アクラ森林、迷子中
一人旅10日目。
俺は、今『アクラ森林』の中を彷徨っていた。
ん?時間が飛んだって?気にすんな。
大したことは、起きて無いから。
チビスラが寝てる時に、顔に張り付いて窒息しそうになったり。
白が寝ぼけてリュックから零れ落ちたり。
テンが目を放した隙にモンスターの巣に突っ込んでいったり。
バウンティーハンターと遭遇したり、くらいしか無かったから。
それと、考えもしてなかった食料の問題も解決した。
5日前だったかな?なんと、無償で手に入れることが出来たのだ。
俺を追いかけてきた、|素敵な人達《バウンティーハンター共》から貰ったんだがねぇ…。うん、有難い事だ。
それまでは、サウスや俺が狩った、ただの獣を焼くだけという雑な物だった。
どうも白の口には合わなかったらしく、テンと一緒に『猫の揺り加護』で出した猫缶…。
『マグロ風味、神気成分配合!にゃんだわーMAX』とかいう妖しさ満点のキャットフードを食べさせていた…、というかそれとツナ缶モドキしか出てこなかった。
前は有名どころがぽろぽろ出て来たのに…。
なんだ、神気成分って!使えるようになるのか!?
ちなみにツナ缶モドキの成分表には『固形神気』としか乗っていなかった。
流石に食べさせるのは躊躇われたため、刻波と一匁時貞をぶっ刺したが。
なんだ固形神気って…。
神共は何がしたいのか全く分からん…、白をどうしたいんだアイツ等。
白とテンの反応から見るに、味は微妙みたいだ。
ああ、|素敵な人達《バウンティーハンター共》は、ちゃんと生きて帰したよ?食料を貰ったんだし、それ以上貰う訳にはいかんだろ?
…何より女、子供だけの7人パーティーだったからな、流石に斬るのは気がひけた。
取り敢えず全員動けなくしてから食料を奪った時は、散々へたれやら鬼畜やら白いの置いてけやら言われたがな。
《なあ、一南…》
(言うな、分かってるから)
何だかんだと、色々下らない事を説明したが要は…迷った。
それと、森林に入ってしばらくしてから『視線』を感じるようになった。
ばれて無いと思っているのかチラチラ、チラチラとウザったい。
サウスにいたっては、すでに何処から見ているかも分かっているようだ、合図を出せば潰しに走るだろう。
きっと『無名都市』の物見かなにかだと思う。
「このまま彷徨ってても埒が明かん。…案内してもらおう。サウス、捕まえて来い」
「ガウッ!」
神速というに相応しい速度で駆けていくサウス…。
そう言えば、ためしに魔力剣をサウスに作って貰った。
普通のブレードウルフは西洋剣を魔力で作るらしいが、サウスは『刀』だった。
俺と一緒にいるからか、少し嬉しかったねぇアレは。
グリグリと動いて普通の剣のように扱えるので、サウスに神薙流の二刀の使い方を教えてみるのも面白いかもしれない。
「まあ、取りあえずは、サウスが戻って来るのを待つとしますかねぇ」
足の間に居る白と黄助を抱え、クロハから降りる。
黄助を地面に降ろしてから、テンが胸ポケットから飛び出そうとするのを頭を押さえて阻止する。
ちなみに、チビスラはリュックに中だ、肩に乗せてたんだが自分からリュックに入っていった。…クロハが走っている最中に。
突然、チビスラが体を這う感覚がなくなったから焦った焦った。
リュックの重みで気づいたんだけどな?
「ぴ!?ぴぴー!?」
なんか言ってるが、俺には分からないな?取り敢えず、不満である事だけは伝わってくるが。
「大人しくしてろな?サウスが戻ったらまた移動するんだから」
「ぴぴー…」
テンは、胸ポケットの中で体をゆすってみたり、ボタン穴から何故かアホ毛を出してみたりと落ち着きがない。
そんなに暇か、ひよこ。
白は、そんな落ち着きのない胸ポケットに視線を奪われていた。
「…獲物じゃないからな?」
飛び付こうとするんじゃない。
「み!?み~…」
突然声を掛けられビクッ!とする白、その後しょんぼりするが視線は再び胸ポケットに。
…まあ、いいか。
「ん?戻ってきたか」
「ガ、ガウ…」
サウスが戻ってきた、が。
戦果はなし、むしろ焦っているように見える…。
ん?戦果なしだと?サウスでも捕まえられなかったのか!?
「くははっ!どんな奴だよ!…どうしたよ、サウス。俺の後ろに回って?」
「キューン…」
怯え?違うな、なんだ?コレ?
サウスは俺の背中側に回って顔を上げたり降ろしたり。
戸惑っている感じか?…何に?
「マフッ!」
「あん?敵か?」
サウスに気を取られて気づくのが遅れた。…んん?アレが相手か?凄まじく斬りたくねぇな。
《ほう、テイムされたブレードウルフ…の亜種なのか?気配はブレードウルフなのだが…》
普通のモンスターなら斬るだけなんだが…、なんであんなに引き千切れんばかりに尻尾を振ってるんだろうねぇ…。
キラキラしたつぶらな目だな、そしてダックスフンドだ、鳴き声が違うが。
とてもじゃないがウルフ系の亜種とも呼べん。
ただの犬である。
しかし、これが視線の主かぁ…、サウスはこのキラキラした視線に戸惑ったのか?
敵対した者にこんな視線を受ける事はねぇからなぁ…。
きっと、どうすればいいのか分からなかったんだろうな、分類的には癒し系だし。
しかも、ここまで追って来るとか、逃げたくなるのも分からんでもない。
《もしかしたら、同族…。ブレードウルフの亜種として見ているのかも知れないな》
(分かるのか?)
《むう、獣言語は、人ならば異能として、神としての体なら勝手に付いてるものだからな。…今は、何となくだ》
分からないんだな?せっかく通訳を手に入れたと思ったのに。
魔力剣を伸ばし、駆けてくるダックスフンド。
…これは、肩じゃなく四肢に魔力剣精製部位が着いてんだな、剣を足の代わりにして結構な速度で駆けてくる。
凄まじい違和感だ。
ただ、戦う時はどうするのかすごく気になる。
間合いに入っても魔力剣を出しているようなら、ちいと酷だが斬ろう。
俺の精神的にもかなりのダメージを受ける選択をして、刻波に手を…もうちょい後でいいよな、うん。
「…マフッ!?」
俺の間合いの3メートルほど手前で魔力剣を消し、地面に落ちるダックスフンド。
着地に失敗して地面を転がる。
…首輪してるし、誰かが飼ってるのは間違いない。
そして、この近くにこんな平和そうな生き物を飼うような町や村はない。
なんせここは『アクラ森林』、『無名都市』のお膝元だ…。
コイツが『無名都市』の物見に着いてきた、もしくは物見のテイムモンスターなんだろうが…、初っ端から俺の『無名都市』に対するイメージが見事に砕かれた。
もっとこう、殺伐としたものを想像していたんだがな。
《テイムモンスターは、視覚の共有が出来るからこちらの状況は知られていると思ったほうがいい》
(…俺、出来ないんだけど?)
《消費の大きい術式魔法の一種だ。一南では、その…使えないだろう》
さようですか…。
「これ、どうしようかねぇ…」
起き上がってサウスの周りをパタパタと嬉しそうに駆け回るダックスフンド。
胸ポケットから顔だけ出して見ていたテンが、我慢できなくなり遂に飛び出した。
それを見た白も追うように俺の腕から跳び出す、が…。
「…お前等は行かせんからな?」
「ぴ!?」
「み!?」
空中で2匹を鷲掴む。
「ハァ…。サウス、それを大人しくさせろ。チビ助共が落ち着かん」
「ガ、ガウ」
そーっと右前足を上に挙げ、落ち着きのないダックスフンドの胴体を押えるように、ぽふりと落とす。
「マフッ!?…マフッ!マフッ!」
なんかサウスに踏まれて嬉しそうである。
…飼い主早く出てきてくれねぇかなぁ、是非引き取って欲しいんだが。
白は、猫持ちに移行して、テンは鷲掴みにしたまま、そんな事を考えていた矢先だ。
「ガウッ!」
おう、分かってるよ。
「はあ、はあ…。マッフィー様を苛める事は許さんぞ!!」
…ゴリラをそのまま人にしたようなおっさんが息を切らして、茂みから出て来た。
少なくとも純粋な人間ではないと思いたい。
しかし、森の王者が物見か、凄いな無名都市。
いや、それ以前に犬に様付けってなんだよ…。
《ぬし殿、囲まれておるようです…。神気は如何いたすか?》
(どんだけ神気を使わせたいんだよ、お前は。…却下だ、さっさと使い方を覚えろ)
《…御意》
「聞いているのか!マッフィー様を放せ!!」
「あん?…そのマッフィーは、サウスの足の下でえらく喜んでるが?」
ひの、ふの、みの…、気配を感じるだけで8人か?
すぐに攻めてこない処を見ると、様子見でもしてんのかねぇ…。
「まあ、いいか。このままじゃ攻めてきそうもないし。案内には、一人残ってりゃいいからな…。サウス放してやれ」
「ガウッ」
マッフィーに乗せていた右前足を退けるとマッフィーは元気よく駆けだした。
「マッフィー様!?」
…サウスの周りを。
「いや、飼い主の処に戻れよ」
「…マフ?」
マフ?じゃねぇだろ。
マッフィーは、しばらく立ち止りキョロキョロと辺りを見渡し、ゴリラで目を止める。
満面の笑みを浮かべたゴリラを無視して、サウスの周りを忙しなく走り出す。
「……サウス。止めろ」
「…ガウ」
ぺし、とまるで蚊を叩くようにマッフィーの胴体を押えるサウスだった。
俺は、テンを胸ポケットに詰め直し、猫持ちしていた白を改めて抱き直す。
……あー煙草吸いてぇ。
「おい、ゴリラ。…お前だオッサン。オッサンは、こいつの飼い主じゃないのか?できれば引き取って欲しいんだが?」
抱いた白の背中を撫でながらゴリラのオッサンにそう聞いてみた。
「俺は護衛だ!貴様こそ、マッフィー様を人質に取るとは…、バルク様の首を狙ったバウンティハンターか!?」
誰だよ、バルクって…。
「俺の情報はまだここに来てねぇのか?コボルトの森で会った冒険者ですら知ってたのにか?」
それに、護衛ってのは、犬の護衛か?…ねぇな誰か護衛を付ける程度には地位のある奴がいるのかねぇ…。
隠れてるお仲間もそうなのか?…しかし、マッフィーのおかげでやる気がなぁ。
黄助も足元に寄ってくるが、今一乗り気じゃなさそうだ。
「俺はCランク冒険者で最近賞金首になったんだよ、むしろ、狙われる側だなぁ。実に不本意だが。で、ちいとばかし探してるものがあるんで、無名都市に入って情報を得ようと思ってたんだがね…、案内してくれねぇか?」
リダーニアから貰った地図は、アクラ森林の場所に大雑把に丸をしてあるだけで、悲しいかな詳しい場所は分からないんだよ。
決して迷子になった言い訳じゃないとだけは言っておこう!
「そう言って潜入してくるバウンティーハンターや冒険者もいるんだ。信用できんな。さあ、やるぞお前等!マッフィー様を取り返すんだ!!」
そう隠れている仲間に声を掛けるゴリラのオッサン。
声を掛けられ5人は渋々出て来た。
「後の3人は弓兵かなんかか?ま、一人残ってりゃ案内は出来るだろ。正直この犬がいる時点でやる気は失せてんだが、やるってんなら付き合いましょうかねぇ…。その代わり死んでも文句言うんじゃねぇぞ?」
白を黄助に預けて、刻波に手を掛け、元魔王様お墨付きの殺気を放つ。
殺気を放った瞬間、森の木々から鳥達が一斉に飛び立った。
「ちょ、なんだよ!この殺気!?」
「あ、コイツ『白守』だ。確か手配されてたよな?案内しようぜ!それで終わる!」
「待った!俺等お嬢の散歩の護衛してただけなんだ!」
「勘弁してくれ、丸銅貨50枚じゃ割に合わねえよこんなの!?」
「あの神敵に将軍殺しか!?…なんでバトンズは覚えて無いんだよ!!アイツお嬢に斥侯も頼まれただろ!?」
バトンズってのは、ゴリラのオッサンの事か?
ふむ、お嬢ってのが護衛対象かねぇ。
しかし、なんだよ散歩の護衛って、無名都市のお偉いさんかなんかか?
まあ、この森を散歩する意味も分からんが…、もしかしてマッフィーの散歩なのか?
「ごちゃごちゃうるさいぞ!さあ、マッフィー様を取り返し、アミィ様に届けるんだ!!」
ノリノリなのはバトンズだけだな、後は腰が引けてしまってる。
俺は更にやる気を削がれ、殺気を収めた。
「誰だよアミィって…。「わたしよ」あぁ、気配はお宅らか、後の1人は出てこないのか?全部で8人じゃねぇの?お前等」
ゴリラは数に入ってません。
出て来たのは、2人。
1人は50代の男で恐らく護衛。
俺から目を放すことなく自然体でロングソードを構える姿は、中々の年季が入っている。
少なくとも、そこで喚いてるゴリラよりは強い。
もう一人は女の子、12・3歳か?
この子がアミィなんだろう、自分でも肯定してたしねぇ。
勝気そうな顔に、薄紫の髪を肩まで伸ばしている。
日に焼けた小麦色の肌をしていて、健康的な美少女だ。
130cmくらいで、何とも残念なボディをチューブトップっていうのか?あれとホットパンツというやけに露出の高い服装で際立たせていた。
武器の類は、突起物の付いたオープンフィンガーグローブくらいだ。
防具も付けてないし、よっぽど護衛を信頼してんのかねぇ。
「もう一人?ああ、フルーレの事ね。そう言えばなんで出てこないの?そこまで一緒に来てたのに。フルーレ!おいで!あんたも護衛でしょ!」
そう呼ばれて、森の木から顔を出したのは深緑の色をしたウルフ系のモンスターだった。
俺…ではなくサウスと目が合った瞬間に顔を引込めてしまう。
「フルーレ!」
もう一度呼ばれ、おずおずと出てくるフルーレ。
1.5メートルほどの深緑の体に長いライオンのような尻尾をくねらせ、アミィ後ろに伏せる。
白い花をあしらったオレンジの首輪が良く似合っていた。
そして、尻尾をアミィの胴体に巻き付け、サウスをチラチラと見ながら前足で地面を弄りだす。
「クキューン…」
…毛で覆われて顔色までは分からないが、非常に恥ずかしそうだ。
「…なにこれ?」
アミィがフルーレの尻尾を撫でながら、呟いたのに対しガトゥーネが反応した。
《ニードルウルフだろう?》
(そういう事じゃねぇよ…)
ちなみに、ニードルウルフは、尻尾の先に麻痺針を持つウルフ系のモンスターだ。
凄まじく、人間臭いニードルウルフだが…。
「えーと…。取り敢えず、『白守』のアマサカ・イチナだよね?」
そう言うアミィは、サウスの足の下で引き千切れんばかりに尻尾を振るマッフィーを見て、複雑そうな顔をしている。
マッフィーはアミィの登場に気づいてない、おい飼い犬それでいいのか?
しかし。マッフィーといい、フルーレといい…。
サウスにモテ期到来か?
「…そうだが。嬢ちゃんは誰だ?それにゴリラ以外は知ってるみたいだし。大分広まってんのか?俺の情報って」
取り敢えず、サウスの事は置いといて、名前と聞きたいことを聞いてみた。
「わたしはアミリア・ガンズィーナ。あなたも冒険者だったんだから、『空声』のバルク・ガンズィーナの名前くらい知ってるでしょ?その娘よ」
「いや、知らねぇ。取り敢えずそれが誰か、より。俺の情報は何処まで届いてるのかの方が聞きたいんだが…」
依頼書や賞金首の貼ってある掲示板は読めなかったから近づいてねぇし。
依頼を受けたのも五本の指で収まる程度だ、しかも依頼を受けたのはカウンターだし。
後はほぼ巻き込まれたり、首を突っ込んだりで現在に至るからねぇ
まあ、そのバルクって奴は、有名な賞金首かなにかだろうな、正直どうでもいいが。
「…バカ親父の名前を知らない?…やば、前に出過ぎた。……情報、情報が何処まで届いてるかだったわね!多分全土に回ってると思うわよ?あなた、緊急指名手配されてたから」
(冒険者から賞金首になった奴等は、バカ親父の名前をだせばビビッて手を出してこないから油断してた…。まさか、知らない奴がいるなんて!)
いきなり焦り出したな、この嬢ちゃん…。
護衛も警戒を強めたな、そんなにおかしいのか?そのバルクってのを知らないってのは。
「しかし、全土ねぇ…。面倒くせぇ事してくれてんな、何処に行っても敵だらけってか?…笑えねぇ」
(自業自得だとはいえ…。使徒を探すためには、ちいと難易度が高くないか?)
《これも鍛錬と諦めるしかないだろう。…が、頑張れ一南!》
「くくっ、キャラじゃねぇだろうに…」
「え、えっと。もう聞きたいことはないかな?マッフィーを放して欲しいなー。とか思ったりして…」
やべっ、思わず口に出たか、ドン引きしてんじゃねぇか。
「あー、使徒って何処にいるか知ってるか?」
「神様の?それならパレサー「トイレの使徒は、もういい」…じゃあ、分かんない。バカ親父ならなにか知ってるかもだけど…、まずはマッフィーを返して!」
「…ああ、無名都市に案内してくれるならな」
「するから!」
「お嬢様!?」
初めて護衛の男の声を聴いたな…、いいじゃねぇか案内くらい。
どうせ、あぶれ者や賞金首の集まりなんだし、1人増えた処で問題ねぇだろうに。
「じゃ、約束な?…サウス、放してやれ」
約束という言葉に、頷くアミリアを確認してからマッフィーを放すよう指示する。
適当な処で引き取って貰おうと思ってたんだが…。
完全に言い出す機会を逃して、なんか人質みたいになっちまったな…。
サウスは、足の下でうつらうつらと舟を漕ぐマッフィーから足をどかし、アミリアの方へとそっと押し出す。
押し出され、不思議そうにサウスを見上げるマッフィー。
…いい加減、気づけ。飼い主来てんぞ。
「マッフィー!!」
そう呼ばれて、初めてアミリアの存在に気づくマッフィー。
直ぐに駆けだすも、アミリアとサウスの中間で立ち止まり悩み始める。
「がう!!」
その場でフラフラと行ったり来たりを繰りかえすマッフィーにフルーレの一喝がとんだ。
「マ、マフッ!?」
慌ててアミリアの元に駆け寄るマッフィー。
(サウスの)視線に気づいたのかまたアミリアの後ろに隠れるフルーレ。
なんだかなぁ…。
俺は、自分の家族に視線を向ける。
胸ポケットで蠢くテン。
虫を追いかけようとする白を鞭で上手く手繰り寄せ、行かせない黄助。
サウスもクロハも戦闘の空気ではない事を理解している。
アミリアとその護衛以外は、すでに白を目で追って頬を緩ませていた…。
「…取り敢えず、案内よろしく」
脱力するほど、ほのぼのとした空気が流れるこの場で、俺はそう言ったのだった。
ストックはここまで。
次回から完全に不定期更新となります…。
すいません。
予約投稿ってホントに便利。
byミスター




