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拍動の終わり

鳥居の前で、全員が動きを止めた。

音はすべて遮断されていた。雨も風もない。拍動だけが自分の体内で刻まれている。


一回。

心臓が跳ねる。意識が研ぎ澄まされていく。鳥居の向こうの黒い靄が濃くなる。


二回。

空気が薄くなった気がした。喉の奥に鉄の味が広がる。

鏡の男が鏡を取り出し、その像を確認しようとする。鏡の中は完全な“無”だった。


三回。

最後の鼓動と共に――誰かの声が耳元で聞こえた。


――「もう帰れないよ」


少女が息を飲む。

声は彼女のすぐ背後にいた誰かではなく、**“自分の中”に潜む誰か**だった。


次の瞬間。

空間がぐらりと傾いた。


黒い鳥居が突然“内側”へ吸い込まれるように倒れはじめ、その奥にあったはずの暗黒がこちらへ流れ込んできた。影が波となり、全員を飲み込む。



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