スキってこと
「久しぶりにブランコこいだ〜!すんげぇ気持いい♪」
戒は笑顔でブランコこいでる。
そんな戒をみて自由だなって思った。
そんでいつも自信満々な戒。
本当おれとは正反対。
「あ〜あ。なんか戒が羨ましい」
口にだす気はなかったけどついだしてしまった。
いってからちょっと後悔。
なんか恥ずかしい。
「いきなりどーしたの?」
戒が地面に足をついてブランコをとめる。
「ん〜自由で自信満々でさ。おれには真似できない」
そういって少し恨めし気に戒をみると戒は少し嬉しそうだった。
「俺のそういうとこが好きってこと?モモは」
戒がそうきいてきたのに対しておれは少しびっくりした。
ストレートすぎる。
すきってなんか…言い方が本当ストレート。
戒がモテる一因でもあるんだろうけど。
「うん…まあ羨ましい」
すきっていうのも気持悪いと思ったから羨ましいにしといた。
「ふ〜ん…ありがと♪俺もモモの努力家なとこ好きだね」
そういってにこっと笑う戒におれは恥ずかしくなる。
「戒ってストレート…」
そうぼそっといったおれの言葉は戒には届かなかったらしく戒は口笛を吹きながらまたブランコをこぎはじめた。
「で、俺になんか用あったの?モモちゃんは〜〜♪」
戒はかなりごきげんだったみたいでご飯も食べないでブランコをこぎ続けている。
まあ学校をぬけだすなんてスリル満点で楽しいことそうないわけだけど。
なんかこんなに機嫌良い戒に鈴ちゃんのことを話して良いのか迷った。
昨日反応微妙だったからな…。
でもなんか相談したんだから結果言ったほうがいいのかなって思うし。
ちらっと戒をみると戒はブランコをとめておれのほうに身を乗り出してきた。
「なになに?真剣な話?」
そういう戒の目にはなんか光がみえた。
期待してるような目。
でも何を?
「うん…。あのさ、昨日の話の続きなんだけどね」
そう言うと戒は一瞬考えてから顔を曇らせた。
「ああ。愛しの鈴ちゃんのね」
そう少しいやみっぽく言うとまたブランコを漕ぎ出す。
今思った。
まさか戒は鈴ちゃんがすき?
「戒って鈴ちゃんがすきなの?」
おそるおそるきいてみると戒は即答した。
「まさか」
しかも驚いたような顔で。
「そっか」
そういって笑顔になるおれ。
戒はそんなおれをみてますますブランコの速度をあげた。
「戒、話きいてくれるの?」
そうおれがきいても戒は答えてくれない。
なんで?
おれなんか言ったっけ?
「あ、戒って鈴ちゃん嫌い?」
もう思い当たることったらこれしかない。
その質問には答えてくれた。
「嫌い」
なんかショックだった。
戒ってあんま人嫌いにならないと思ってた。
戒に嫌いな人がいるなんて。
それもおれの好きな鈴ちゃん。
「鈴ちゃんと話したことあるの?」
そうきくとブランコをこぎながらあっけらかんと答える。
「ないよ」
ないならなんで?
戒わけわかんない。
「じゃあなんでさ?」
そうきくと戒はいきなりブランコから飛び降りた。
「…絶対に俺が望んだって手に入んないもの、らくらく手に入れたから」
そういって戒は仏頂面でおれをみる。
「…なにそれ?わけわかんないよ…」
おれがそういって戒をみると戒は少し困ったような顔をした。
それから「なんてね♪」といってにひっと笑った。
ますますわけわかんない。
「戒…変だ」
そういうと戒は悟ったみたいに頷いた。
「うん…。変なんだよ。俺。ありえねーんだ。モモそれ知ったらもう二度と俺とは関わってくんないってくらい俺変なの。でもモモは優しいから友達でいてくれるかもね」
そういって急にうつ病にでもなったかのようにしょげる。
戒は空をみてた。
「…変だよ。元気ない戒なんて。変」
そういうと戒はこっちもむかずに話し始めた。
「俺にだって元気でいられないくらいショックなことがあるんだよ。モモ」
なんか怒られてる気分だった。
「どうしたの?」
そうきくと戒はただ静かに首を振った。
「なんでもないんだよ。ちょっと考え事」
戒はそういって伸びをすると「昼飯たべよ!」といってやっとこっちを向いた。