スキってこと
二人並んでてくてく歩くと昔を思い出した。
さっき鈴ちゃんが言ってたみたいによくいじめられて泣いてるおれを鈴ちゃんが家までおくってくれた。
あの頃のおれはまだ鈴ちゃんより背も低くて…。
今よりへたれ。
でも今では少しは強くなったって思うよ。
そんなことを考えててやっと気付いた。
いまだ!
今告白すればいいんだ!
まだ家の近くで同じ学校の人も全然歩いてないし人もあんまいない。
こんなに最高のシチュエーションないよ!(おれにとって)
「鈴ちゃん…」
声をかける。
鈴ちゃんは「何?」といっておれをみた。
どきどきする。
いや…どきどきってもんじゃないバクンバクンする。
心臓やばい。
頬やばい。
今多分真っ赤。
鼻血だして倒れちゃいそうなほど熱い。
「あの…おれ」
あ〜〜〜〜!!
どきどきしすぎて中々いえない!!
「?」
鈴ちゃんは少し上目遣い気味でおれをみてくる。
それをみてますますおれの頬は熱くなる。
早く…早くいわなきゃ心臓もたない!
「鈴ちゃんが…鈴ちゃんがすきだよ!」
少し声がうわずった。
でもいえた!!
やっといえた!!
なんか少しすっきりした。
鈴ちゃんの顔をじっとみる。
どんな顔してるかみるのは怖かったけどこらえた。
「リク…本気?」
鈴ちゃんがゆっくりとおれと目線を合わせながらきいてくる。
「…うん…本気」
鈴ちゃんに見られておれの頬は一気に燃え上がった。
恥ずかしくて恥ずかしくて仕方ない。
沈黙が続く。
これはもうだめだと思って目をそらした途端鈴ちゃんは思いっきりおれにだきついた!
「リク!!」
「すっ鈴ちゃん!?」
おれは何がなんだかわかんなくてただただ赤くなっていた。
「嬉しい!私もリクがすき!片思いかと思ってた!」
そういって離れた鈴ちゃんはすっごく可愛くて抱きしめなおしたいくらいだった。
でも一応道の真ん中だし少しは人がいたからやめた。
おれはそんな鈴ちゃんになんて返事していいかわかんなくてしどろもどろしながら自分の気持ちを伝える。
「おれも片想いかと思ってた…。鈴ちゃんがおれのこと好きなんて…信じられない」
そういうと鈴ちゃんは照れ笑いしながら「信じてよ。私リクのこと小さい頃からすきだったんだから」といった。
おれは嬉しくて嬉しくて叫びたいくらい。
勿論我慢したけど。
こんなに上手くいくと思わなかった。
でもうまくいったのは初めだけだった。
どうして世の中ってうまいことばっかじゃないんだろう?
幸せなままいられればいいのに。
リピートできたらいいのに。
幸せな時だけを何度も何度もリピートするんだ。
永遠に…。
それがたとえ作られた幸せであってもおれはそれで満足なんだ。