セックス描写を詳しくしないまま、行為があったという事実だけ伝えてシーンを切り替えること。暗転からいきなり朝を迎えるため、この名がついたと思われる。『チュン』はスズメの鳴き声という説が根強い。


はてなキーワードより



勉強になったね・・・


って、僕は誰に言ってるんだろう・・・

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