【3】 探偵様、そちらはどなたで?
馬央位探偵に振り回されながらも、ようやく買い物を終えた私。
そこで、意外な知り合いが。
なんだかサッパリしないってカンジの、そこのオマエでもビビッとくる(ハズ)の第三コマ目!!
やっと、終わりましたよ。あー重たい。馬央位様と買い物なんてもう二度とするもんですか。あの後にはじつは続きがございましてね……。今思い返してみても、ほんとダルい。
エコバックを彼から一コ受け取ったところまではよかったんです。というか、そこまでは問題なかったんです。全然。
なのに……。
「馬央位たんてーい。そういや、今日ご新規さまg……」
振り返った瞬間、私の目に入ったのは、ちりめん屋の店頭で親しげに話す我がボスの姿だった。
「お兄サン、ボクだよボク! 本っ当――に覚えてないのォ?」
「いっやー客なんてみんな顔同じもんでさぁ……すまねェ。なんつったかな?」
「馬央位だよ、ま・お・い!ホラ、魚釣り事件を担当した」
うおつりじけん? なんじゃそりゃ。海で誰かが溺れたとか?
脳ミソをフル回転して思考していると、いつの間にか馬央位様がサングラスを外していた。
(うわあ、イケメ……いや、なんでもないです)
なんとなく気まずくなって彼から目を離した時、瞬間目に入ったのは遠目から見ても分かるほど、青ざめた顔の男だった。そして、どこか逃げるような仕草で馬央位様に退散を指示している。
「は、早くどっかいけよ!」「なんでさ」「いいから帰れッ」
声も心なしか裏返っているようだ。話し方も変わっている。私はお坊ちゃんに近づいて、この男は誰なのか尋ねてみた。すると所長はこう答えた。
「ボクの盟友だよ。昔、難解な事件に巻き込まれた時に、手を貸してあげたんだ。才能あるのにさ、なんでこんな古クサイお店で働いてんのかなぁ~って思っただけなんだけど……」
まおい様の……友達?友達なんかいたんですか。しかも盟友って……。いやいや、ココは笑うところじゃないぞー自分! でも、スマン。なんかウケるわ。
それにしても、この目の前のヒトが?めっちゃ嫌そうなカオしてますけど……。
「お……お前とこんなところで会うとはな……。まあいい。用事がないなら、さっさと帰るがいい! オレはこれから忙しくなる時間帯なんだよ!!」
「へぇ~……お客さんなんて、くるの?」
「来るわァ!! あんまし人のことなめてっと、ひどい目にあうぞ!」
「ふーん」
「あっおま……信じてねえな!? そんなら……ほら、噂をすればお客じゃねえか。お嬢さん?」
「え、私?」
嫌な予感がした。
「いらっしゃいませ。なにをお求めですか? この柄なんかお嬢さんにぴったりですよ。梅がらなんてまあステキ。とってもお似合いです」
「あ……あの、私客なんかじゃ……」
「ほらみろ馬央位! お客さん怖がってるじゃねえか」
「いや、だから私……」
客じゃないって。つか、なにが「ほらみろ!」だよ。ウザいのはテメェなんだよ。さらにそのイライラをさらに促進させたのが、お坊ちゃんのこのひとこと。
「も~浮受はバカなんだから。ナギはただの助手だよっ☆」
途端、私の中の理性のイトがふっきれた気がした。
ガッ!!
「ただの助手とはなんじゃああァアアア!! こちとら好きでこんな散歩ムード全開なコトしてんじゃねェんですわ!! 馬央位さんよォ!!」
「……客じゃ、ない?」
「そうですがなにか。てかてめェだれや。あン?」
「馬央位の知り合いの、麻墓浮受だ」
おっと、馬央位さん? 盟友どころか、『友』の一文字も出てきませんでしたが??
「ほんとうに……二人は仲がいいんですか?」
「もっちろん!! じゃなきゃ一緒にお泊まり会したりとかしないもんね☆」
「んなっ! そ、そんなこと断じてない!!」
「えー、したじゃーん。んで、怪談した後『怖くてトイレ行けなーい』とか言……モガッ!」
「これ以上恥さらすんじゃねえぞ。バカが」
え――――と。じゃあ結局仲イイってことなのかな。うん、メンド臭いからそれでいこう。
……中略……
本当に帰り道。なぜか浮受さんも一緒で、馬央位探偵はルンルン。
「ねー浮受ー今度また事件あったら合流しようね!」
「なんだてめェ……まさか一人では解決できる自信が無いのか~。なら仕方ねえ。オレ一人でカタつけてやるよ」
「やったぁ。じゃあ、約束だよ。はい指きりげんまーん」
スッと差し出された馬央位探偵のキレイな小指を見て、浮受さんはぶつくさ言いながらもちゃんと自分の小指を絡めた。
「ウーソつーいたーら、ハーリ千ー本ーのーますっ! 指ーきった!」
ぼきっ
「うがああぁぁぁぁぁあああッッ!! 馬、馬央位、てめ……オレの指に……なにををを!!」
「浮受のその指が完治したころにまた遊びに行くよ。まっててね☆」
「はア?! ふざけんなオイッ! 馬央位!!」
「行こ、ナギ」「あ、ハイ」
浮受さんはその後、かなり辛辣なカオをしてしばらくはこっちをにらんでいたけど、馬央位様は気づいていたかな? そのあと彼が笑顔で手を振り返していたってことに。なんだかんだいって、2人は親友以上盟友未満なのかもしれません。
浮「オレ、麻墓浮受。年齢は奴と一緒。とりあえず、奴よりはオレのほうがモテることは確かだから、ファンレターとかどしどし送ってくれたらうれしいぜ。これからの活躍にキタイ。以上」