召喚事故と二人の聖女 1-1
【ある国の、ある儀式】
それは、五十年に一度の祭事だったらしい。異世界から「聖女」を呼び寄せるための、国を挙げた召喚の儀式。本来であれば、選ばれるのはたった一人のはずだった。
けれど、その日。儀式の最中に、地震が起きた。
大地が揺れ、祭壇に置かれていた聖水が床へとこぼれ落ちる。魔法陣の一部が、歪む。
その瞬間、光が暴走し、足元の床が大きく揺れていた。
「ちょ、ちょっと!? 今の何!?」
誰かの悲鳴と同時に、足元の魔法陣が異様に強く光る。眩しい。視界が白に塗りつぶされる。
光が収まり、その場にいた者たちが目を開けたとき、そこには見知らぬ娘が立っていたという。
【同じ瞬間、ある教室】
そのころ、私は教室にいた。ふいに、足元の床が大きく揺れる。ただの地震だと思った瞬間、違うと悟った。世界そのものが、ぐらりと傾いた気がした。
「ちょ、ちょっと!? 今の何!?」
【ある儀式、再び】
「アクシデントがあったが……成功、だ」
「聖女様が降臨なされたぞ!」
ざわめき。歓声。ひざまずく人たち。
気がつくと、私はその輪の中心に立っていた。見知らぬ石造りの大広間。頭が、追いつかない。状況を理解するより先に、目の前の光景だけが流れ込んでいる。それでも、頭の片隅だけは、妙に冷静だった。
……なるほど。
「これは……異世界召喚……ってことかしら」
思わず呟くと、隣から声が返ってきた。
「だね」
ん?
「朱里?」
「実里?」
同時に顔を見合わせる。そこにいたのは、間違いなく高校で同級生の朱里だった。
「なんで一緒にいるの?」
「それ、こっちが聞きたいんだけど……」
周りでは、いまだ歓声と祈りの声が入り混じってる。状況はまるでわからないけれど、軽く苦笑する。こんな状況でも、明るくて頼りになる親友が隣にいるというだけで、なんだか心が軽くなる。
※名前の読みです
実里
朱里
ややこしくてすみません…!




