すきってこと
朝目覚めると気分が落ちてた。
昨日は戒に引っ張りまわされて久しぶりに走ったせいかぐっすり寝れたんだけどな。
今日こそ鈴ちゃんに告白する!
…できるかな…。
問題はタイミングなんだ。
ってか友だちがいたって声かけらんなきゃだめだよね。
おれ情けない…。
よし!きめた!
今日は鈴ちゃんが友だちといても声かける!!
そんでぜーったい告白するんだ!!
失敗したって…そりゃ嫌だけど寂しいけどでも…かまわないんだ。
伝えるってだけでなんか一歩前進できる気がする。
そんなわけで?おれは気合をいれて学校に向かう準備をした。
「いってきます」
そういってドアを閉めると丁度隣からもドアを閉める音が聞こえた。
まさか…?
もしかして…!
心臓が馬鹿みたいにはねあがってる。
壊れたみたい。
目はずっと斜め前に釘付け。
何か恐ろしいものをみたみたいに。
そんで少し汗もかいてきて。
体は完全に硬直してる。
足音が聞こえる。
そしておれの視界に君は入る。
それは拒めないことで、嬉しいんだけどとても切ない気持ちになるわけで、そんで…
おれの心臓はもう爆発寸前なんだ。
「あれ?おはよ」
可愛い声。
おれをみてる。
鈴ちゃんだ。
「お…おはよ」
おれは挨拶だけで精一杯になっちゃった。
「どうしたの?なーんか元気ないじゃない。また誰かにいじめられた?」
鈴ちゃんがおれの顔を覗き込む。
「や…その…」
しどろもどろ視ながら気付いた。
「…鈴ちゃん何気に今馬鹿にしたでしょ。もういじめられてないよ〜!」
おれがそういってふくれると鈴ちゃんは「ごめんごめん」と笑いながらおれの頭を少し背伸びしてぽんっと叩いた。
それだけでおれはどれだけどきどきしてんのか鈴ちゃんはわかってないんだろうな。
「昔はよく泣いてたよね。で、私が助けてあげるの」
そう鈴ちゃんは笑った。
でもおれは正直笑えなかった。
鈴ちゃんにかばってもらってただなって過去…あんま良いもんじゃない。
「そうですねー…」
おれは少し暗めにそういった。
そんなおれを鈴ちゃんはみてないみたいでふ〜っと息をはくと静かに言った。
「私がいないとリクは駄目ね」
その言葉に不覚にもどきっとしちゃうんだけど、どっちかといえばその台詞おれが鈴ちゃんにいいたかった。
「今はそんなことないよ」
そうおれが言うと鈴ちゃんは少し寂しそうな顔をして「…確かにそうだね」といった。
なんでそんな顔するの?
それから少し沈黙が続いた。