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エピローグ 「塔の最上階にて」
少女たちが塔を出ていくのを、最上階から眺めていた者がいた。
“時計の主”と呼ばれる存在。
その姿ははっきりとはせず、輪郭も色も曖昧な影のようなものだった。
「彼女たちは帰った」
そう言って笑った。
「でもそれでいい」
「名前は、自分で掴み取るものだから」
少女たちが“還った先”――それは“塔の記憶”ではなく、“彼女たち自身の未来”だった。
そして塔は、また新たな階層を用意し始める。
別の記憶。別の問い。別の名前を持つ者たちを迎えるために。
――物語は続いていく。




