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猫守紀行  作者: ミスター
71/141

魔王+神=神、あまり精霊

黒ローブ(オウマ)side


解けるように白い塊からばらけていく大量の子猫。

中からは『ディスグロウ』を纏ったチャンター将軍。

ばらけた子猫達は甘坂の(オニ)いさん(誤字に非ず)の所へと走って行く。

その光景を見て、有りえない、僕はそう思った。


子猫がこのガファーリアに居るはずがない。

だって子猫、いや猫はこの世界の神が創らなかった命の一つだから。

このガファーリアに呼ばれる最中に割り込んできた『創世の神』から聞いたことだ。


正確には創っても今の世界には配置出来ない。

食物連鎖、自然、人間、他種族、モンスター、魔王、そして『神』。

大まかに分けてこんな感じ、そして今のガファーリアは、例えるならウイルスに感染されたのパソコンだ。

消去しない限り、新しいデータは入れれない。


『邪神』によって狂わされたのは、こちらの人でも倒せるように創られていた魔王。

本来なら一定周期で世界から選ばれる『英雄』によって『魔王』という分類は倒されることが決まっているはずなのだが。

『邪神』が魔王の特性をいじった事で、こっちの攻撃は99%以上カット。

攻撃を与え続ければ力の源である魔角を破壊できる仕様らしいが、そこも弄られて耐久力を底上げされているらしい。

そして、もし倒されても短いスパンで新しい魔王が選出されるようになった。


そこで神々がとったのが異世界からの『勇者』の召喚。

魔力が高く、邪神の影響を受けない異世界人を選んで、聖なる魔力(アンチウィルス)を付加して送り出したんだ。


2年前、こっちでは50年前に魔王を追い詰めて、一族の命題に拘った結果、魔王を倒さず送還された僕。

ただそれだけで世界のバランスが『魔王(ウイルス)』側に傾いた。


本来ありえない2度目の召喚。

今回この世界に呼ばれたのは『創世の神』である私の意志だと、責任を取れと、役目を果たせと…。

そして、世界に添わぬ異物(バグ)を排除しろと…。


寄越したのは、帰るための確約では無く更なる『力』。

身体能力の大幅な向上と『神気』に『神眼』。


何で僕だけ!?僕に何の責任がある!勝手に呼び出して、何人切ったかも分からない…。

それに、命題も果たさないまま送還されたんだ。

もう、いいだろう?力なんていらない!帰りたいんだ!


その心からの叫びも届かないまま召喚され、今では魔軍の将の奴隷だ…。

武器が無いまま呼び出され、気づいたらウォルガイは壊滅。

今度は帰る事に拘り、その手段を盾にされ、隷属の首輪を付けられてしまった。


どうしようもないじゃないか…。


俯いてマイナス思考に陥っていると甘坂の鬼いさんから声が聞こえた。

「……腐敗勇者、社長。さっさと逃げろ。ちいと無理だわ」


…え?『あの』甘坂の鬼いさんが無理ってどんな状況だ!?

思わず顔を上げ、声も上げた。

「…うわぁ…」

みるみる内に子猫に埋もれていく鬼いさん。


甘坂の鬼いさんの事は一目見て分かった。

顔を覚えていた訳じゃない、体が覚えていたんだ。


甘坂家、それは出鱈目な一族の中でも群を抜いている。

『理不尽の塊』と一族から称される五一のお爺さんと『次代の理不尽』と影で囁かれている一南鬼いさん。

僕にとっては、彼らのお葬式以外で会いたくない人物だ…。

何故いるかなんて分からないけど、きっとどこかの神に連れてこられたんだろう。


……なんで、僕が鬼いさんの敵になってるんだろう。

もしかして、異物(バグ)とは鬼いさんの事なのか?


…帰りたい。

その思いがより一層強くなった。


お年玉争奪戦で勝つために、真剣を持ち出したのに怒らなかった鬼いさん。

何事も無かったかのように、抜刀中に鞘ごと蹴りで叩き折った鬼いさん…。

その後、嬉々として五一のお爺さんに挑む鬼いさんと、一族が引くような攻防を軽くいなす五一のお爺さん…。

甘坂家の存在自体がしばらくトラウマになっていた。

※王真くん12さい、一南くん15さいの出来事。


その鬼いさんが、なすすべも無く子猫に埋まっていくのは、目を逸らしたくなる光景だった。


Sideout



「魔王様、儂もああだったんですかな?」

「うむ、呼び出した時は何が来たのかと思ったぞ。ちゃんと作動していたようだな『小規模転移球』は、改造した甲斐があったぞ!」

それはようございましたな!と笑いながらもチャンター将軍の目は魔王の切り落とされた魔角へと奔り、次いでこちらを振り向いた。


「さて、ガイナス…貴様、これがどういう事か分かっておるんだろうな?」

場に充満する、強烈な怒気と殺気。


「もちろんです。研究のために、『魔王』を捨てるような者に国任せてはおけません。私が代わりに魔国を収めます。『勇者に負けた』彼と、魔角を付けた私。民はどっちにつくでしょうね?」

魔角は『魔王』の証だ、魔角を持つものが『魔王』であり、それを継ぐのは大体親族なのだが…。


「ふん、俺様が城を出てから50年前の事を国に広めたか?そうしておけば、魔角を持って帰るだけで俺様の居場所は無くなる。2度目の敗北ならば尚更だ。そして『融合』で魔角を1本でも付けた貴様が、俺様の意志を継いだとでも言えば民は付いて来るだろうな」


(俺様、研究に没頭しすぎて視察とか行っていないからな。…そういえば、ここ50年、城から出た記憶がほとんど無い。政務はこなしていたが、あとは研究室にいた気がする…まあ、選択は此処に来た時点ですでに終わっている。迷う必要は無い)


「……チャンター、足止めをしろ。祭壇に向かう」

「宜しいので?転移球を使えば今からでも…」

「二度は言わん。魔王としての最後の命令だ。俺様はガイナスの言う通り『魔王』を捨てる」

白衣を翻し、『斬滅陣』を黒い紐に戻してから杖状に作り替える魔王。


「……世話になった、じいや」

無詠唱で飛行魔法の『フライト』を唱え祭壇に向かっていった。


「タカヒラ!!追いなさい!」

「……」

駆けだそうとする王真にチャンターの拳が飛ぶ。


「行かせん…。儂の受けた最後の命令だ。たとえ同じ魔軍の将であろうと、最強の勇者であろうと、『ぼっちゃん』の邪魔はさせん!!!」

その気迫に押され、一歩下がる王真。


そんな時だった。

バスッと一南の猫玉に上空から何かが突っ込んだのは。

次の瞬間、猫玉の隙間から目が眩むほどの銀の光が溢れ出し収まるころには、猫玉が『消えて』いた。


「聖なる魔力!?こんな桁違いな量なんて…。でも今までゴミ屑ほどの魔力量しか無かったはず。隠していたとでもいうの?…化け物ね」

「うそだろ?だってアレは、鬼いさんが入って……まさか勇者なのか?」

「バカな!?あの剣士は今まで聖なる魔力なぞ使っていなかったはずだ!まさか、遊んでいたのか!?この局面で!!」

皆、勘違いである。


「あ゛ー!クソッ!魔王は行っちまったか…。でもまあ、なんで此処にいるかは別として、助かったわ。ありがとな『白』『テン』『チビスラ』」

「み~♪」

「ぴぴー!!」

「……?」

白ライダーテン、登場。

ヒーロー?とは遅れてやって来るものである。


一南は、自分の周りをクルクル飛び回る白達を見て、頬を緩める。

次いで勇者達を一瞥し、魔王が飛んで行った方に視線を移す。

社長と腐敗勇者はいまだ、魔王に向かって攻撃を繰り返しているが距離が離れて当っていない。


(流石に間に合わんか…。この鎧男も、大人しく行かせてくれそうも無いしねぇ。…これは、詰んだか?あの時白モドキを斬れてれば、足止めくらいは出来たかもしれんが。俺には斬れんからなぁ。まじぃなぁ…あれ?先にガトゥーネに挑めばよかったんじゃねぇか?そうすりゃ結界で入れねぇし…)


「あぁ!!くそっ!やっちまった!!」

今気づいた事に思わず声を荒げる一南だった。


「…ひっ」

「ん?うおっと、危ないねぇ」

何処からか漏れた小さな悲鳴に首を傾げるが、発生源を探す間もなくチャンターから拳が飛んできた。


「軽く躱すか、そこの勇者共々危険だの貴様らは」

そう言いながら殺気と共に構えるチャンター。


「そこの勇者ってのは、やっぱり『王真くん』なのか?…面倒だねぇ、全く。チビーズは勇者共のところにいってな」

白達は一南のピンチ?を救った事に満足したのか、元気に返事を返し飛んでいく。


(あれから10年たってるし、50年前の勇者も確か王真くんだろ?経験の差ってのはでかいんだよなぁ。ガイナスってのも未知数だし。この鎧男も、無手だってのに隙間の無い全身鎧だ。取り敢えず氣で対処するしかねぇな)


「面、倒…ですって?この男の相手を面倒で済ませるというの!?タカヒラ、魔王はもういいわ。その男とチャンターを殺しなさい!!」

(50年前、どれほどこのタカヒラに掻きまわされたと思って!?それを…この男は!)


「……」

(これは武者震いだ、落ち着け王真…。トラウマは克服しただろう?さっきのも、ちょっと驚いただけだ。大丈夫、たとえ鬼いさんでも『創世の神』から貰った力には勝てない…はず)


「くははっ!三対一か?…分が悪いにも程があんだろうよ」

(こいつ等をどうにかしねぇと、行けそうもねぇな。…問題は王真くんか。同門、しかも居合抜刀ってのが厄介だ。刻波でしか合わせられんし、鎧男に手を取られるとやられるな。限無で使った体力が戻ってないが…。先に王真くんから逝こうか。剣を持てないくらいに斬れば問題ないだろ)

一南は、刻波を握り。チャンター対策に氣を回す。


動こうとした矢先、チャンターが魔力を放出。横合いからそれを受けた一南に隙が出来た。

そして、その隙を逃す二人ではなかった。


「…シッ!」

王真が、一南の右手を狙って抜刀し。

「ぬぅん!!」

チャンターが、魔力を纏わせた拳を一南の顔面目掛け突き出してくる。


「チィッ!」

一南は王真の抜刀に対し、刻波を抜刀。

咄嗟に『(つか)』でシャムシールの刃を受け、チャンターの迎撃に入る。

(弾けない!?鬼いさん!握力どんだけですか!?)


向かって来る拳に下から掌打を叩き込み、氣を打ち込み爆発。跳ね上げる。

(なんだと!何をしおった!?)


王真が剣を鞘に戻すために、引いた感触が柄から伝わった。瞬間、手首を返し『首』を狙って薙ぎ払う。

避けるために後ろに飛ぶ王真、フードを切り裂くで終わった。

チャンターは体当たりに移行し突撃して来る。

一南は避けながらも、掌打で脇腹に氣を叩き込んだ。


数瞬の攻防、3人は距離を取り睨みあう。


「鬼いさん…。僕の事、殺す気ですか!?」

(防がれた…。ガイナスの前で神気と神眼は使いたくないんだけど…。やるしかないのか?)


「まさか『ディスグロウ』の悲鳴を聞くとはな…」

(打撃自身は大したダメージでは無いが…。当てられた場所からディスグロウの悲鳴が聞こえた。こんな事は初めてだの)


「王真くん、避けると信じてたぞ。あとイントネーションがおかしい気がするんだが?」

(余裕、とはいかんなぁ…。王真くんが、武技を使って来なくて助かった。尋常じゃない身体能力だな王真くん。こっちの鎧男も氣のほとんどを鎧に吸収されて、軽い打撲って感じか?量を叩き込むか、圧縮しないと話しにならんな…。二人とも出来るなら一対一でやりたい相手だねぇ。これで後ろに控えてるガイナスが入ってきたら、ちいとまずいか…)


均衡を破ったのは『祭壇』から登る『白い光』。

その光は、戦の神との戦いの場を整えるために、徐々に広がりコロシアムを飲み込む結界となる。


「魔王が神と会いましたか。タカヒラ!!戻りますよ!」

「……。はいガイナス、様」

切り落とした魔角を握り転移球を発動させるガイナス。

王真は、構えを解いて、切られたフードを取って俺に向かって一礼した後、ガイナスと共に消えていった…。


「クックックッ…儂の、いや。ぼっちゃんの勝ちじゃ!!」

「そうみたいだなぁ、クソがっ!」

(時間を喰い過ぎた。行って如何こう出来るもんでもなかったかもしれんが…)


「イチナさん!」

「……ちぇけら…」

「ガウッ!!」

ソルファ、サウス(パー子装備)到着。

「はいはい~馬車が通りますよ~。轢いちゃいますよ~」

ハチカファ、アイリン組到着。

「すまん、遅れたのう」

ルナ到着。

なんとも言い難いタイミングでの援軍達である。


「今度は儂の分が悪いかの…」

「そうみたいだねぇ。…?なんだ?」

そして、視界が『白』に染まる。

次の瞬間、一南達はコロシアムから弾きだされていた。

現行の魔法陣はかき消され。

遠くでアリーナンの嘆く声が響いた。



魔王side


「……戦の神か、早まったかもしれん」

祭壇から上がる白い光の柱。

そこから感じる本気度に、インドア派の魔王は引いていた。


(たった二人の戦場(イクサバ)を作り出すために、コロシアムを丸々一つ使う気か。文献と違うな…。ここまでの結界を張る例は無かった。やはり力を奪おうとしている事が分かっているのか…。使う間もなく終わるのは御免だ、今のうちに唱えておくか)

出て来た瞬間を狙おうと決め、詠唱に入る魔王。


結界を張り終わった頃、空間を斬り裂き『戦の神』ガトゥーネが姿を現した。

大剣を携えた、美しい戦女神。

それがガトゥーネである。


「待たせたな、一南…。さあ、戦おう!……む?一南じゃないだと?」

祭壇や信託の間の管理をしている、見識の神に確認もせず。

浮かれ気味に飛び出してきた結果がこれだ。


神気と闘気を漲らせた、膨大な力の塊。

その視線と圧力を一身に受けた魔王は、思わず詠唱を中断して一歩引いてしまう。

(なんだこの圧力は!?そしてイチナとは誰だ!!)


「む、それは魔角か?何の用だ、戦いに関するアドバイスか?今代の魔王は戦う者ではない。加護は与えんぞ?創る者なら『創造の神』を当たれ」

目に見えてガッカリしている戦の神。

神気と闘気も自然と萎んでいく。


「フ、フハハハッ!何を落胆している、戦の神よ。俺様は戦いに来たのだ」

「創る者である貴様がか?ふむ…。挑まれたからには仕方ない。では始めようか」

再び神気と闘気を宿し、圧力を掛けてくる『戦の神』ガトゥーネ。

そんな戦の神に対し、今度は一歩も引かず。

魔王は、白衣を翻し不敵に笑みを浮かべに言い放つ。


ハンデ、下さい…と。

その一言は二人だけのコロシアムに嫌に響いた。


「………。うむ、そうか。先制攻撃でもするか?それとも目を瞑ろうか?」

まるで子供に言い聞かせるように、温かい目を向ける戦の神だった。


(フ、フフフ…。俺様、何か大事なものを失った気がする。だが仕方あるまい、聖なる魔力は神気を劣化させたものだと聞く。技量、力、身体能力。その全てにおいて俺様に勝てる要素は無い。だからこそ、『確約』が必要なのだ。先に攻撃するための『確約』が)


「では、先制攻撃…。いや先制『魔法』を避けず、防がず、棒立ちで受けて貰いたい」

「魔法か?魔法は我々神には効果は薄いぞ、分かっているのか?」

確認するように聞いてくる戦の神に、頷きで返す魔王。


「…いいだろう。さあ、来い」

抜身の大剣の刀身を消す。どうやら、神気で形を造っていたようだ。

残った鍔と柄の部分を腰に下げ、腕を組んで目を瞑り、魔王の一撃を待つガトゥーネ。

それを見て、魔王は思った。


(ちょろい、ちょろ過ぎるぞ戦の神。だが大事なのはここからだ。この強化した『特殊術式』が効かなかった場合、俺様は殺される。確実に。そして、成功しても国に戻れるか怪しい…。兵力強化のための実験が俺様の我儘で、か。ままならんものだ。しかし!)

自虐的な笑みを浮かべ、杖と化した『ディスワイルド』を構える。


「選択は終えているのだ。後悔に意味は無い。行くぞ、戦の神よ」

詠唱を開始する魔王、自分の足元に魔法陣が構築されていく。

詠唱が終わりに近づくにつれ、魔法名が一文字ごとに頭の中に浮かび上がる。


(んん?本当にこれが魔法名か!?意味を成さない文字の羅列ではないか!!…ええい!ままよ!!)

「『artkgosme15bj8476bokso』…」

目を瞑り微動だにしないガトゥーネの足元に魔方陣が展開し、そこからは一瞬だった。


「ガアアアアアアアア!!!」

魔王が感じたのは魔法陣を通り、流れ込んでくる膨大な力。

そして、特性と体を書き換えられる激痛。


「ぐっ!?バカな…。『名無(めいな)き術式』だと?地上に授けた物は劣化させていた筈だ。何故…」

感じたのは力と特性を失う喪失感。

そして、世界に体を作り替えられた衝撃。

ガトゥーネは思わず膝を着く。


「ハァハァハァ…。フ、フハハハハッ!!成功だ!これが神の力か!!」

そんな時ガトゥーネが張っていた結界が徐々に解け始める。


「フフ、結界を維持する力も残ってはいないか。流石、俺様の改造術式だ!」

成功したので上機嫌である。


「くっ!まさか、戦の神たるこの私が、こんな形で『神落し』させられるとはな…」

(結界にまわしていた神気は回収したが…。今の私はごく少量の神気の精製と、神気を使える精霊といった処か…。この者を殺せば力は戻る、そういう術式だ。だが…この体では厳しいか。神域に戻るか、憑代があれば力を蓄える事も出来るのだが。神ではない私が神域に入ることは出来ない。憑代も……無い、か。フフッ創る者だと油断した罰か)


「さて、覚悟はよいか?俺様の『神』としての最初の仕事は、お前を殺す事にしよう。正直、力が大きすぎてまだ制御できん。元戦の神にはこの力に慣れるまで遊んでもらおうか」

そう言うと『ディスワイルド』を剣の形に変え威圧してくる。


「フ、フフフッ」

「…なにが可笑しい?」

「いやなに、対峙して初めて分かるな。これが私の力だったのか」

「そうだ。立っているだけで身が震えるほどの力…。その身で感じて恐ろしくなったか?」

自分の力に怯えているのかと笑う元魔王。


「一南も私の威圧を受けて、笑った。人の身で神と戦える事が嬉しいと笑ったのだ…」

(強敵との戦い、神になってからは久しくなかった。この体で何処までやれるかは分からないが…。フフッ初心に帰るのも悪くない。まずは見栄でも張っておこうか!)

そう言いながらガトゥーネは立ち上がり、鍔と柄だけの剣を取り。

少ない神気を流し圧縮、刃を創る。


「来い、元魔王。先任としてその身に刻んでやろう。挑まれるべき『神』の有り方を。戦いの愉しみを」

そして、まるでレイピアの様な細い刃を『神』へと向けるのだった。

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