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猫守紀行  作者: ミスター
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『神』

今回のお話は…

「み、み~…み!」

以上白からのあらすじでした。


では、本編をどうぞ。

「ふん!これが白たんへの愛の差よ!」

私の足元には悔しそうな顔でこっちを見るマーニャが居た。


「白たん!私が勝ったわよ!さあ!フワフワの小さな体を見せて頂戴!」

私はバッ!と両手を広げいつ飛び込んできても大丈夫な体勢で待ち構える。


「あの、アリー?白はイチナと教会に向かいましたよ?本当に気づいてなかったんですか?」


「そんな!白たんが誘拐された!?くっ!やはり最大の壁はイチナのようね……」


「何言ってるんですか…この残念さんは」

「追うわよ!ソルファ!」

「もう本当に、白が関わると途端に残念度が増すんですから……待ちなさい!護衛を置いて行ってどうするんですか!」



ん?白どうした?

白は袋の穴から顔をだし頻りに何かを警戒して、み~み~!と鳴いている。

人に聞きながらようやく到着した『教会』。

特に白が警戒するようなものは無いんだがね?


しかしまあ、ずいぶんと立派な『教会』だ事。

教会というより神殿の方がしっくりくる。

入口の横に大きな柱が2本立っており。

まるでココだけローマの神殿の様で異質だ。


「おや?ようこそ我が教会へ。お祈りですかな?」

出てきたのは優しそうな笑みを浮かべた老神父だった。


「いや、加護を調べに来たんだ。俺の居たところでは教会なんてなかったから。」

「ふむ、調べにですか?何か信仰している神はおられますかな?」


「いや、ないんだが…神の『存在』だけは誰よりも信じてるよ」

何せ1000年間その『神』と戦うためだけに技を磨き続ける流派の出だからな。


「そうですか、ならば『神託の間』で直接加護をいただいた方が良いかもしれませんね」

神託の間…確かバ・ゴブも言ってたな。

老神父はこちらへどうぞと俺を案内してくれた。


「ここが『神託の間』になります」

去ろうとする老神父を呼び止めて白を袋からだし。

一緒で良いのか聞いてみた。


「白?おや、見たことの無い動物ですが…コレは愛らしいですな。ふふっ。大丈夫ですよ神は寛大です。それにこれ程の魔力を持っているのですから。もう既に加護を持っているようですし。加護を付けて頂いた神と会わせてあげると良いでしょう」


老神父に撫でられて気持ちよさそうにみ~、と鳴く白。

老神父は最後に一撫でして去っていった。


「いい人だな、白?」

「み!」

俺の言葉、分かってんのか?コイツは。


白を片手に抱きながら『神託の間』の扉を開ける。

ゴウン、と重厚な音の割に軽い扉をくぐり中へと入る。


「これは……何も無いな」

床は大理石のような物で出来ており、傷1つ無くピカピカに磨かれていた。

壁は一面、白1色。

椅子も無ければ、机もない。

天井にはデカい新円の水晶板がはめ込まれていた。


白を床に下ろして考える。

「この部屋でどうしろと?」


あの老神父に聞いておけばよかったと今更ながら思った。

取りあえず床に腰を下ろしてじゃれ付く白の相手をしていると。


突然、部屋の中心に途轍のも無い力の塊が出現した。

「ま、待たせたな…異界の客人よ私が『戦の神』ガトゥーネだ…」


膝まであるストレートの漆黒の髪に青空を思わせる蒼穹の瞳。

細い眉に切れ長の目、整った顔立ちはまさに女神と言っていい。

それに、ちゃんと食べているのか心配になるほど細い腰と腰布から覗く長い脚。

胸は鎧を付けていて分からないのが残念だ。

しかし『戦の神』らしくまさに力の塊だ。


とまぁ、本来なら凛々しく見えるのだろうが……

今は剣を杖にして肩で息をしてまるでココの来る前に何かと戦っていたようである。


「おい、大丈夫か?えらく消耗してるみたいだが…」

流石に心配になって声を掛けた。


神を相手に何してるのかと思いもしたが。

ここまでボロボロになってると一体どんな相手だったのか気になってくる。


「ああ、すまないなもう平気だ」

何というかずいぶんフランクな神様だ事。

神ってのはもっとこう傲慢なものかと思っていたが。

まさか謝られるとは思わなかった。


「俺は甘坂一南、こっちは白。なんでまたそんなに消耗してたんだ?」

「イチナ、一南か。うん、いい名だ。」

フフッと笑うガトゥーネ。

いい女だな、思わず見惚れてしまった。

しかし、白には目もくれないとは…


「ああ、こうなった理由だったな?誰がお前たちに会いに来るかでもめてな、その子を見たい派と一南に会いたい派で喧嘩になってな?2人くらいならまだしも、まさか全員で会いに来るわけにもいかんし。結局戦いで決める事になったんだ。最終的に一南に会いたい派が勝ったという訳だ」


…あれ?俺に会いたい派の他の人は?

ガトゥーネしか来てないんだけど?


「会いたい派の他の神様はいないのか?」

「何を言っている?会いたい派は私だけだ。」

衝撃の事実。

会いたい派はガトゥーネのみ。

ということは事はだ、白を見たい神様が何人いるか知らないが軒並み叩き潰してここに来た訳だ…すげぇな、おい。


「む、そうだったこれを渡すように言われていた」

そう言って渡してきたのは白の『加護』リストだった…なげぇ。

取りあえず抜粋してみよう。

《『食の加護』食べた物を力に変える!今度会った撫でさせて!》……次!

《『狩猟と隷属の加護』勘が鋭くなるの、パシリも作れるの。》パシリって…次。

《『時の加護』あなたはその愛らしい姿のままでいてください。》これは呪いじゃないのか?

《『風神の加護』風は何時でもあなたの味方です、たまには教会に来てくださいね?》ああ、ギルドで白が平気だったのはこれのお蔭か。


一通り目を通して思ったことは、皆さん白を愛でたくてしょうがないという事。

何だよ100個以上の加護って…生きていくうえで使わない物が90以上入ってるんだが?



俺が目頭をもんでいると、ガトゥーネ真剣な顔で話しかけてきた。

「そろそろ良いか?イチナがこのガファーリアに来た理由について教えておこうと思う」


何?理由だと?

俺もガトゥーネを正面から見据え話を聞く姿勢を作る。

ガトゥーネは、うむと頷き話し出した。


「あれは遠見の神が気まぐれでお前たちの世界を覗いたことから始まった。遠見の神はいろいろな場所を覗き偶然あの子猫に出会ったのだ。その時の感動と衝撃は己の力を使い他の神々に中継するほどだ。契約と執行の神にいたっては一時仕事を中断するほど見入っていた…」


何という迷惑な話だろうか、しかし覗き魔が切っ掛けとは…


「そして皆が虜になった頃、次元の神が「あの子こっちに拉致っちゃおうぜ!」と口走ったのだ」

次元の神えらく軽いな、おい。


「だが中々タイミングが無くてな。そんな時あの事故があったのだ。そしてまんまと拉致に成功した次元の神が「メンゴ、メンゴ!何か余計なのまで拉致っちゃった!テヘペロ!」などと言っていた……そしてその余計な物が一南!お前だ!」


ドーン!!と効果音付きで指差してくるガトゥーネ。

白の事しか話題に無いから予想はしていた。


取りあえず、その次元の神とやらは1発殴る。

そう心に決めた。

「流石に次元の神も流石に悪いと思ったのか。あの二振りの剣を持ってきたらしいが…何故持ってないんだ?」


ガトゥーネに事情を話す。


「むう、何とかしてやりたいが我々が人の世界に介入できるのは教会と祭壇のみと決められている。代わりに、私の加護をやろう!うん、それが良いな」

うんうん、と一人で納得しているガトゥーネ。


「さ、さあ、一南。くちづけを…」

そう言って手の甲を差し伸べてくるガトゥーネ。

妙に顔が赤いガトゥーネに苦笑しながら。


俺は騎士のように跪き『神』の手に唇を落とした。


神薙流の俺が神に加護を貰うなんて想像もしてなかったな。

「あ、あーもうこんなじかんだ。かえらなくては」


見事な棒読みで私は帰ると言うガトゥーネに一言。


「ガトゥーネ。刀を取り戻したら戦ってくれるか?」

そう問うと一気に武人の顔になった。


「もちろんだ。その時はココではなく闘技都市の祭壇で呼んでくれ。ここでは狭すぎる。昔、一南のように挑んで来る者のために作らせた祭壇だ。今では年に1回の祭りにしか使われなくなったが」


その答えを聞いて自然と笑みが浮かぶ。

ココに来たのは無駄じゃない。

それを見てガトゥーネが「私に求婚目的じゃなく挑んで来るのは初めてだよ」と言った。


…なるほどそれも有りなのか。


「俺は神と戦う事自体が目的だからな。勝ち負けは考えてなかったよ。しかし、勝ったときに何かあると確かに戦り甲斐が出るな。…そうだな。俺が勝ったら嫁さんになって貰おうかな?俺が負けた時の条件はそっちに任せるよ」

まあ、神と戦うのだから負け=死と考えても良いだろう。


ガトゥーネは顔を赤くし口をパクパクさせながら消えていった。

今頃余計な事を言ったと後悔してるかもしれないな。


俺はくっくっ、と笑いながら、部屋の隅で寝ていた白を抱きあげる。

「…み~?」と起きた白を連れ『神託の間』を後にする。


教会の外に出るとアリーナンに引きずられたソルファの姿が見えた。

「見つけた!やっと会えたわね!白た~ん!」

フシャーー!と白は鞭白になり鞭モドキをブンブン動かしアリーナンを威嚇する。


黄助に習っていたにしては温い鞭捌きだ…

やはり肩から尻尾のほうがしっくりくる動かし方である。

そして抱いている俺にペチペチ当っている。


しかし相手はあのアリーナン。

ただ、喜ぶだけである。


「やだ!?その姿も可愛い!白たんになら、ぶたれてもいいわ!!」

バッチコーイ!と両手を広げるアリーナン。


流石アリーナン。

毎度毎度、残念度が増している。


お客かと思ってあの老神父がで出来たが顔を引き攣らせながら引き返していった…何かすいません。


白を『白用皮袋』に避難させ、ソルファが鎮圧するのを待つ。

「ちょっと!イチナ!何でしrのぺっ!」

ゴインッ!と結構な音を立てソルファがの拳がアリーナンの脳天に直撃。

痛みにうずくまるアリーナンを放置してソルファに問いかける。


「そう言えば今日の宿はどうするんだ?ああ、その前に報酬を払わなきゃいかんのだったな…」

ソルファは不思議そうな顔をしているが…


おい、まさか忘れてんのか?ギルドに行く前に一回、そうですねって言ってたよね?

仕方なくゴブ族の村の事を話して思い出させてやる。


「あっ!えぇ!もちろん覚えてましたよ!丸銅貨80枚ですよね?」

俺に聞くなよ、あったばかりの頃はしっかりしてるように見えたんだが。

意外と抜けてるんだよなソルファは。


「ほら、丸銅貨80枚な?」

ジャラジャラと取り出した丸銅貨80枚を受け取り、そのまま仕舞うソルファ。

せめて確認くらいしろよ…


「これからどうするんですか?」

「これから?まずは登城して王様に刀返せと言ってみる。何よりまずは刀が先。取り返したら…『闘技都市』ってのに行ってみるつもりだ。まあ、まだ先の話になりそうだが」


「そうですか、闘技都市へ…確か闘技都市はCランク以上じゃないとはいれなかったはずですよ?」

そう言いながらようやくお釣りを返してくれた。

Cランク以上か、まあ何とかなるだろ。


「報酬は渡したし、後は宿だな。どこかいいとこ知らないか?」

「なら!私たちと同じ宿にしなさい!白たんは預かってあげるから!」

復活したアリーナンが割り込んできた。


「安けりゃ助かるが、アリーナン。その『白たん』てのは何なんだ?前は白ちゃんだったろ?」


アリーナンは真剣な表情でこう言った。


「私思ったの。白ちゃんより似合う愛称があるんじゃないか?って…。そしてギルドでマーニャが白たんを狙った時に魂から出たのがこの『白たん』なのよ!」


信じられない位に、どうでもいい話を真剣な表情で語り終え。

フフン!と髪を掻き上げるアリーナン。

残念度は一度下がったら戻らないみたいだ。


一気に脱力した俺とソルファはアリーナンを伴い一度馬車に戻る。

黄助とサウスに馬車を頼み。

ハーネとリンマードを加え宿に向かうのだった。

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