手を出すと泣きを見る
ヌルりと、投稿。
byミスター
ファルナークside
黄助、クロハがチビ共を連れてやって来た。
カートスはどうした?
ざっとカートスを探すと目が合った。
来なくていい。そう首を振られたんじゃが……相手はあのサルトビじゃぞ?
む?…ふむ、チビ助とアンナが向かったか。
不安じゃが任せるとしようか。
「バルク。年貢の納め時じゃ」
我はバルクに大剣を突きつけながら、そう言った。
周りを囲むのは最大警戒のアニマルズ。
教皇はソルファが抑えておる。
ソルファに抑えを頼んで、教皇を任せた後ゴシャリと言う音が聞こえたが気にすまい。
ソルファが教皇のマントで石突きを拭っておるのも気のせいじゃ。
「え?年貢なんて収めたこと無いけど?」
心底馬鹿にした物言いにイラッとした我は、大剣をバルクの首へと奔らせる。
相手はバルクじゃし、我慢する必要もなかろう。
「止めた方が良いと思うけどなー……僕を殺すと避難民まで死ぬよ?」
我は奔らせた剣を首の皮一枚の処で止めた。
脅し。とは分かっていてもゲスの極みを体現したような男じゃ、実のある言葉じゃったら洒落にならん。
「良い判断だよファルナーク・サリス。ついでに周りの動物達も下げてくれる?特にそこのウルフに乗った少女を!一番空気を読まなそうだしね!」
違うの、パー子は空気を読まないのではない。
本人なりに空気を読んでこうなんじゃ。
「猿飛君はあっちに行っちゃたし、ミアガットもまだ気絶中だし、魔法は使えない。流石に僕だけでこの状況をどうこう出来るとは思わないよ。僕が出来るのは盛大に死ぬことだけさ」
そう言って装備ごと服を破り、自分の胸を見せるバルク……この状況でなにしとんじゃ!?
見たくもないものを無理やり見せられ……む?
胸の中心には見たことの無い『魔法紋』そして、それは『白く』淡く輝いていた。
「僕の心臓には『雷神石』の親石。いわば指令塔を癒着させて有るんだー。猿飛君がいなかったら考えもしなかったけどね!普通死ぬからね!雷神石は雷の神が暇つぶしに、石ころに神気を宿した雷の塊。それを避難区や、『他の』王都の各地もに配置してあるんだー。僕が死んだら速発動!僕の命令でも速発動!あ、勿論ここも吹き飛ぶから!さあ、やってくれたまえ、盛大な自爆……胸熱だよね!」
(女王陛下を人形にしたら、他の王都にも手を出そうと思って配置したけど役に立って良かったね!仮にも王族のファルナークには民を犠牲にしてまでは斬れないでしょ。……イチナくんやカートスなら分からないけどさ)
こ、こ奴は…!
これでは手が出せんではないか!
「…ファルナークさん。あの魔法紋が命令を伝えるんですよね?この部屋でも使えるんですか?」
「念話タイプの魔法はすべてカットされるが、アレは見たことが無い紋じゃ。それにサルトビが絡んでおるのなら尚更に迂闊には動けん…」
サルトビはこの謁見の間でも転移を使った奴じゃ、ただの魔法紋とは考えにくい。
「おや?殺さないのかい?なら僕は退散させてもらおうかな!あ、追って来たらシェルパの王宮に大きな雷が落ちるかもね!」
そう言って、退散しようとするバルク。
「…なんじゃ、シェルパは王宮に仕掛けたんか?シェルパの王宮は王城と違い古き時代の物を使っておる。雷神石程度ではどうにもならんぞ?」
「……え?マジで?」
まあ、嘘じゃが。
王宮自体は初代シェルパ王が建てたものじゃから古き時代と言っても良いが、神の力を防げるほどの障壁は持ち合わせておらんからな。
他の王都も気になるが、パレサートには予知巫女がおる。
大方もう撤去されとろう。
イチナが関わった時点で見えとらんかもしれんが…。
さて、殺す訳にもいかんが、逃がす訳にもいかん。
……こう言うやつの対処を一番得意とするお方がおるではないか。
「…バルク。おぬしは殺さん事にした」
「ファルナークさん!?」
ソルファの驚く声が耳に入る。
「へぇ、じゃあ逃げさせてもらうね!」
「じゃが、逃がしもせん」
では、治癒の使徒様への供物としようかの。
コヤツをホームに連れていくことに抵抗があるが、殺す訳にもいかんし。
かといって、放置したらまたろくでもない事をしでかすじゃろう。
使徒様の元で改心してもらおうかの。
丸投げともいうが。
「は?」と今一意味が分かっていない可哀想なバルクに向かって思い切り踏み込み、多分死なんじゃろ。程度の力で鳩尾を拳で穿つ。
「がふぅッ!」
ベキボキと何本かアバラが折れる感触がしたが、使徒様の処までもてば問題なかろう。
崩れ落ちたバルクを仰向けにし、胸の魔法紋だけを切り刻む。
「……うむ、これで他の石に命令は送れまい」
…ホームに戻ったら、重しを付けて海に沈めるのもありじゃの。
そんな事を考え、バルクの顔を踏みつけながら、戦況を見る。
ッ!?カートス!?
すぐさまサウス達に指示を出す。
「サウス、クロハ!おぬし等はカートスと勇者達を!」
その言葉を聞いてサウスはパー子を振り落とし神速で駆け出し、クロハも後に続く。
「イチナは……ッ!イチナ!!」
「イチナさん!!」
イチナの背後に不思議な槍が迫っておった。
我等の声が届かぬまま、その槍はイチナの頭上を過ぎ去り壁面を消し飛ばして消えて行った。
「「…ふぅー」」
ソルファと共に安堵の溜息を付く。
響くおじい様の怒声。
そして振り返るイチナ。
怒りに染まった鬼が2匹おった。
「……どうしろと?」
「……はは、どうしましょう?」
ソルファと共に引き攣った顔を見合わせる。
正直言おう。
この場におるのも辛い。
これで殺気の余波だというのなら、この殺気、向けられただけで死ぬんじゃないかの?
「み!」
そんな時、白が突然駆けだした。
何度もこちらを振り返り、出口の方へと駆けていく。
「ぴ!」
「…!」
それに続くテンとチビスラ。
ぬうぅ、イチナ達をおいて逃げろというのか…?
「…う、あ」
殺気で弱り切ったフリーナが目に入る。
「…全く、なんでフリーナは女王陛下なんじゃ」
そうで無くとも見捨てはせぬが、一番優先せねばならん役職に付きおって…。
まあ、我が引き上げたんじゃが…。
「……撤退じゃ」
「…はい」
「……やー」
残った黄助は真っ先にバルクの襟首を噛み、引きずって出て行こうとしていた。
サウスから振り落とされたパー子は、黄助の上から吹き矢でバルクをつついていた。
いつの間に移動したんじゃ…?
我は震えるフリーナを背負い、走る。
教皇は……触りたくないし、男として死んでおる。
放置でいいの。
Sideout
カートスside
僕様は無言で黒装束……サルトビに背後から切り掛かる。
「うわっ!?…能力値を上げて無かったら反応出来なかったでござるな。邪魔をするなでござるよカートス・マリゲーラ!!」
彼の手には何処から出したのか分からない槍が1本。
その槍から感じるのは違和感。
神が造った神具のような神々しさは無く、かといって魔王の創ったディスシリーズのような禍々しさも無い。
でも、分かる。
アレはイチナくんと同じでこの世界の物じゃない。
「それも君の力で造ったの?」
「そうでござるよ!これは拙者の世界でかつて『神』を刺した兵士が使っていた槍の再現でござる。その兵士の名は『ロンギヌス』…と言っても分からないでござろうが」
…ただの、槍なのか?
サルトビの表情は焦燥に染まっている。
そんな状態でただの槍をイチナくん達に向ける訳がないか。
「この槍はその神を刺したという部分だけを抜き出して分かりやすく『力』に変えたものでござるが。…こっちも余裕がないでござる相手をしている暇はないんでござるよ!!」
そう言って手に持つ槍を投げる体勢に入るサルトビ。
僕様は一歩踏み出し、ツヴァイ・クラッシュで下からかち上げるようにサルトビの構えた槍を叩いた。
弾かれ、転がる槍。
「…ッ!カートス、邪魔をするなでござる…。お前を相手にする一瞬すら惜しいのでござるよ拙者は」
「知らないよそんな事。君が友達の命を狙うなら、僕様はそれを止めるだけ。勝てる勝てないは関係ないんだ。…付き合ってもらうよ?」
狙った槍の先には自分で出した『最強の手札』もあった。
その手札を捨ててまでイチナくんを殺したいのか…?
そこまでの関わりは無かったはずだけど…。
「カートス……ウザイでござる」
サルトビはそう言うとその場から『掻き消えた』
「暗殺者って大体背後に出て来るんだよね」
僕様はその場でしゃがみならが回り、剣で足を払うように動く。
「ッ~!斬撃無効再現!」
あ、ほんとにいた。
そこには僕様の首の有った場所に短剣を振るうサルトビの姿が。
僕様の剣がサルトビの脛を打つ前に魔力でコーティングし、打撃武器へと変える。
「チッ!」
舌打ちしてその場から『飛び退く』サルトビ。
駄目だよ、それじゃ僕様への対処としては甘い!
「『サード・バインド』」
剣の魔力を伸ばして、空中のサルトビを捕らえ、引き寄せる。
黄助の捕縛から逃げた彼に通用するとは思っていない。
ただ、後ろへと跳ぶ力を多少でも前へと向けられればそれでいい。
流石に空中では身動きが取れないでしょ?
「『フォース・スナイプ』」
サルトビを引き寄せると同時に体をねじり、的を狙って引き絞る。
剣の魔力は形を変え、突撃槍となった。
「チャージ!」
狙うは喉……刺し穿つ!
僕様の技は彼の首を確実に捕らえ、貫いた。
はずなんだけどね……感触がない。
ファルナークに使った分身か!
ッ!?……やられた。
背後から刺される感触。
魔力を集めて短剣の侵入をそれ以上防ごうにも、聖剣相手じゃ散らされる。
それに、体が重い……毒かな?あの短剣は『聖剣』だ。毒を塗っても効果は薄い。
僕様自身毒への抵抗はランクSモンスターで鍛えられてるから、生半可なものはこの程度で済む。
…けど、マズイな。
足に力が、入らないよ。
「カートスさん!!」
コウキ君の声、そして短剣が引き抜かれる感触。
僕様はその場に膝を着いた。
「チッ!」
コウキくんの声に振り返ると、大剣タイプの聖剣を振り下ろすコウキくんと…。
舌打ちして僕様から短剣を引き抜き、それを躱すサルトビの姿があった。
そしてその手にはあの槍。
「どっすぇぇい!!」
躱した先にはアンナちゃん。
女性とは思えぬ気合の入れかた。
それは魔力を纏った槍。
ただし、槍の先端は輪郭のぼやけた『兄貴』になっていた…。
…アンナちゃん、なんでそこまで拘ってるの?ちょっと僕様心配になってきたよ?
「おおぅ!?絶対に当りたくないでござぁ!」
言葉とは裏腹に、余裕で躱すサルトビ。
そのまま少しだけ僕様達から距離を取った。
「いや、流石ランクS。引き出しが多いでござるな。槍を取った時点で投げればよかったんでござるが、邪魔でござるからなおぬしは。…さて」
もう僕様の事は眼中に無い。
邪魔なのに止めは刺さないのか?
…手負いにさせれば、どうとでもなる。そんな感じなんだろうね…。
もしくは、それほどに余裕がないかのかな?
「私達は無視か!?今、出来る限りの造形を凝らした魔力槍だったのに、さらっと避けちゃうし!」
「落ち着いてくださいよ…。それよりもカートスさんが…!」
アンナちゃん、アレは僕様でも避けるよ。
そしてコウキくん、心配してくれるのは嬉しいけど、敵から目を放さないで。
その場で投擲の構えを取るサルトビ。
駄目だよ?この程度の傷を負わせたからって油断しちゃ…。
例え短剣に毒が盛ってあろうと、致命傷であろうと僕様が『どうにかする』と決めたんだから。
「いけ!『ロンギヌス』!」
そう言ってサルトビは、槍を投げる。
「……『ファイズ・グランド』」
投げ切る前に僕様はそう呟き、剣を床に刺した。
槍の進路を妨げるように出現する魔力の壁。
しかし、投げられた槍を防いだのは一瞬だった。
今の僕様にはこれが限界……でもね?
「アンナちゃん!コウキくん!」
僕様には頼りないけど仲間がいるんだ!
「ガウッ!!」
え?サウス?
四本の魔力刀を器用にクロスし槍の進行を妨げるサウス。
「素敵、サウス!惚れちゃいそう!」
「ぼ、僕だって!」
アンナちゃんは槍の柄を振り下ろしで叩き、コウキくんは穂先に近い場所を振り上げで斬りつける。
どうでもいいけど、アンナちゃんとコウキくんでサウスを取り合ってるみたいな台詞だね。
それでも槍。『ロンギヌス』は止まらない。
でも、少し、ほんの少しだけ軌道は変えられたみたいだ。
サウスの魔力刀を貫いた槍は、イチナくんの頭上を越え、壁面を消し飛ばす。
…よっし!
「…っ!貴様等!!」
「ははっ!残念だったね?」
怒るサルトビが短剣を僕様目掛け振り上げる。
これは流石に殺されるかな…?
「ヒヒーン!」
「なっ!今度は馬でござるか!」
膝を着く僕様の体を飛び越え、サルトビに踏みつけを慣行するクロハ。
避けられるも、床は砕け、その威力は凄まじい。
そのまま、僕様を守るように皆が集まってくる。
…ありがとう。
そして、ごめんね。イチナくん。
君がお爺さんを倒すまで持たなかったよ。
Sideout
一南side
「しゃらぁっ!!」
溜めに溜めた氣を使って『空転び』で爺さんの間合いに入り抜刀。
狙うは足。
爺さんの動きを止める!
「甘いわ!!散れ、馬鹿孫!!」
逆袈裟で軽く防がれ、そのまま押し切る形で反撃をする爺さん。
「テメェが散れや!!」
その場から体の芯を引き抜くように回転し、爺さんの剣を躱しながら。
勢いをそのまま剣に乗せ、今度は胴体と首を狙って連撃をかます。
「ぬぅん!!」
「ちっ!」
氣を纏った拳で刻波を迎撃しやがった!!
刻波が弾かれそうになるのを我慢し、爺さんが降り抜いた剣を戻す前に距離を取る。
《ぐぅっ!?バカな…、剣の中は簡易の神域と化しているというのに衝撃がここまでくるとは……波平、無事か!》
《ぐぅぅ、なんとか…》
マジか爺さん…、剣の中のガトゥーネ達にダメージがいってんじゃねぇか。
くそっ!『理不尽の塊』の異名は本体じゃなくても顕在か!※あなたも大概です。
「…全く、こんなか弱い老人の首を狩ろうとしおって。外せば舌打ちとはなっとらんのう?」
「なぁにがか弱い、だ。理不尽の権化がぬかすな。出鱈目な濃度の氣を纏わせやがって…。出所は何処だよ人形ジジイ」
何処から氣を持ってきてるかなんて分かっちゃいるがな。
「全く、誰に似たんじゃ。口が悪いの…。氣は、ほれ、そこに氣のタンクがおるじゃろ?丁度力を供給してくれておるようでの。ついでに貰っておるのよ。ちょっと貰っただけじゃ。なあに、たかが氣じゃ。貰ったのはお前の天鎚10発分くらいか?問題無かろうよ」
クカカカカ!と笑う爺さん。
そうか、やっぱりか可哀想に……こんな理不尽の塊を手駒にしようとしたからだな。
しかし、俺の天鎚10発分か…。
最近は天鎚の威力も消費も上がってきているから、爺さんの知っている天鎚だが。
…その程度なら死なねぇか、残念ながら。
本物の爺さんとの一回の鍛錬で20発以上撃った事もあるし、流石にふらついたが。
チート云々言ってたから余計に平気だろ。
「俺の人格は、ほぼ爺さんの影響だよ。生まれてからすぐにこの道に引きずり込んだのは誰だと思ってやがる…」
骨を強くするためだとかいって何度全身の骨を折られたか…。
殺気に慣れる為と1歳から爺さんの殺気に晒されてきたんだぞ?
…最後まで慣れる事は無かったが、本物の爺さんの殺気の中で動ける程度には至れた。
10歳の時には「滝行じゃ!」と態々海外まで行って、デカい滝の『上』から放り投げられた。
あれは、絶対に滝行じゃねぇ。
まあ、あの頃はまだばあさんが生きてたからその程度で済んでたんだが。
そういえばこの頃からだな、爺さんに真剣を向けるのを一切躊躇しなくなったのは。
「……よし、死ね。ジジイ」
ちょっと思い出したらイラッとした。
(波平、刻波を神気で包め。神気の制御はしなくていい)
《神気を飛ばすのではなくて?(アレだと見える分避けられる)……御意に》
神気を制御してない余波を飛ばす。
神気との斬撃とは違って見えないから意表を突くにも良い手なんだが、いかんせん周りの被害が酷い。
室内で使うもんじゃねぇんだが、相手がコレだし。
「おお、怖い……ワシを斬った処で本体には届かんが、孫の癇癪に付き合ってやるか、の!」
そう言いながら先に踏み込んでくんな!!
「ああ、クソが!付き合う気ねぇだろ!?」
突っ込んでくる爺さんに向かって、俺は神気を纏った刻波を横一閃に振り抜いた。
波兵が神気を制御できていなかった頃の見えない余波が爺さんを襲う。
「ぬ!?…シィッ!」
爺さん、抜刀一閃。否、まるで固いものを砕く様に何度も空間を斬りつけ……余波が散った。
…うん、それぐらいやると思ってた。
変わりに爺さんの居合刀がボロボロになって使い物にならなくなったがな。
だが、その刀じゃ余波付きの『限無』は受け切れんだろ?
謁見の間の被害?気にすんな、俺は気にしない。
だってほら、俺、賞金首だし?
『神余限無』神気の余波で限無。縮めてカミナシ。
…うん、普通に限無でいいか?
まあいい、取り敢えず…
爺さんがもう一本の刀に手を付ける前に勝負をつける!
「…ミンチになれ爺さん!…っ!?」
「なめるな、馬鹿孫!…むっ!?」
限無を放とうとした俺の頭上を何かが掠めて行った。
もう少し軌道がずれいていたら俺と爺さんをまとめて貫いていたであろうそれは、俺の正面の壁を消し飛ばし、空へと消えていく。
一体誰だよ、邪魔してくれたのは…。
これで終わりのはずだったんだがねぇ…!
右手に刀、左手に尋常じゃない氣を纏わせ、俺に向かって迎撃の姿勢を取りながら俺ではなく『後ろ』に殺気を送る爺さん。
「ワシの勝負の邪魔をするとは、どういうつもりじゃぁ……小童ぁあ!!!」
爺さんの怒声が謁見の間に響く。
「アホウが…。爺さんを怒らせると面倒くせぇんだから…」
爺さんに注意を払いながら振り返るとカートスが血を流して膝を着いていた。
「……ダチに手ぇ出しやがって、殺すぞ猿が!!!」
殺意、殺気、怒気。
俺と爺さん。その最上級のものが猿に向かって叩き込まれた。
Sideout




