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猫守紀行  作者: ミスター
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変身ベルト

今回はミスで予約せずに投稿してしまいました。

ごめんなさい。

俺は今カルトイヤの店に向かっている最中だ。


カルトイヤが試作品を作っておくと言っていた。

あの男に俺だけで会うのは少々心配だがね?

殴り飛ばしてしまいそうだ…


「み~~♪」

しっかし、上機嫌だな白は、見ていて嬉しくなるねぇ…


今回はギルドじゃないためサウスも連れて来た。

久しぶりにサウスとお出かけできて嬉しいのかね?


一応リュックも担いでいるが、黄助はサウスの背に乗っている。

白はサウスの頭の上でべったりと手足を伸ばしてリラックスしている…

是非とも写真に収めておきたい処だが…生憎、携帯は電池切れだ。


何時もなら顔の近くは嫌がるサウスだが、パークファで慣れたのか平然としながらも尻尾を振りお散歩気分である。


道行く人の視線がサウス達に集中している…

だが、恐怖などの感情ではなく皆、笑みを浮かべていた。


一部、アリーナンのような眼をした奴もいたがな。


しかし、こうして散歩するのもいいもんだねぇ。

カルトイヤに会う時間は決めてないし、ちょっと歩いてみるか?


別にカルトイヤに会いたくない訳では無いぞ?

誤解しないように。


「サウス、ちょいと散歩しようか?俺もシェルパに詳しくないし…カルトイヤは後で良いだろ」

コッチを見てキョトンとしているサウス。

知ってたか?体はデカいが可愛いんだぜコイツ。


「ガウッ!!」と嬉しそうに吠える。

さて、どこから行こうか?


……サウスに任せてみようかね。


「サウスの好きに歩いてくれ俺は付いていくから。これが町の外なら思いっきり走ったりも出来るんだが…流石にな?」


街中でサウスが走ると兵隊さんが出てきてしまう。

それは流石に勘弁だ。


そう言われ少々迷ったサウスだが、ゆっくりと歩き出した。

俺はサウスに着いて行く。

特にこれといった目標も無いただの散歩が始まった。


…最終目的はもちろんカルトイヤの店だよ?

忘れてないさ、黄助の為のブースターアクセを作って貰わにゃならんからな。

ついでに俺も魔法が使えるように成らないかねぇ…


「……お散歩…いえーい…」

……そうだな、いえーいだな。

ずーっと、トコトコと足音を鳴らして付いてきているパークファ。


…別に忘れてたわけじゃ無いぞ?

意図的に気づかなかっただけだ。


そう…パークファは最初から居た。

それこそ俺より先に起きて、サウスにしがみ着いていたのを引っぺがして来たからな。


コイツは気配を幾ら消しても、歩いている限り気づかれないという選択肢は無い。

だって鳴るもの、足音が…トコトコ、トコトコって玩具かって言いたくなる。


「……コレは私の…秘奥義…誰も使えない……そして、直せない…」

何故かその場でくるりと回りヒーロー張りの決めポーズをとるパークファ。


あと、心を読むんじゃない。


いかん…気力を全て持っていかれる…

ガナよ返品は駄目かね?


「……よし、サウス行こうか」

俺はスルーを選択した。


「……元気出せ…」

そう言って俺の背中をポンと叩いてくる…


「おう、お前のせいだがな」

「……?…私は元気…」

コイツは俺から気力を吸収してるんじゃないだろうか?



そんなやり取りをしながらサウスに付いて散歩を続ける。


王都の商店街やガルレンズの店にも寄った。

屋台通りでは、いつか見た、何の肉だか分からない赤い蒲焼を売ってる屋台のおっさんから蒲焼を買って皆で分けて食べた。


意外と美味かったんだが…

あの色で辛くなく、甘めの味付けだったのが違和感があったな。


……そういや、竜の肉をご褒美としてやるのすっかり忘れてたな。

帰ったらマスターに言って出してもらうか…


サウスの気の向くまま散歩してると大通りで、花屋のおばさん(推定60代後半)をナンパするシャーニスを発見、スルーした。


「……熟れ過ぎた果実…既婚…ねっとーり…」

「お前は黙っとけ、気づかれるぞ?」

普段は爽やかなイケメンなのに…何故ああなった?


シャーニスはガックリと項垂れトボトボと『こっち』に来る…

来るなバカ、お前の慰め方なんぞ知らんぞ。


「ん?…ああ、イチナさん…もしかして見てました?恥ずかしいな…」

本気で凹んでるなコイツ…


「彼女、ヘリーナさんって言う名前なんです。美人でしょう?一目惚れでして…」

聞いてない、そんな事は一切聞いてないぞ。


俺はヘリーナさんを見る…うん、笑皺の多い優しそうな『おばあさん』だ。

俺が花を買う事があったらあの花屋で買おう。

そう思わせるほど柔らかな雰囲気を纏っている。


「一時は王家の権力を使って…とも思ったんですけど。彼女は夫を愛しています、ですからそれをすると彼女が悲しみますしね…直接口説くことにしたんですが、中々…」


王家の権力を使って何する気だったんだ、このバカは?


「当たり前だ、夫を持つ身でほいほいナンパに応じてられるか。それ以前に歳を考えろ、おばあさんだぞ?お前と幾つ違うと思ってるんだ?正直、孫か何かと思われるのが落ちだぞ?」

まあ、歳の事を言ったらルナは何歳なんだと言いたいが…100は超えてるだろうな。


「確かにイチナさんの言う通りかもしれません…ですが!僕の心は止める事は出来ないんです!!」


「そうか…せめて子供が産める年齢層に恋愛してくれ、王子様」


グフッ!?と痛いところを突かれ崩れ落ちる王子。


「……年齢は…関係なっしんぐ……愛…それが有ればいい…」

パー子ちゃんはお口を閉じていましょうね?

そんな事を言うと……


「そう、愛が有ればいい…良い言葉だ。君名前は?」

ほら、シャーニスが元気になっちゃった。


「……パークファ・パニョック…」

苗字初めて知ったな、しかしパニョックってのはどうなんだ?


「パニョック?どこかで聞いたような…」


ん?パニョックってのはコイツの耳に届くほど有名なのか?

そう思いパークファを見ると…


「……これが至福…今なら勝てる…」

何に勝つんだお前は。

遂に我慢できなくなったのか、パークファはサウスの背中と黄助の間に無理やり入り込みしがみ付く。


黄助は当然パークファの上に乗る形になるが、無理やり入られたにも関わらず。

呆れ顔でサウスを降りて俺の元に来る。

鞭でリュックを指しているから、そこに入れろと言ってるのだろう…


黄助は大人だなぁ…いや、中身お爺さんだったな。


リュックに黄助を入れ担ぐ。

…いつも思うがコレは締まらないな。


「イチナさん、もしかしてその子はサウスかい?」


「それ以外に何だって言うんだよ?以前はガードウルフ、今はマギウルフだ」

最初は大型犬くらいのウルフだったのが、恐ろしい速度で階位が上がったからなぁ…


「凄いな…この辺りじゃマギウルフなんて見ないからね、階位が上がったというより変異していると言った方が良いかもしれない。本来ガードウルフからマギウルフになる事は、まず無いからね」


「どういう事だ?階位が上がれば変わるものじゃないのか?」


「もちろん、そうですが。…コレは土地の問題なのかな?通常この辺に居るウルフをテイムして階位を上げてもガードウルフからパルプウルフまでは行きますが、その他のウルフになった事例が無いんです。まあ、これはまだ研究段階なので絶対とは言えませんが…サウスも何か加護を持っているのでは?」


サウスに加護か…考えたこと無かったな。

精々白のお蔭で階位が上がりやすいんだろう程度は思っていたが。


…今度、教会に行ってみるか?


「ああそうだ、イチナさん明日の勇者様達の帰国に合わせてパレードを出すんですけど…出ます?」


「アホウ…何故、俺が出なきゃならんのだ…断るに決まってるだろうが。大体何で帰国に合わせるんだ?まるで帰るのを喜んでいるみたいだぞ?」


「まあ、そうですよね…でも、彼らの使命はこの世界にとって大事な物です…ですから、せめて帰る時くらいは盛大にと思いましてね…それでパレードです。見に来てくださいね?」

理由としては立派だがねぇ?


それなら何故眉間にしわ寄せて、無理に笑顔作ってんだよお前は…


「…ああ、気が向いたらな」


「ええ、それで結構です。それではここで失礼します。パークファさんもお元気で」


「……うん…ガンバ…」

サウスにしがみ付いたまま答えるパークファ…おバカ、応援するな。


ありがとうございます。と決意新たに花屋に向かうシャーニス…いや、城に戻れよ。


あれだな、俺の周りにはずれた奴しかいないな…

え?類は友を呼ぶって?…いや、俺はあそこまでじゃないと思う。


「サウス、そろそろカルトイヤの店に向かおうと思うんだが…楽しめたか?」

「ガウッ!!」

うむ、いい返事だな。


「じゃあ、行こうかねぇ」

「……サウス…発進…ごー…」「みー!」

コイツは全く…白が真似してるじゃないか。


俺は苦笑を浮かべながらカルトイヤの店に向かうのだった。



「いらっしゃい…待ってたよ!」

ドアを開けると其処には、汗だくで上半身裸のカルトイヤが居た…

俺はそっとドアを閉める。


「……よし、帰るか」

カルトイヤの店に背を向けて歩き出そうとした時。


「今来た処だろ!?何で帰ろうとしてるのかな?」

上半身裸のまま、外に飛び出してくるカルトイヤ。


「お前がそんな恰好だからだ、危機感しか覚えない場所にいたくは無い」

その格好で出てくるな、道行くご婦人方が足を止めているだろう?


「……薔薇…いやん…」

パークファよ、もちろん花の名前だよな?

…他の意味で言ってるなら、ぶっ飛ばすぞ?


「ふふ、薔薇か…イチナくんは切り売りされる薔薇というよりも野生の薔薇だね…力強く、美しい…」


うわぁ……鳥肌が立った。

マジで殴りそうになった俺を許して欲しい。


「怖気がするから喋るなよ…そして、さっさと服を着ろ。…出来てるんだろうな?」


「もちろんだ、さっきまで仕上げをしていたからな。それで汗をかいて水浴びしようと思ったらイチナくんが来たのさ…狙ったわけじゃ無いから安心してくれ」

と店に入って行くカルトイヤ。


それに続いて俺達も店へ入る。

もちろんサウスもだ、パークファが離れないため仕方なくだが。


そうか、趣味じゃなかったのか…俺は変態が待ち構えていたと思ったぞ。

まあ、勘違いに付いて謝罪はしないがな。


「これが試作ブースター『アンドレイ』と『ジョニー』だ」

この世界の腕のいい職人ってのは、ネーミングがアレなのか?


アンドレイが灰色に青の幾何学模様が施されている。

ガントレットの下に付けても邪魔にならない細身の腕輪で中心に小さな黄色い宝石が埋め込まれている。

ジョニーは赤茶色の頑強そうな造りをしているベルトのバックルだ。

中央には凹みが有り、何かをはめ込み押し込む事で固定する爪が出る仕組みの様だ。


「まだ試作段階だけどそれなりに効果はあると思うよ?」


「『アンドレイ』の方が中に空気中に漂う魔力を集めておいてイチナくんが魔法を使う時にだけ発動するタイプで『ジョニー』の方は魔石を使って魔力を底上げしてモンスターに譲渡するタイプだ…手持ちの魔石が少なかったが、一応付け替え式にしておいた。問題ないだろう?」


2日で作ったにしては完成度高いな…


「魔石なら俺が持ってるから問題ない。で、コレはどの位使えるんだ?」


魔石を飲んだ時は1時間だったか?

それより長いって事は無いだろうが極端に短いのも考え物だ。


「そうだな…ジョニーの方はテストしてないから何とも言えないが、発動から30分は効果が有る、恐らくな…アンドレイは1日1回魔法が使える…はず。アンドレイの方はテストをしたんだが、どうも空気中の魔力の濃度がまちまちみたいでね…確実に使える術式魔法の回数は1回、イメージ魔法は2回ってとこか?あんまり消費の激しい物は下手したら使えないかも知れない」


半分か…まあ、まだ試作段階だしな。

使えないよりましだろう。


「試作品なんだろ?完成品が出来るまでのつなぎとしては十分だろうよ」


「残念ながら完成させるには1か月…いやもっとか?データを取って改良して完璧に仕上げないといけない、僕の矜持でもあるからね。特にジョニーは今まで作ったことの無いタイプだからきちんと仕上げたい処だ」


何だと?

「……1か月か?流石にそこまでこのシェルパに居るか分からんぞ?」


「まあ、イチナくんは冒険者だからな…その事も考えてデータ収集用の記録結晶を埋め込んであるから大丈夫。ただし、アンドレイは肌身離さず持っていてくれよ?そっちは改良だけで済むから、イチナくんしか使えないように覚えさせる必要が有るんだ」


「覚えさせるってのは、どういう事だ?」

まるでこの腕輪に意志が有るみたいじゃないか。


「大気の精霊と1人契約して中に住んでるんだよ、その宝石が住処になっててね。その子に魔力を集める手伝いをして貰ってるんだ。その代わりに集めた魔力をちょっと食べて良いって契約でね?慣れてくれば見えるように成るさ」


どうなんだろうな、それは…ソイツのせいで集まる魔力にむらがあるんじゃないのか?

まあ、何ともいえんがね。

俺はアンドレイを見て微妙な表情を浮かべる。


「……精霊…私…冷静…ふふふ…」


………フゥ。


「パークファ、伏せ」

そう言うとパークファはサウスに顔をうずめグリグリとこすり付け始める。


俺が言っといて何だか…コイツは大丈夫なのか?監視として。

すまんなサウス、ちっと辛抱してくれ…せめて会話が終わるまで。


「取り敢えずこのバックル「ジョニーだ」…ジョニーのテストはまだしてないんだな?」


「流石に、こればっかりはね。大体の契約モンスターは魔力を糧に契約するから、魔力量の多い人しか持ってないんだよ。その点黄助は特殊だ、契約に使う魔力ってのは給料みたいな物だ。本来多ければ多いほど嬉しいじゃないか、しかもウィップティガーなんてエリートだ。それがこんな姿になってまで君に付き従っているんだ…よほど好かれたか主従契約でもないと無理だろ?」


俺と黄助は主従契約なんだろうな。

すまんな、安い給料で竜と戦わせて…


「それと、契約モンスターは最初の契約時にあげた魔力の供給以上は取らないんだ。モンスターが何を求めるかにもよるけどね。だからボーナスって形で供給するんだが…無理だろ?それをするのがこのジョニーなんだよ」

ああ、無理だ。

だが、ドヤ顔で言われると腹が立つんだよ…整形するぞ、この野郎。


「じゃあ、裏手に試験場が有るからそこでテストしようか。コッチだ」

俺達はカルトイヤのあとに付いて試験場へと向かう。



裏手の試験場は10メートル四方の広さが有り、2メートルほどの壁で囲まれていた。

脇に失敗作か、ガラクタが積んでありあまり広いとは感じられない。


「さあ、ジョニーに魔石をねじ込んで!!…あ、これ魔石ね」

「口を開くな、耳が腐る」

魔石を受け取り、黄助をリュックごと降ろし出してやる。


「さて、上手くいくと良いな?…行くぞ黄助」

「がぅ」

バックルに魔石を押し込む。

手を放すとカシャッと音がして×の字に爪が魔石を抑え込んでいた。


…ポージングとかあった方がいいか?

こう、変身ヒーローみたいな…変身するのは俺じゃないが。


「何も起きんぞ?…ぐっ!」

バックルから突如として魔力が流れ込んできた…時間差とか止めろよな。

流れ込んできた魔力を片っ端から黄助が攫って行く。


カシャッと音がして魔石が外れる。

黒かった色は、白に変色していた。


黄助を見ると。

「ガルゥ…」

おお、若虎黄助だ…


「成功か…?」


「そうだな、後は持続時間を計ってみなければ。恐らく戦闘などでは通常の半分の持続時間だとみないと駄目だろうね、取り敢えず戻るまでそのままで頼むよ」


「ガルゥ」

そう言ってその場に伏せる黄助。


「次はイチナくんの魔法レッスンだ…手取り足取り教えてあげよう!」

俺は無視して一匁時貞を抜く。


「イメージ魔法って事は、要は想像力だろう?…日本人なめんなよ」

カルトイヤが「お~い、無視ですか?」とか言ってるが気にしない。


頭に描くは家の爺さん。

一番、インパクトが強くイメージしやすいんだよな…

「雷はこう切るんじゃ!」と実演してくれた時の事を思い描く…うん、無理。


アンドレイが発動の瞬間、魔力を送り込んできた。


「イメージ魔法『雷切』」

バチバチと刀が電気を帯びる…成功か?

二、三度振ると消えてしまった…まあ、居合には問題無さそうだな。


もう一度チャレンジしてみたがアンドレイから魔力が送られて来る事は無かった。

「いきなり上位属性付加って…上位は消費は激しいが、簡単なイメージなら、ぎりぎり2回は使える筈なのに…」


む?属性とかあるのか?

まあいいか、ルナに教えてもらえば。

そう思い、尋ねるのを止める。


「まあ、魔法は使えたんだ、後はのんびりやるさ」


「属性付加くらいは簡単だしな…それで切れる魔力って何をイメージしたんだい?イチナくん?イメージ魔法は創造魔法と似ているが所詮は本人のイメージを形にしただけの張りぼてなんだ。あんまり無理なイメージをするとそれに見合う魔力を消費するから下手をしたら術式魔法より魔力を喰うことも有るんだよ。」


そうか…爺さんのイメージは失敗だったという事か。


「ああ、うん…ちょっと無理なイメージだったのは認めよう。今度からは気を付けるさ」


俺は伏せている黄助を枕に寝転がる。

黄助の体が戻るまで時間が有るし、しばらくこうしてるのも悪くない。


白がテコテコ歩いて来て、俺の腹の上で丸くなる。

サウスも近くで伏せている…パークファはしがみ付いたままだがね?


カルトイヤは俺の横に寝ようとしたため蹴り飛ばした。

仕方なかったんだ、俺は悪くない。


しばし、白達に囲まれゆっくりとした時間を過ごす俺だった。




しばらくして、俺は気絶したカルトイヤを起こす。

黄助が戻った事を伝えるためだ。


「そうか…僕はどの位気絶してたのかな?」

まあ、そうだよな。

「大体20分くらいじゃねぇか?正確には分からんが」


「そうか、じゃあ黄助にジョニーの効果が出てから大体30分といった処か…」

戦闘になるとその半分、15分が目安か…

この前のスタンピードみたいな戦いだとキツイかもしれんな。


「そういや、コレ幾らだ?」

今なら金が有るぞ俺は。


「……正直まだ渡したくないね、でもなきゃ困るだろう?今の状態じゃお金は取れない。完成したら払ってくれ、じゃなきゃ僕の矜持に反する」


半端な物では金は取れんと?

まあ、2日で作った試作品、しかもジョニーはテストだけの予定だったからな。


「なら、アンドレイは?コッチは改良だけなんだろう?」


「そうだがな…なら丸銀貨50枚。後は改良後にもう50枚受け取ろう。払いは一括でな?」

まあ、いつ死ぬか分からん相手にローンなんぞ組んでやれんわな。


「あいよ……そうだ、お前首輪とか作れるか?白はともかく黄助はデカくなるし、サウスは階位が上がると、どうなるか分からん。デカくなっても体に合ったサイズになるような物ってのはないかね?」


そう、首輪だ。

サウスにしても黄助にしてもすぐサイズが変わるから困る。

黄助はカロックから奪った鞭をさいて蝶結びにしているだけであった…

そろそろまともな首輪が欲しい処だ。


「いやまあ、出来るが…高付くぞ?丸銀貨50枚はもらうが…いいか?」


「……払えないなら…体で…払う?……」

怖気が走るわ!?


「…黙っとけパー子。「……パー子…ポッ…」何でだよ…ハァ、ほらよ……あとこれ黄助の首輪に付けてくれ」

そう言って次元袋から四角金貨1枚と『五円玉』を取り出しカルトイヤに渡す。


「ちっ!…コレは…見事な彫だな…誰の作だ?そういえば白とサウスも付けてるな。分かったコレを首輪に使おう。サウスと白の物も使いたいんだが…」

そう言われ、一円玉と十円玉も渡す。


メイド・イン・ジャパンだよ。

ていうか今舌打ちしたな?


「ほいじゃ、頼んだぞ?」

「ああ、残念だが代金を先払いされたんだしっかり仕事してみせるさ!」


何が残念なのか聞きたくない。

さっさと帰ろう、そうしよう。


新たに仕事を頼み俺はカルトイヤの店を出て宿に戻るのだった。


最近パー子との絡みが多いな…


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