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猫守紀行  作者: ミスター
92/141

ファグス - 解呪 -

遅くなって、誠に申し訳ない!


カートスside


参ったな…、どうしよう。


ファルナークを治癒の使徒の元に運ぶため、急いでいた。

目印も消えちゃったし、サウス程じゃないけど匂いを追える黄助を頼りに走っていたら、黄助は小さくなっちゃうし。

なによりとある一団に捕まった。

教会対罰者の一団だ。



「どうでしょうかカートス殿。悪い話ではないと思うのですが。それに『時姫』殿も居られるならば必ず…」

「僕様、言ったよね?…急いでいるんだ」

僕様は、武神としての威圧をかけながら言葉を発する。

どうどう、落ち着いてクロハ。


相対しているのは、マカル神官長。

教会対罰者には珍しく、良い人…、常識を知る人みたいだ。

見た目は中肉中背の40代の男性。

神官服に身を包み、腰には細剣と棘の付いた片手で扱えるメイスを腰に携えている。


こっちには、もう魔力が切れた黄助と未熟な勇者君……この子は流石に戦えないと思う。

イチナくんを見てからずっと悩んでいるファルナーク…。

相手の数は100人ほど、僕様とファルナークだけなら問題ないし、イチナくんの敵に躊躇するような事はしない。

賞金首になるのは痛いけど、友達と一緒に旅が出来るならそれもいいと思うんだ。


ただ、この人数の対罰者を相手に黄助や勇者君を守り切れるかと言われると……難しい。

回避できるなら回避したい、それが本音。


「っ!?カートス殿…。「マカル神官長、カートスには教会への敵対意志があると思われます」何を言う!彼は善良で勇敢な冒険者で…「マカル神官長」バカ者!この程度で『教会反逆』のレッテルを貼ったら、世界中神敵で溢れかえるぞ!……誰だ貴様、私の部下では無いな?」

あれ?身内の揉め事かな?

もう行っていいかな?


「ありゃ、ちょっと主張しすぎましたね。どうも、教会上層部から依頼された『派遣組』です。…『マインドコントロール』対象、マカル・フレグラード……あなたで最後ですよ。さあ、一緒に神敵討伐と洒落込みましょう!」

「何!?あぐっ!?……はい。神敵討伐が任務です」

コイツ…!

禁止指定魔法を使ったのか!?

それに最後って……まさか教会対罰者全員に掛けたのか!?


『禁止指定魔法』これは精神魔法の事だ。

その代表が『マインドコントロール』。

これは、魔法名の通り精神を操る魔法だ。

禁呪と違い、強い衝撃で魔法が解けるのだが…。



彼等は教会の対罰者、手加減をして魔法を解いても教会反逆と見られる可能性がある。

マカルさんを先に起こそうか?多分それ以外は、『認定』される。

僕様はともかくファルナーク達を巻き込む訳にはいかないな。


…先に起こせない場合は、必ず一撃で仕留める、マカルさん含めて全員だ。


腰の細剣を引き抜き、メイスを構えるマカルさん。

変則の二刀流、しかも構えから見てかなり質が高い。


「うんバッチリ。これでマカル神官長は僕の駒。改めて『派遣組』のハチニという者です。神敵退治手伝ってくれませんか?選択肢はそんなにないと思うんですよ。神敵に成るか、自分の意志で戦うか……無理やり戦わされるか。手伝ってくれたら神敵討伐者として英雄になれますよ?どうでしょう『悪い話ではない』ですよね?」

(教会の上からは証文こそないが、対罰者を『使う』許可は下りている…、うちの高級娼婦共は恐ろしい。カ―トス・マリゲーラ…。武神の二つ名を持つAランク冒険者。悪い噂が殆ど無い、甘い男。バルク様から許可は貰ってないが、狙うのはバルク様が『鬼』という程の男だ。駒は幾つあっても足りない。賢い選択をしてくれよ?俺が派遣組の長になるために)


特徴が無い、違う覚えてられない顔…、多分幻惑系の魔法を使ってる。

そんな顔でも嗤ったのはよく分かる。


態々こんな手を使ったのは純粋にイチナくん相手に戦力が足りない事を自覚しているからだろう。

僕様相手にこんな事をしているのは、今『弱み』を抱えているからだ。


勇者君は聖なる魔力で体を覆えば大丈夫だろうけど、彼はシーバンガの勇者。

教会の巫女に呼び出され、教会から知識を与えられている…。

イチナくんのように気にしない性格じゃなさそうだし、今もかなり戸惑っている。

彼だけじゃない、小さくなった黄助も今はネックになっている。


「参ったね…」

精神防御の魔法も有るけど、精神防御の魔法は、戦士にとって消費が大きすぎるし、覚えていない。

精神魔法なんて使うのは、腐った教会対罰者か、たちの悪い布教神官くらいだからね。


「ブルルッ!!」

まるで諦める事は許さない、とばかりに闘志を剥き出しに嘶くクロハに苦笑する。

…うん、やっぱりイチナくんの馬だね。


分かったよ、分かったから、ね?

マカルさんに剣角(けんかく)を向けて突撃しようとしないで。

マカルさん死んじゃうから。


クロハの首をポンポンと叩いて落ち着かせようと試みる。

しかし、クロハの反応は真逆だった。


「ヒヒーン!!」

「ちょっと待って違うから!?」

GOサインと勘違いしたクロハは、僕様を乗せたまま突進。

先頭にいたマカルさんと周りにいた数人を轢き飛ばし、派遣組のハチニに向かって突貫する。

止まって!?


ああ~。…人って縦回転で飛ぶんだね…。

まあ、これで解けるはずだよ、きっと。

上手く剣角は逸らしていたし、死んではいないはず。

受け身は取れてないから、起き上がって来ないと思うけど。


僕様は、手綱を引いてなんとかクロハを止めた。

そんな不満そうに土を蹴らないで。

ハチニを守ってる人たちを全員轢き飛ばす訳にもいかないでしょ?


マインドコントロールの射程は短い、5メートルくらいだったはずだ。

この距離なら使われる心配も無い。

もし間合いに入っても魔法名を口に出すより、僕様の攻撃の方が速い。


仕掛けるのは、何時でも出来る。

問題は対罰者達をどうするか。

生かすか、殺すか……イチナくんなら問答無用なんだろうな。

僕様一人なら迷う事も無いのだけど…。


「それが答えですか?残念ですよ…。「がぅ」ぽうっ!?!!!???!」

ファルナークに同乗していた魔力切れの黄助が、いつの間にかハチニの足元で肩に付いた半透明の鞭を『股間』目掛けて振るっていた。

ハチニが内股になり崩れ落ちる。

うわ、ビチィっていった、ビチィって…。

いや、それよりも。


「どうやってそこまで行ったの!?」

そうか!大きい状態で使っていた移動術か!…あの状態でも使えるんだ。

僕様の声を無視して次の行動に移る黄助。

膝から崩れ落ち、頭が下がったハチニの首をめがけ小さな手で爪を奔らせる。


…派遣組のハチニ、終了のお知らせだった。

僕様ですら、いつ動いたのか気づかなかった…。


足手まといどころか、立派な戦力だ。

ごめんよ黄助、ネックだなんて思って。


「がぅ…」

顔面に返り血を浴びて不快そうに顔を顰める黄助。

一生懸命顔を擦って返り血を落とそうとしている。

イチナくんのように殺気での警告?をするでもなく、…いや、一応直前で鳴いて警告はしたのか。

直前すぎて意味がなかったけど。


「ブルルッ…」

獲物を横取りされて不満げだね、クロハ…。

しかし…。


「…何しに出て来たんだろうね、彼」

誰に聞かせるでもなくそう呟いた僕様だった。

態々、幻惑系の魔法まで使って……幻惑系?


不審に思い、クロハから降りて死体をひっくり返す。

死体の顔に『まだ』幻惑魔法が掛かっていた。

それが意味する事は、術者はまだ死んでないっていう事だ。


「むううう…。ん?なんじゃ終わったのか?のう、カートス。あの神敵の事なんじゃがのう…、その、じゃな。「マインドコント…」喧しい!我が話しとる最中じゃ!「グボァ!?」…しまった、思わずやってしもうた。し、死んどらんよな?」

打ち下ろし気味の裏拳が内股の男の腹に決まった。

うわあ、体がくの字になって地面に叩きつけられたよ……あ、ハチニだ。

でもどうやって?


ハチニがバウンドしながら2メートルほど転がり、止まる直前で首元が一瞬光った。

そこにあったのは黄助に首を斬られた死体。

そして、死体の有った場所にハチニが居た、蹲り呻きながら。


そういう魔具は確かにある。

でも人と人を入れ替えるのは神具にしかないから、多分違う。


これは『チェンジリング』だろう。

自分をリングに記憶させた物と入れ替える使い勝手の悪い魔具。

発動条件は作り手によって違う。

任意に発動とかピンチに発動とかね?たちの悪いのでランダムとかも有った。


これはピンチに発動するタイプかな?

このタイプは、安全域に指定した物を置いておいて一時的に避難するくらいしか使い道がない。

『引き寄せ』の魔法を持っていれば別だけど、態々回収しないと2度目は使えないという使えなさ。


勿論発動はするけど、こういう事になる。

僕様の目の前で頬を引きつらせるハチニみたいな事にね?

あの死体は精巧に造った人形かなにかなんだろうね、だから幻惑魔法を解かないんだ。


でも大した魔力量だね、幻惑系の魔法を持続させ、さらに精神魔法を100人近く掛けてるんだから。

この魔力を攻撃魔法に転用していれば、此処にいる100人分くらいは働けるんじゃないかな?

そう考えると色々と残念な男だね。


「き、貴様等。俺が命令を下せば『神敵』として認定する事もできるのだ、大人しく従え!」

喋り方が変わった、こっちが素かな。

内股でお腹を押さえた情けない格好で僕様に『命令』してくる。

マインドコントロールの範囲内だけど、痛みでそれどころじゃないみたいだ。

脂汗も浮かんでるし、アバラが折れたかな?


「なら、『命令』される前に殺しとかなきゃね」

僕様はイチナくんに借りた槍をハチニに向けた。

命令をされる前に殺せば後は木偶の集団だ、もっとも神敵討伐はオーダーとして入ってはいるだろうけど。


「なんじゃ、コヤツは教会の人間じゃなかったのか?さっき仕留めとけばよかったの」

ファルナークも考え事を止めて剣呑な雰囲気を纏いだす。

…ファルナークは禁呪の刷り込みがあるから、戦闘には参加しないと思っていたんだけどな。

ハチニの服装は修道服だし、どこで認識しているんだろう?謎だ。


「ええっ、戦うんですか!?この人たち教会の人ですよ?駄目ですって、叱られちゃいますよぅ」

叱られるで済む訳ないけどね。

ダボついた袖をパタパタさせて必死に止めようとしてくる。

平和な子だな、勇者君は。


そんな事を考えているとハチニが口を開いた。


「コイツ等は神て…、かひゅっ!?」

集中力の切れた魔導師は前に出てちゃ駄目だよ。


「ごめんね、僕様だけなら良かったんだけど。ファルナークと勇者君を神敵にする訳にはいかないんだ」

そう言いながら、喉を貫いた槍を抉りながら引き戻す。

首の骨も貫いたし、もう喋れないし助からないね。


「やっちゃた!やっちゃたよ、この人!?ど、どうするんですか!こんな人数勝てませんよ!?」

にょわー!?と奇声を上げながらそう言って来る勇者君。


「落ち着かんか、チビ勇者。マインドコントロールは、命令が無ければただの木偶じゃ。む?動き出したぞ?カートス、他に命令されていたのか?」

神敵討伐だろうな……どっちにしろイチナくんの邪魔になるのか。


僕達が出て来た直後に、王城から凄い音が響いて来たから、多分イチナくんは黒い奴と戦ってると思う。

…心配だ。


…やっぱり迷うべきじゃなかった。

今仕掛けると、禁呪に犯されたファルナークがどういう反応をするか分からない。


ん?あれは、シェルパの旅馬車?それに先頭を奔っているのは…。

…オウマくんだったっけ?


「はぁっ!」

僕様の姿を確認するとオウマくんは乗っている馬の速度を上げ、何の躊躇もなく教会の対罰者を次々と斬って……ない?あれは峰打ち?

…止めを刺さないと面倒な事にならないかな?


「またなの!?ハチカファ!止めて、止まってぇえええ!?」

「突撃!おたくの対罰者!ハチカちゃん行っちゃえ、GOGO!」

「ほほほ、こういう光景もイイですね。……行きなさい」

「アイリン様ごめんなさ~い!使徒様からの~、命令ですから~。ハイヤー!」

後ろから来た馬車は、絶叫を乗せ。

人なんていないとばかりに最大速度を維持したまま対罰者の中へと突っ込んでいく。


「俺も出番が欲しいっす!行ってくるっす!!」

途中筋肉の塊が馬車から跳び降りて対罰者が空を舞ったり。


「……ふぁい、とー」

「ガウッ!」

サウスがパークファさんを乗せたまま凄い速度で殲滅してたり。

黄助があの移動術で足元に移動し転ばせ、クロハが生き生きと頭蓋を踏み抜いていたり。


「はああああっ!!」

戦騎兵のソルファさんがまるで恨みでもあるかのように、これでもかと対罰者達を粉砕したり…。

この分だとすぐに終わりそうだ…。

対罰者は、自分の仕事をしようとしただけで、なにも悪くないのだけど。


「…お、お主等!何しとるんじゃぁあああ!?」

仲間の凶行に吼えるファルナーク。


「ほわぁ!?いきなり大きい声出さないで下さいよ!……うぅ、人がゴミのように飛んでいく…」

「多分、君も出来るよ?シーバンガの勇者なら尚更。一番遠くに飛ばせるんじゃないかな?自信持って!」

勇者君が落ち込んでいるみたいだから、励ましてみた。


「嫌ですよ!?競技じゃないんですから嬉しくないですよぅ…。僕が飛ばしたいのはただ一人……んん?…なんでそこに居るんですかー!?」

……僕様の励ましでは一層しょげたのが凄く気になる。


勇者君は、オウマ君を見て目を見開き、ダボついた裾をオウマ君に向けた。

多分指差しているんだと思う。


オウマ君はこちらに気づき、なんとも言えない顔をして戦いに……いや、蹂躙に戻って行った。


神敵認定されるかもしれないのに、皆全く迷いがないな。

凄いというか、なんというか…。

イチナくんと一緒にいるとこの辺の感覚が壊れるのかもしれない。




…結局、僕様が手を出す前に終わってしまった。


「やってしまいました…。ハハハ…、これで僕も神敵扱いですかね?…それも良いかもしれません」

一番暴れていたソルファさんが、自分の築いた屍を見ながらそう呟いていた。


「大丈夫じゃないっすか?生きてても誰にやられたかなんて、認識してないと思うっす。皆きっちり仕留めてるっすから、問題ないと思うっすよ?」

……誰も斬っていないのが、1人いる。

それにマカルさんもまだ生きている、…多分だけど。

勇者パーティーだからといって、これだけやって、お目こぼしがあるとは思えない。


馬車の方へ顔を向けると、涙目の王女様に叱られる御者の人と、ゆっくりとご機嫌で馬車から降りて来る使徒様が見えた。


「大丈夫ですよ、ソルファさん。私がやれって言ったのですもの。対罰者程度に文句は言わせないわよ。あなた達は使徒のお告げを聞いただけ。問題ないわ」

この人は本当に治癒の使徒様なのだろうか?


「さて、まさか『時姫』が禁呪に掛かっているとは思わなかったわね…。私より歳をとっているはずなのに肌が艶々、妬ましいわ…」

そう言いながら、使徒様は馬車から異形のメイスを取り出した。

…使徒様、それをどうするんですか?


「お主等、何をしたか分かっておるのか?教会の人間をやってしもうて、どうする気じゃ!?」

その気持ちはよく分かるけど、多分ファルナークも記憶が戻ったら同じ事をするんじゃないかな?


「大丈夫よ、文句は言わせないわ。それより、解呪を始めましょうか」

「…解呪?我が呪われていると?」

(…なるほどの、使徒殿を見てから、自分でも信じられぬほどに警戒しておる。その呪いせいかの?しかし…)


「なんじゃ、お主等。我を取り囲みよって」

「何だかんだでパー子以外、錯乱しましたから、もちろん僕も。…鎮圧されましたけど」

そう言ってオウマくんを見るソルファさん。

そのオウマくんは無言で使徒様の隣に佇んで、僕様の隣の勇者君と見つめ合っていた。


「いやー、だってほら。ファルっちが暴れるとアレだし?先に取り押さえておこうかと……じゅる、おっと涎が。スゲーこっちの世界に来て初めて私好みのカップリングに出会えたよ。…ぐふ、ぐふふ」

……シェルパの勇者様だ。

ファルナーク相手に一撃もてばいいかな?

冒険者で言えばランクCの上位くらいの腕前だと思う。

魔法の腕は知らないけどね。

どちらにせよ、注意力が散漫すぎて話にならないと思うけど。


「相変わらず、腐っとるの…。のう、その呪いとは『禁呪』の類か?あの神敵…。あ奴の事を考えると頭がぐちゃぐちゃになるのじゃ。これが治るというのなら……やってくれんかの」

ファルナークは、自ら愛馬から降り、大剣を地面に突き刺し使徒様に背を向ける。


その行動の直後、頭を押え、再び大剣に手を伸ばそうとする…、やっぱり禁呪の影響が強いのか!


[剣を取れ、危険だ。危険、危険、危険……]

「ぬぐぅっ!…がぁあああ!!」

雄叫びと共に、伸ばした手を握り締め、大剣の柄へと振り下ろした。

ファルナークの大剣が柄の部分まで地面に突き刺さる。


「はようせい!!」

「…分かったわ」

使徒様は白く煌々と光る右手をファルナークの後頭部に押し付けた。




「ファ、ファルナークさん、元気出してください」

王女様がファルナークに声を掛ける。


「無理じゃぁ…。我みたいな愚か者はマリア(愛馬)に蹴られて死ねばいいんじゃぁ…」

解呪は無事成功したよ?だからこそこんな状態になってるんだけどね。

自慢の大剣を地面から引き抜こうともせずに、両手両膝を地面につけて項垂れるファルナーク。


「取り敢えず、使徒様にお礼を言って、イチナさんに謝りに行きましょう?」

「どんな顔して会いに行けばいいんじゃ…。使徒殿、まことに御迷惑をお掛けした…。カートスも迷惑を掛けたの」

のそりと立ち上がり使徒様に頭を下げるファルナーク。

そして柄まで埋まった大剣を一息で引き抜いた。


「気にしないでくださいね?甘坂さんとの約束でもありましたから」

「友達のお嫁さんだからね。迷惑なんて思わないよ」

問題はその友達が今戦っている相手だ。

杖も持っていなかったけど、門を破壊するほどの魔法を使っていた。

純粋な剣士のイチナくんにはきつい相手かもしれない…。


その時、一際大きな音が響き、王城を振り返ると。


「北塔の屋根が…」

何かに斬られたように滑り落ちていくのが見えた。


「イチナじゃな」

「イチナさんですね」

「イッチーだね」

「チナさんっすね」

「……犯人はイチナ」

「あ~、やっちゃいましたね~」

「ど、どうしましょう!城下は無事かしら!?」

誰一人としてイチナくんの心配をしていない事に驚いた。


「…あれは神気?剣に宿ったという神の力なの…?」

「………お、鬼いさんが神気を使う?…嘘だろ」

「ふおわ!?なに、なんなんですか、あれぇ!?」

取り敢えずですね?


「イチナくんの元に向かいませんか?」

思わず武神としての威圧を使ってしまったのは悪くないと思う。

あー、やっとみんな解呪が終わったよ。

次は一南sideです。

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