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猫守紀行  作者: ミスター
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帰還と呼び出し

30000pv突破!!

いやぁ、嬉しいですね!!


記念に1話上げときます!

「み、み」

ペチペチと顔に白の肉球が当たる…分かった起きるよ…

「がぅ」「み?」

ベッチッイィン


「ぃいってぇ!…き、黄助?鞭は止めろ…本気で痛かったぞ…」


黄助がサウスに乗り鞭で俺を起こしてきた…

戦闘ならまだしも完全に無防備な状態にコレは痛い。


「あ~お早う皆、ん?…テンは?」

サウス、黄助、白が窓を見る。

そういや閉めてなかったな…おい、まさか。


「まさか…そこから飛び出して行ったのか?」


窓を指さしながら白達に顔を向けると、頷きが返って来た…

何してんのあの仔…フリーダムにも程があるだろうよ。


しかし、迂闊だった窓閉めときゃよかったよ。


「って、こんな事してる場合じゃねぇな…探しに行くぞお前等」

サクッと準備してテンを探しに外にでる。



「違うっす!ドロップキックはこうっすよ!!」

裏手からそんな声が聞こえてきた…


「ぴ?…ぴぴー!!」

「おお!中々うまいじゃないすか!」

行って見ると其処にはテンとマキサック・夢野が居た…


マキサック…お前、ひよこ相手に何してんの?


「急いで出てきてみたら、これか…テン何してんの?」

「ぴ!!」

分かんねぇ…まあ、テンに聞いた俺もバカだったが。


「ん?確か…マサカ・チナさんだったすか?」

「甘坂一南だ…何でそこまで覚えて、頭一文字が出てこんのだ…」


あっさりテンが見つかり気が抜けた処に、追い打ちを掛けられ脱力する。


「マキサックは護衛の仕事じゃなかったか?良いのかテンと遊んでて」

バスハールはどうした?


「ああ、それっすか…坊ちゃんって王子だったんすね。今しがたもう一人の王子と一緒に城の兵士が大慌てで迎えに来て帰って行きましたよ…」


知らなかったのかよ…しかしもう一人?シャーニス…じゃないよな流石に、となるとバラーグか?

しかし、大慌てねぇ…何かあったのか?


「俺この国に着いたばっかりで、王都のギルドで仕事探してたら坊ちゃんに会ったんすよ。報酬もよかったし、坊ちゃんも貴族っぽいのに、威張って無かったし即答で受けたんすけど…王子様だったとは…失礼な事してなかったすかね?」


俺に聞くなよ、お前等の道中なんぞ知らんわ。

まあ、少なくとも細かい事を気にする奴じゃ無いだろうな…付き合う女の年齢以外はねぇ…


「まあ、大丈夫だろうよ。それよりお前これからどうすんだ?俺達は王都に戻るが…」

そういや、他のメンツに声掛けてないな…まあ、慌ててたから仕方ないんだがねぇ?


「そうっすね…報酬も入ったし一度、王都で補充したいトコっすね」

「それなら別に王都じゃなくても良いんじゃないか?」


特に武器を使う訳でも有るまいし…


「王都はやっぱり物が違うっすよ、干し肉一つ取っても味もいいし持ちが長いっす」

ふむ、そんなもんかねぇ?

まだ、長旅したこと無いから分からんな。


……あ~、帰ったらガトゥーネにでも会いに行くか。


「見つけたわよ!!イチナ!さあ、白たんを返しなさい!!」

朝っぱらからテンションが高ぇな…

それと、返すも何も白はお前のじゃねぇ。


テンと白も第二次鳥獣大決戦を始めようとするな。

朝から俺の気力が持たん。


「…黄助、捕獲頼む」

「がぅ…」黄助は白とテンに呆れながらも捕獲のために動く。


「試合に乱入とは…中々やるっすね」

試合じゃねぇだろうが、まずリングがねぇ。

まあ、乱闘と言えなくもないがねぇ…でも何かちげぇ。


お前もアレか?

脱力兵器の類なのか?


「……ふぁいとー…サウス…ふれー…ふれー…」

パー子…いつの間に来てたんだ?足音しなかったぞ?

あと、サウスは戦ってない。


「……窓から…落ち……跳んだ…着地成功は…久々…」

そうか、落ちたんだな?

着地の時全く音がしなかった辺り、矛盾した存在だなお前。


……駄目だ、脱力兵器しかいねぇ…


黄助に絞られた、白とテンは解放されたが…

アリーナンの喚き声をバックに場は混沌として来た…


白にバックブリーカーを教えようとするマキサック・夢野…おいヤメロ、できねぇから子猫だからその仔。


そして、挑戦しようとするテン…だから無理だからな?プロレス技は人間用なんだよ、ひよこや子猫が使えるようにはできてないんだっての。


今まで抱き着けなかった分を発散するがごとく、サウスをがっちりホールドしてぐりぐりと無言、無表情で顔を押し付けるパークファ。


白の視線がマキサックに行っているのが気にくわないのか、あの手この手で自分に振り向いて貰おうと頑張っていたが、諦めて何故かオリジナル魔法の『フラグ』で白を応援し始めるアリーナン…何でだよ…


……はぁ…この面子を沈める気力も持って行かれたなぁ。


煙草を銜え、オイルライターの蓋を開ける…がオイル切れだ。


カートンは山ほどあるのに吸えないとか、どんな拷問だよ。

イメージ魔法は一日2回までか…


まあ、いいか使っちゃえ。

イメージ魔法で指先に火を灯し、煙草に火を入れる。


「おお、やっと見つけたわい…何じゃ黄昏て…大丈夫か?」

うん、駄目かもしれんね。


「あ…イチナさん…その、よろしくお願いします!!」

何をだ?…主語を言ってくれソルファさんや。


「ソルファには昨日の夜にみっちりと洗脳…もとい話しておいたからの、これで第三夫人決定じゃ!」


ルナよ、お前は俺に何を求めているんだ?…ハーレムでも作れと?

まあ、男の夢ではあるがねハーレム。

でもな、俺の与り知らない処でそういう大事な事を決めないでください。


「あの、流石にいきなりお嫁さんは何ですから…お友達からお願いします!」


そう言いきってスッキリした顔のソルファだが…


「ああ、うん…そうだね…」

俺はまだ友達とも認識されてなかったのかと結構ショックである。


紫煙を空に向け吐き出して、一言。

「……帰るか…」




「ラーーリアットっす!」

魔力を込めた腕でラリアットを二足歩行のオオトカゲにぶちかますマキサック・夢野。

オオトカゲは腕を支点に一回転して地面に落ちる…

人間が喰らったら、首がもげるなあれは。


「来るときはモンスターのモの字も居なかったのになぁ…」

馬の上からマキサックを見ながら呟く。


オオトカゲを片足で踏んづけ、右手を挙げて勝鬨を上げるマキサック・夢野。


「いやー、やっぱり相手が居ると良いっすね!しかし、よかったんすか?王都まで乗せてもらって」


「どうせ、戻るんだしな。1人増えた所で変わらんだろ。こうして露払いもしてくれる事だしな…お前はモンスターの素材とか取らんのか?多少なり金に成るぞ?」


コイツは素材部位には見向きもしないで、勝鬨を上げては戻って来る。

モンスターは仕留めたら基本放置である。


「俺は『比異瑠』じゃないんで凶器の類は持ち歩いてないんすよ…夫呂例素流の教えで『比異瑠』のみ凶器の携帯を許されているんす。でも基本的に栓抜きや椅子とかっすね、戦闘にナイフを使ってる夫呂例素羅は夫呂例素羅じゃないっす」


いや、俺は戦闘の事を聞いてるんじゃないんだがねぇ…

まあ、俺の剥ぎ取りの練習台になってるから良いんだが。


「まあ、いいか…ほれ、そろそろ行くぞ馬車に乗れ」

「うっす!」

そう返事して馬車に乗り込むマキサック。


今の編成は、行者にルナ、馬車の中にアリーナンとマキサックそれとテン。

テンはどうもプロレス流がお気に入りみたいだ真似できる技は片っ端から真似してる。


白と黄助はリュックの中、リュックを体の前に回して白が飛び出しても反応できるようにしてある。

サウスはモンスターが出て来たため索敵として馬車の外を一緒に走っている…もちろんパークファ付きだ。

ソルファは俺と同じく馬での警戒と索敵だ。


しばらく走っていると日が落ちてきた…街道の脇に馬車と馬を寄せ、休憩を取る。



「そろそろ野営の準備でもするか?今日はさっさと寝て朝一で出よう。バスハールの迎えに兵士寄越す位だ、何かあったのかも知れんしな…」


ちいと気になるんだよねぇ…


「あ、火の番は俺がします!」

ハイ!と手を挙げるマキサック。

じゃあ頼もうかねぇ。


「……サウスの…見張り番…なう…」

同じく手を挙げてのたまうパー子…サウスは敵じゃないから見張らなくて結構。

それ以前にお前はサウスから降りろ。


「私は白たんを愛でるわ!!」

平常運転だねぇ…だが、働け。


「まずは準備だ、アホウ共。マキサックは馬車からテント一式持って来い、俺と組み立てだ。パー子はルナについて鳴子の設置、アリーナンはソルファと薪拾いな。飯はさっきのオオトカゲの肉だ、火が無いと焼けん。…ほれ、やるぞ」



やはり人数が多いと準備が終わるのが早い早い。

今は火を囲んで飯を食ってる最中だ…


しかし、食の加護ってのは偉大だな、白は肉もイケるらしい…

一応、『猫の揺り加護』で子猫用の餌も出してみたがお気に召さなかったようだ。


残念ながら変身はしなかったがねぇ…何か基準が有るのかね?


食べ終わった後は、メインイベントの第二次鳥獣大決戦だ。

レフェリーはマキサック・夢野でな…


前回勝者の白は余裕の表情だ。

対して挑戦者であるテンは…「ぴぴー!ぴ!ぴぴぴー!」…?…

あ~挑発してるんだろうか…恐らくだが。


先に動いたのは何故か挑発していたテンだった…

ん~?挑発じゃなかったのか?分からんな。


「ぴ…ぴぴー!!」

方翼を開いて、白に向かって走り出す…まさかのラリアット…しかし。

「み?…み~!」

白は猫パンチで迎撃…テン渾身のラリアットは夢と消えた。

まあ、当ったとしてもひよこと子猫じゃ体格差があるから、ちと厳しいが。


ぽてぽてと転がるテンにレフェリーのマキサックが…

「ワン!ツー!「…ぴ、ぴー!」…ファイ!!」


おい、何かボクシングと混ざってないか?

まあ、それよりもだ。


「ファイ!じゃねぇよ…テンも白もそこまでだ、今日は早めに寝るって言っただろうが」

この戦いは見ていると飽きないが勝負がつくまで結構な時間を有する。


「み~」白は聞き訳が良いな…中々お兄さんっぽくなってきたじゃないか。

そう言えば白って雄か雌か確認してないな…


「ぴ!?…ぴぴー!!」落ち着け、邪魔をしたのは悪いと思ってるんだ。

だからそんなに走り回るな、俺の足に上って太ももをつつくな。


「大丈夫っすよ!テンは立派な夫呂例素羅にしてみせるっす!白に勝つのはそれからでも遅くないっすよ!!」


よし、黙れアホウが。


ひよこにプロレス仕込んでどうすんだお前は?

まあ、面白そうではあるがねぇ?


「ぴぴー!!」とよくわからない返事を返すテンに微妙な視線を送りつつその場はお開きとなった…


ちなみにその日、巨大なテンにブレーンバスターを掛けられる夢を見た。



「チナさん!起きるっすよ!!」

「…声がでけぇ…それとチナじゃ無くイチナだ」

すいません、チナさん。と訂正むなしくチナのままだ…簡単な名前だと思うんだがねぇ?


「ふぁ~…で?何かあったのか?まだ暗いが…」

テントで寝ている女子組はまだ起きてない…パー子はサウスの上で寝ているがな。


俺の横で丸くなって寝ている白と白に寄り添うように寝るテン…うむ、可愛いな。


「はい、チナさんにお客さんのようで…王都から来たみたいすよ。何とか隊の隊長の何とかさんらしいっす、今は鳴子のとこで待ってもらってます」


……王都から来た隊長しか分からねぇ。

しかし、誰だ?こんな夜更けにしかも野営中にだぞ?

どうやって場所を特定したんだか…


「んもう、それじゃ分からないでしょう?せめて隊の名前くらいは覚えて欲しいわねん」

「ああ、オカマか…お前は鳴子の前に居ろよ、部下を寄越せ」


じゃあ、お休み。


「ちょっと!?イチナちゃん!何で寝ようとしてるのかしらん!?」


「デカい声を出すな…白達が起きるだろうが…あと寝るのは、お前の顔が濃いからだ。用件はマキサックに言え、日が昇ったら聞く」


顔が濃い。理由なんてコレで十分だ…こっちは、ねみぃんだよ。

眠くて多少理不尽な対応になったが問題ない。


「この子に言ったら半分以下も伝わらないじゃない…それに私達ちょっと急いでるのよねん。聞いて欲しいな~?…『異世界人』のイチナちゃんに」

巨体のオカマが一指し指を唇に添えて『欲しいな~』だと?…キメェ。


いや、そんな事より、何で知ってる?

ルナ…は違うだろうな。


「…バーマックのおっさんか?」

それぐらいしか思い浮かばん。


まあ、バラーグとおっさんの前でガッツリ異世界から来ました的な事を言った覚えがあるし…

まさかコイツにまで話しているとは思わなかったが。


「そうよ、聞いた時は「あ、やっぱり」程度の驚きだったわ」

要はただの確認作業だった、と。

そんなに怪しまれる事したかねぇ?…まあ、王族相手にちとフレンドリーすぎたかね?


「まあ、アイナクリン様が白ちゃんから聞いた部分が大きいのだけれどね?」

まさかのアイリンだった…まあ、それはいいから本題を言え。


俺が話すように促すと、レームは神妙な顔をして切り出した。

「実はね、6つある『王都』のうち1つが魔族によって落とされたという情報が入って来たの…」

へぇ、王都って6つも有ったのか。


「で?それと俺が何の関係が有る?」

「もうっ!せっかちさんね?モテないわよ?」

もう嫁候補が3人居るんだ、これ以上増えても俺が困る。


「王都は王政を敷くのは分かってるわよね?」

当然だろう、民主主義の都市で王都なんぞ付けんしな。

俺は頷きで答える。


「それぞれの王都には、そこでしか出来ない事が有るの…分かる?」

そこでしか出来ない事?

祭壇か?いや、アレは教会が代わりを成せるしなぁ…まさか…


「勇者召喚か…」


「そうよ、各王都にはそれぞれの勇者召喚の技法が有るの。パレサートは4人の勇者を召喚して力を合わせて頑張ろうタイプ、他の王都は大体特化型を1人ね。パレサートは珍しいタイプなのよ。私達の王都『シェルパ』はバランスの良い勇者を召喚するの、そういう術式なのよ」


……何だろう、説明を聞くと違和感しかない。


「パレサートには予知巫女が居たから先に召喚出来たけど、『ウォルガイ』は召喚する間もなく滅ぼされた…恐らく召喚術式は魔族の手に落ちたでしょうね。そして魔王復活が民衆に知れ渡ってしまった…私達も勇者召喚するしかなくなったのよ」


ふむ、俺に一切関係ない話だな…キーワードは『異世界人』か?


「今代の巫女はアイナクリン様なの…勇者が錯乱して巫女を殺す事も昔あったのよ、だから異世界人…同郷であるイチナちゃんに護衛を頼みたいの」

同郷かは分からんがね…まあ、それなら受けようかねぇ。


「分かった、いいぞ。だが、俺は冒険者だ報酬くらい出せよ?」

「有難う!イチナちゃん!!報酬の件は任せて頂戴!さあ、行きましょう!」


今からか?


「急いでるのよ、長く話しちゃったし…大丈夫、部下を置いていくから説明させて置くわ、急いで!!」


ハァ…仕方ねぇか。

寝ているサウスと黄助に声を掛ける。


「サウス、黄助寝てるとこ悪いが俺は先に王都に向かう、お前等はルナ達と一緒に来い。白とテンを頼むぞ?」


サウスと黄助は寝ている白とテンを見て頷いてくれた。


「行ってくる、マキサック他の奴等を頼むな」

うっす、任せてください!と返事を聞いてから。


まだ暗い空の下、レームと共に王都へと向かうのだった…


全く…退屈させない世界だねここはさ。

次は土曜日の10/4ですよ。

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