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猫守紀行  作者: ミスター
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重なる目的地

5/9

ファグスに統一。

王真くんside

~魔国内・魔城『デス・グランデ』謁見の間~


僕は、奴隷の筈なのに玉座に座るガイナスの横に立ち、跪く新しい将達を見下ろしていた。


「この魔城の正常化は粗方済みましたが、士気が高くありません。アルケイド・ガンマ、リリス・マキュリーダ。貴方達に国を一つ落として貰おうと思います。新しい魔王は強大だと、世界と民に知らしめるためにです。タカヒラも付けます、失敗は許されません。心してかかりなさい」

士気が高くないのは、逆らう相手を片っ端から僕に斬らせたからじゃないか…。

今だって僕を横に付けて、脅しているようなものだ。


「ああ、分かった。どこを潰せばいいのだ?」

「はーい☆アル様となら何処にだって行きますよー☆」

アルケイド・ガンマ…、50年前の決戦時にはいなかった。

リリスって子もよく分からないけど、なんだか痛々しいな。

僕が倒した将の代わりかな?


此処にいるのは今呼ばれたアルケイドとリリスの他に、代々暗部を司る家系の将フルクス。

そして新しい将が3人。

新しい将はガイナスが何処からか連れて来た奴等で、それぞれが(フクロウ)を模した顔の上半分を隠す面を付けていた。


あれは確か、『模倣の仮面』だったかな?

付けている者は、今まで仮面を付けた者の動きを模倣できるという、邪神ゆかりの魔具だったはずだ。

決戦時に全部壊したと思ってたんだけどな……3つも残ってたのか。

あの仮面があれば、そこいらの一般人でも達人に成れる。

実力者が付けると相当に危険な魔具だ、ガイナスの虎の子なのかな…。


ふと視線を感じ、ガイナスの方を見ると、一瞬だけ僕を見て嗤った。

「狙うのは、王都『ファグス』です。決戦の英雄…、『勇者パーティー』の1人ザッカイス・ウォルターは、タカヒラに任せて貴方達は国を落としなさい。フフッ」


「…っ!」

僕に…、僕に仲間を斬れって言うのか!?この外道は!!

くそっせめて彼女がいればこんな首輪……こっちに加担してる事がばれたら『拷問』されるかも知れないけど…。


ああ、神気が使えても僕は無力なのかな……。

ザッカイスさん、僕には最強の勇者なんて過ぎた称号だよ…。



Sideout




アルケイドside


「狙うのは、王都『ファグス』です。決戦の英雄…、『勇者パーティー』の1人ザッカイス・ウォルターは、タカヒラに任せて貴方達は国を落としなさい。フフッ」

ふん、かつての仲間を斬らせるのか…。

嫌がらせ…、いや。精神的に屈させるつもりか?どちらにしても良い趣味とは言えない。


英雄ザッカイスもすでに老年だろうに容赦のない事だ。

決戦時、ガイナスは、タカヒラ・オウマ達に散々指揮した部隊をかき回され。

女だからと見逃され、屈辱を味わったらしいが…。

それにしても少々やり過ぎな感があるな。

しかし、ウォルガイの勇者がこちらについていると知らしめれば、人間どもの士気を落とす事も出来る。

…本来の魔王がこうあるべきだったのだろうか?


俺は今の魔王に…、ガイナスに忠誠を誓っている訳ではない。

魔王のアルス様は、少々引きこもりがちで、鍛え直そうと鍛錬に誘ってみても逃げられてばかりだったが…。

それでも忠誠を誓った王だ、たとえ神に成ろうとそれは変わらない。

チャンター老の使いから誘いもあったが、断った。


俺が『ここ』にいるのは、俺の我儘だ。

ここにいれば奴と…、一南と戦う日が必ず来る。

そう思うからこそ、将を止めず残ったのだから。

剣士として奴の本気を見てみたい。そして、俺の本気を持って斬り伏せたいのだ。


思考がずれたな。


…ただ、新しい将を使わず俺達を使うのが腑に落ちない。

民だけならまだしも、世界に『新しい魔王』を知らしめるというのなら、俺達は適任では無い。

だが、将として戦場を駆けたいという思いもある。

まあ、流石に負けられない戦場での暗殺なんて愚かな事はしまい。


「分かった。準備に入ろう。他に要件はないか?」

「いえ、まだあるわ。王都ファグスに有る『封じの楔』を壊してきて頂戴」

…なんだと?


「正気か?邪神様の『使徒』が王都ファグスに封じられているというのは、伝説でしかないのだぞ?そもそも『封じの楔』自体が何かすら分からない。ファグス王家にすら伝わっていない物をどうやって探せと?ファグスの王都を更地に変えろとでも言うのか?」

アルス様も先代様も確証がなかったからファグスは狙わなかったのだが…。


それに、ファグスの王城の守りは固い、兵はともかく城自体の魔法防御が厄介だ。

魔法関係はことごとく軽減、無効化される。

…アルス様がいれば「こんな事もあるろうかと、作っておいたのだ!」と何か引っ張り出してくるのだろうが。


「その必要が有るのなら…。魔族兵はそれほど出せませんので、火力不足は溜めこんだ魔獣で補ってください。幾ら使っても構いません。これは命令です、頼みましたよ」

国を落とすだけではなく、あるかどうかも怪しい物の為に更地に変えろか。

無茶を言う…、取り敢えず国を落とした後でじっくりと探せば問題はないか。

期限を決められた訳でもない、戦力は有難く使わせてもらおう。


問題は老いた英雄とファグスの勇者だが…。

勇者は召喚からの時間を考えると、ファグスにはいないはずだ。

英雄の方は、タカヒラに任せるのも忍びないのだがな…。


「……では、失礼する」

「あ、アル様☆私もイキます☆」

……リリスはどう接していいか分からないから苦手なのだ。

取り敢えずリリスの事は流し、俺はそのまま謁見の間を後にした。




「お疲れ様です。アルケイド様、リリス様。……フルクス様はまだ中に?」

謁見の間から出ると、そこには元魔王様直属の部下だったジャンがいた。

雑兵まで落とされたが、フルクスに拾われ、今はフルクスの元で情報整理を担当しているそうだ。


「ああ、どうかしたのか?」

「いえ、見て貰いたい書類があったもので。アルケイド様はリリス様とお出かけですか?」

(急ぎの物もあるし足を運んだのだが。………この様子では何かあったか?アルケイド様は、分かりやすくて助かる、が。これではまるで、戦の前だな…。冷や汗が噴き出る…)


「え!?遂に私とデートですか!?いきなり子作りでもばっちこい☆です!さあ、行きましょう!アル様☆」

「リリス、そんな訳がないだろう。お前もフルクスに用なら待っていれば出てくる」

「そんな!?アル様☆釣れないですよ~…」

謁見の間から出てきてお出かけも無いだろうに…、分かって言っているなコイツは。

確か…、この男は、アルス様の初めての友だったか?チャンター老が、酒の席で嬉しそうに話していたのを覚えている。


ふむ、アルス様に認められるなら、頭脳面か?

そうだとしたら、余り口を開かないほうがいいか。

フルクスの父上が何者かに情報を漏らしているという噂もある。

真偽は定かではないが、情報収集はフルクスに頼るほかないのが現状だ、注意するに越した事はない。


「…俺はもう行くぞ」

「はい。お引止めして申し訳ありませんでした……お気をつけて」

(謁見の間でなにかあったと推測できるが、そこまでだな。後はフルクス様に聞いた方が速いか。…リリス様も心なしか緊張しているようだ。本当に戦の通達か?……アルケイド様は『あの男』に雰囲気が似ている、戦場では近寄りたくはないな)


お気を付けてだと?

やはりアルス様の友人か、どこで気づいた?

気づかれるような会話はしていないのだがな…。

そんな事を考えながら、俺は戦の準備をするためにその場を離れるのだった。


「待ってくださーい☆私もイキますよー☆」

「う、うむ…」

リリスの部隊は女性隊員で揃えていたのだったか?……『封じの楔』の件も含め、副官と相談しなければ…。

アルス様がいれば、『護将』として置いて行ったんだが。

闘技都市では『護将』として出ていたのだが、まさか部隊を連れずに出ているとは思わなかった。全く何を考えていたのか…。


……さて、まずは副官とファグスへの斥侯を選ばなくてはな。


俺とリリスはジャンに見送られながら、その場を後にするのだった。



Sideout




腐敗勇者side

~シーバンガ大陸の王都『シーバンガ』~


「…シーバンガの教会ってパレサート並みに大きいのね。驚いちったよ私」

煉瓦作りの街並みの中のローマ神殿……教会って浮いてるよね。


「そうですね。シーバンガは、パレサートと同じく教会が王家と深く係わっているみたいですし…。それに、なんだか司祭様の服が他と比べて豪華でした。教会都市から逃げ延びた方かも知れませんね」

一緒に教会で加護のレベルアップをしたソルファちゃん。

そした、新たな加護を貰いに教会に行ってきた私こと、高松安奈ちゃん♡は無事、加護を3つ付けて貰いました。

あんまり教会には近づきたくなかったんだけどね…。


付けた加護は『見識の加護』と『治癒の加護』それと『成長の加護』の3つ。


『見識の加護』は、最初は見聞きした物への理解が深まる程度らしいけど、レベルがMaxになると一般人でも相手の先読みや千里眼が使えるようになるらしいのよね。

1秒先の未来が知識として見える的な?

千里眼の方はあんまり知られてないみたい。

先読みとか冒険者は、経験でやっちゃうみたいだし。

一般人にも特に必要のないものだから、人気の無い加護らしいけど…、私には必要よね?


『治癒の加護』……治癒の神様から、禁呪を治すなら直接連れてきなさいって言われたけど、禁呪で治癒の神様に近づかないように刷り込まれてて無理だったのよね。

自分で治すために取ったけど…、加護じゃ無理って言われた。

治癒の加護は治癒魔法の補助的な役割しか持たせてないんだってさ。

でも、一応努力だけはしてみるつもり。

俺様王子にばっかり頼っていられないしね。


『成長の加護』これは、文字通り成長を促すものらしいわ。

見識の神様に聞いた私におすすめの加護なのよ。

成長を司る神様は、成長をさせる方向を決める事で『才能を上乗せ』するって言ってたっけ。

強力な加護だからあんまり人に与えない、チートでニートなイケメンの神様だったわ。

もっと男の神様と会えれば掛け算が出来るのに…グフフッ。

白ちゃんが加護を使ってくれないって嘆いてたし、性格は残念系かな。


「マッキーとパー子ちゃんは宿でお留守番してるとして、アイちゃんとファルっちは何処に行ったのかな?朝起きたらいなかったけど。ハチカちゃんは買い出しでしょ?」


「ファ、ファルっち…。えーと、ファルナークさんはアイリンさんと一緒に朝早くに王城に呼び出されました。アンナさんが寝てましたから代理ですね。どうも教会都市の神具をこっちに移すための護衛を頼みたいみたいですよ」

勇者パーティーを護衛にって結構豪華だよね?

私としては加護のレベルを上げたいし、別にいいんだけどさ。


「ファルナークさんは「使えそうな物2・3個頂こうかの」って張り切って行きました。アイリンさんはストッパーです…。無茶しなければいいんですが」

一応勇者なんだし、くれればいいのに神具。


「アイちゃん大変だねー」

「凄い棒読みですね…。ファルナークさんが無茶をしたら人事じゃなくなりますよ?…あれっ?無茶するのってファルナークさんでしたっけ?」

違います、笑いながら嬉々として戦いに首を突っ込むのは別の人だよ。


「それは俺様王子ね?俺様王子がいれば、自分から首を突っ込むか、巻き込まれるくらいの面倒事にはなりそうだよね」

「誰ですか、俺様王子って…。例えになってませんよ」

結構いい例えだと思ったんだけどな…。

でも、流石に俺様王子の記憶を無くしたソルファちゃんじゃ分からないか…。

チョロインを自覚した私としては、その、名前で呼ぶのは恥ずかしいというか…。

自分ってこんなに初心だったのかといか、離れて初めて分かる新発見というか…。


「?…どうしたんですか?顔が赤いですよ」

「なんでもないっす!さあ!宿に戻ろう!もう、皆戻ってるだろうからね!」

「本当に大丈夫ですか?「大丈夫!」…分かりました。それじゃあ、戻りましょうか」

納得のいってないソルファちゃんと一緒に宿に向かって歩き出す。


大丈夫、ちょっと自覚しただけだから。

い、一南…さん、ぐはっ!ハズイ!

取り敢えず今は脇道にそれて落ち着かないと…。

王家からの依頼、頑張ります!

うん、神具がもらえれば戦力強化にもなるしね!

…禁呪を治す神具とか無いかな?


Sideout




ファルナークside

~シーバンガ王城・謁見の間~


青を基調とした国旗が下げられた謁見の間、その玉座に座る女性に我は声を掛ける。

「久しいのフリーナ。元気じゃったか?」

ちなみに、フリーナとは25年来の友人じゃ。


「はい、お久しぶりです。ファルナーク様もお元気そうで。そうですね。以前会ったのは10年前でしたか…。いつまでもお若くて羨ましいですわ。そちらはアイナクリン王女ですね?初めまして、シーバンガの女王を務めているフリーナ・ラクネ・ジファ・グアンティーナよ」

「は、はひ!アイナクリン・リン・ドメイク・ハンカーテスです…。初めまして」

アイリンは何を緊張しとるんじゃ…、おぬしも王族じゃろうに。


「……しっかし、老けたのフリーナよ」

「…時の加護を持つファルナーク様と一緒にしないで下さるかしら?」

アイリンの事を微笑ましく見ていたフリーナの頬が引くつくのが見て取れた…、うむ自覚はあるようじゃの。

ま、冗談じゃが、疲れてはおるようじゃの…。


フリーナの歳は40だったかの。

艶やかなシルバーブロンドに柔和な緑の瞳。

疲れが多少見えるものの美しい顔立ちをしている

白いイブニングドレスが中々に艶っぽい、女としてはまだまだ行けるのう。


やはり王務はキツイのかの?10年前、依頼されて夫の王を引きずり下ろす手伝いをした後から来ておらなんだからのう。

無能な夫、無能な息子……悪い奴等では無いんじゃが、簡単に操り人形にされてしまう程に素直でおバカな奴等ではあるがの。


「ファ、ファルナークさん!失礼です!女性にそういう事言っちゃ駄目なんですよ!」

「アイリン。それはフォローになっておらんぞ?」

「え?……はわっ!?申し訳ありませんフリーナ様!」

慌てて謝るアイリン、なんとも和むのう。

王家の人間の対応としては駄目駄目じゃが。

我?我は良いんじゃ、我だもん。


「フフッ、いいのよ。ファルナーク様とは友達なの。さて、呼び出した理由についてだけど…「護衛じゃろ?」そうなのですが、先ほどパレサートの予知巫女より気になる情報が入りました。…ファグスへの魔軍の侵攻らしいです」

らしい?随分と煮え切らん答えじゃの。


「どういう事じゃ?」

「最近になって予知が見えなくなったそうですよ」

「……あっ!イチナさん、そんな所にいるんですね」

誰じゃ、イチナとは?知っとるようじゃが[気にするな]…思い出せん、気持ちの悪い感覚じゃ…。


「呼び出しに行かせてから入って来た情報です。あなた達は勇者パーティーですし、神具の移送よりはこちらを優先した方がいいかと思いまして。まあ、うちの勇者パーティーが決戦の英雄であるザッカイス・ウォルター様に教えを乞いに行っていますので、それなりに持ちこたえるとは思いますが……」


「それなり、のう。シーバンガの勇者は『攻撃力』に特化したモノじゃったかの?うちの勇者でも結構、腕を上げて来ておるのじゃから大丈夫じゃろ」

アンナは、多少の手ほどきと実戦で腕を磨いて来たからの。

思えば、闘技都市を出てから真面目に槍の訓練に取り組み始めたの。素振りもちゃんとしとるようじゃし。


「なにぶん、覚悟の決まらない少年でしたから。どこまで成長できたか…。勝手に召喚しておいて文句を付ける気は無いのですが、『勇者』には過去の実績が有りますから、どうしても比べてしまうのですよ……ですから他国へと修行に出したのですが、良かったのか悪かったのか。お願いします、あの子を助けてあげてください」

そう言って頭を下げるフリーナ、勇者に情が移っておるのう。

むう、神具、欲しかったのう…。そうじゃ!


「頭を上げい!近衛の視線が痛くてたまらん。依頼、という形でどうじゃ?内容は神具の移送と受け渡し。目録作りは終わっとるんじゃろ?使えそうな神具をそっちの勇者に届けて生存率を上げるのはどうじゃ?どうせ最大戦力は勇者パーティーなんじゃ問題無かろう?」

「それは、そうですが…。報酬はどうしますか?金銭、では無いですよね?」

予想はついとるようで、実に結構じゃのう。


「もちろん神具じゃよ。我等も勇者パーティーなのでのう。なに、神具の選択はそっちに任せるわい……あんまり粗悪なもんじゃと到着が遅れるからの」

その言葉に苦笑を浮かべるフリーナ、ちょっと意地が悪いかの?


「あの、フリーナ様、そちらの勇者様優先で構いません…。ですが、せめてアンナさんの分、私たちの勇者様の分の神具はお願いできないでしょうか?対価が必要なら払いますから…、お願いします」

むう、アイリンはつくづく王族には向いておらんのう。


「分かりました。明日までに報酬として神具を『5つ』こちらで選定させてもらいます。必ず依頼を遂行してくださいね?」

「えっ?5つも!?いいんですか?」

「ええ、勇者パーティーが使った方がいいでしょう。呆れるほどの数が教会都市に死蔵されてましたからね、戦いで使える物は一割にも満たないですが」

アイリンに優しく微笑みながらそう告げるフリーナ。

我と扱いが違わんか?……我も素直に頼めば良かったかの。


「ありがとうごさいます!」

「礼を言うぞ、フリーナ。依頼は必ず遂行しよう」

「よろしくお願いしますね。…ああ、それと」

そろそろ失礼しようかと思った時、思い出したようにフリーナが口を開いた。


「なんじゃ?」

「?」

「神敵認定された冒険者と係わりのある者を教会がマークしているようです。ファグスにも教会対罰者がいますし、シーバンガからも出向いたようです。王家より情報が速いというのが解せませんが……気を付けてくださいね」

「?うむ、それではの」

「えと、ありがとうございました!」

我等はそう言って、謁見の間出を後にした。


神敵というと、白達が付いて行ったあの剣士か…。

いい男じゃったし、我よりも強かった。

神敵でなければ婿にしても[神敵だ]……待て、婿はおったのではないか?[願望だ]

…分からん、それに何故フリーナは、この話を我にした?

まるで我があの男と係わりが有ったようではないか…。


「ファルナークさん?どうしたんですか?」

「むう、小骨が引っ掛かっとるようじゃ…。次に会うことがあれば確認してみるかの」

フリーナなり、あの男なり、なにかしら知っとる[何も知らない]、いや聞くだけ無駄かのう。


「何をですか?わたしじゃ分からない事ですか?」

なぜかアイリンならに話しても[迷惑だ]、特に問題の無い内容なのじゃし、止めとくかのう。

…なんでかの?先ほどから違和感が…[問題ない]気のせいか。


「気にするでない。ほれ、宿に戻るぞい」

「イチナさんの事ですか!?教えてください何を疑問に思ったんですか!?」

我は振り[気にするな]、足を進める。

後ろからアイリンの声が聞こえ、それが無性に気に[耳に入らない]かった。


一度アイリンを振り返り、声を掛ける。

「?なにしとるんじゃ、置いてくぞい」

「っ!?……分かりました……」

何故か項垂れるアイリンと共に仲間の待つ宿へと向かう。

これからまた忙しくなりそうじゃのう。

[]は禁呪を表現してみたのですが、ノイズ音とかにしたかったけど表現方法が分からなかった……。


それではミスターでした。

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