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はぁ・・・分かっていたといっても、さすがに直球で言われると堪えるなぁ・・・
午前中で基礎体力測定が終わり、午後からめくるめく筋トレ無限地獄が始まる。
とりあえず・・・昼ご飯を食べよう・・・
団員食堂
朝、昼、夜と食事はここで出されるもの食べる。
尚、好き嫌いはしてはいけない。
残すと一ヶ月間、ここの食事が出なくなるからだ。
入り口から食事をもらうカウンターまで長蛇の列になっていた。
僕は普通に列に並んで待っていた。
「(知らない人たちしかいない空間ってのも、嫌なもんだ。でも前の僕の生活と変わらないか)」
「はい、新人さん?いっぱい食べて頑張りなよ!」
「はい!頂きます!(ま、こんな疲れきった汗だくの顔じゃ王子だって気づかれないか)」
「元気がいいねぇ!おばさんそういう子大好きだよ!」
空いている席に着いて、食べる。
ご飯は大盛り。おかずはバランスの取れた品ばかり。
ぱくり。
なんだ、思ったより全然いけるじゃん。
「ねぇ、ここいいかな?」
「え・・・あ、はい、どうぞ!」
「うふふ~ありがと~。ほら、テレーズも!」
「もう・・・ジェシカは強引なんだから~・・・」
「初めまして、クルトです」
「私はジェシカ、24歳よ。同じ3番隊だからね、よろしくね」
「同じくテレーズよ~。ジェシカと同い年で、出身も同じなの~。ジェシカとは子供の頃から一緒なのよ、全く困っちゃうわ~。仲良くしましょうね~」
「こら、テレーズ!何が困るんだよ、何が!」
「いや~ん、こわい~」
これがいわゆる逆ナンってやつなのかな。
絶対に違うな。うん。全くだ。
同じ隊の先輩から話しかけてもらえるなんて、運があるな。
・・・話し方変えたって言っても、根暗な性格が少し残っているからな・・・
「わっかんないことがあったら、いつでも聞いてきなさい!・・
・お姉ちゃんって呼んでもいいんだよ?ハァハァ」
「ちょっとジェシカ~、それはちょっと危ないよ~」
「ジェシカさん、テレーズさん、色々ご迷惑かけると思いますが、よろしくお願いします!」
「・・・お姉ちゃんって部分はスルーしちゃうのかな?」
「ジェシカ姉さん、テレーズ姉さん、よろしくお願いします!」
「あらら~、私もお姉さんって呼んでくれるなんて~テレテレ」
「お、中々ノリがいいじゃん!」
「うふふ~弟みたいでいいね~」
ジェシカさんは銀髪のショートカットで、真っ赤なヘアバンドがとっても似合ってる姉御系だ。
テレーズさんは、金髪ポニーテールの口調がのんびりしているほんわか系。ほんわかで騎士団員?いや、疑問に思ってはいけない。
新人が珍しくて、自己紹介がてら話かけてくれたのかな。
・・・しかも王子だもんな。
はぁ・・・この国の王子って何でこんなにも難儀なんだろうな。
二人もきっと・・・聞きたいんだろうな・・・王子の僕が何で騎士団に入隊したか・・・
はぁ・・・なんだかなぁ。
ジェシカさんとテレーズさんとの昼食のあと、めくるめく筋トレ大会が始まった。
一人で黙々と筋トレをする僕。
指導者なんていない。
孤独だ。
自分との戦いだ。
ま、まだ一時間も経ってない・・・
必死に筋トレを続けているが・・・
一日が長い・・・
やっと日が暮れてきた。
長い・・・
えっと・・・そういえば、一日中って何時まで筋トレしていればいいんだろう・・・?
いいや、もう、トモエ隊長に止めろって言われるまでやってやる。
よし、50メートルダッシュだ!!
何本連続で出来るか、自分と勝負してやる!!
「うおおおぉぉぉおおおお!!」
「新人くん、頑張ってるね~」
「ふふふ・・・いつまで続くか見物だな」
「ちょっとベア・・・あんたひどくない?」
「3番隊の名物だからな・・・トモエ隊長から止めろと言われるまで筋トレ続けるのは・・・」
「そうね・・・私なんか2ヶ月筋トレしてたし・・・」
「私は~・・・3ヶ月~・・・」
「ふ・・・俺は4ヶ月だ!」
「何自慢気に言ってるのよ!」
げしっ
「いてて、蹴るなよ、ジェシカ」
「ふん・・・」
「お前たち、手が止まっているぞ!」
「はい!すいません!(やべ、トモエ隊長に見られてた)」
「(ベアのせいだからね!)」
「(怒られちゃった~ぐすん)」
「うおおおおぉぉぉおおおお!!」