スキってこと
昼ごはんを食べてる間はおれも戒もずっと黙ってた。
ただ黙々とパンをかさかさあける音や食べる時の音が聞こえるだけ。
それから風の音。
草がさわさわ揺れてすごく平和を感じた。
ご飯も食べおわるとなんだか眠くなってきた。
気温今日あったかいし。
ぽかぽかしてる。
おれがあくびすると戒はにこっと笑った。
そんでベンチのほうを指すと「あっちいこ」といった。
ブランコよりベンチのほうが断然楽だった。
よしかかれるし。
「あ〜…眠くなってきた」
そうおれが言うと戒は「ねたら?」っていった。
そういわれても…。
「ねたら?って…。ねれないよ。こんなとこじゃ。それに学校もどんなきゃ」
「心配性だな〜。6時間目までにもどりゃいいよ」
そういって戒はあくびしてのびをした。
ま…予想してたけど。
授業サボるって事くらい。
横をみると戒は腕組をして寝てた。
おれ一人じゃん。
そんなふうに思いながら公園を見渡す。
ブランコは風にゆれてこどもはお昼でだれもいない。
まさに無人。
草はゆれてるしシーンとしてる。
気持ち良い。
あ〜…眠くなってきた。
いつも授業中5時間目って絶対ねちゃうんだよな〜。
あ〜…もお駄目…。
瞼がとろんとして目を開けようって頑張っても頑張っても閉じてくる。
そして真っ暗。
夢の中…。
やがてリクは深い眠りについていった。
寝てたと思ってた戒が起きてたなんてしらずに…。
「モーモ。モモ〜?」
そういいながら戒はリクの前に手をひらひらさせる。
「…ねちゃったんだぁ」
そういって優しく笑う。
「あ〜あ。モモは知らないよな〜。俺がどんな気持ちなんかなんてさー」
そういってわしゃわしゃとリクの頭を乱暴に、それでいて優しく撫でた。
そうしたらリクが笑った。
にこっと。
それをみて戒は少し赤くなる。
「可愛い顔しちゃってさ…。どーせ愛しの鈴ちゃんのことでもおもってんだろ」
そうぽそっといってぽんっと軽くリクの頭を叩いてやった。
切なすぎた。
色々な疑問が頭の中を交差している。
最終的に戒はリクの寝顔をみながら強く強くただ一つのことだけを考えた。
なんでこいつなんだろう?
「んー…」
とろんと目を開けると外は少し寒かった。
だけど不思議と肩から下はまだあったかい。
ぱっちり目をあけてみるとそこには自分のものではない学ランがかかっていた。
隣をみると戒は学ランの上をきていなかった。
そして空を見てもう夕方なことに気付く。
起きたおれを公園に再び集まり今帰ろうとしてるこどもとその母親達がみてた。
言いたいことはわかる。
サボり?
ってこと。
でもそんな目に構ってる暇はなかった。
戒を起こさなきゃ!
戒はねてる。
「戒!戒!おきて!」
ゆさぶると戒はとろん(というよりもうどろんとした状態)と目をあけてまじまじとおれをみた。
「なんか…すっげーいいかも〜…このシチュエーション…」
そういってにへらと笑った戒はまた眠りについた。
わけがわからない。
完全に寝ぼけてる。
「かーーーーいーーー!!!」
耳元で叫んでやった。
「わっ!?」
といって戒が飛び上がるようにして起きた。
「なになに!??」
きょろきょろとあたりを見渡す戒はなんだか滑稽だった。
そしておれにきづいた。
「あ、俺ねてた?」
そういった戒の顔は気まずそうな笑顔だった。
そんな戒に学ランを頭からかけてやる。
「!?」
戒は慌てて学ランを頭からはずした。
不意打ちだったからかなり驚いたみたいだ。
「ありがと」
おれがそうお礼をいうと戒は満足そうに微笑んだ。
そこからはゆっくりしていられなかった。
とにかく走んなきゃ!
鈴ちゃんのとこまで。