19/26
4:15
谷SAを出て、食い潰した余裕時分を回復するべく制限速度ジャストの等速走行を続けた甲斐あり、2回目かつ最後の休憩地、県南SAには定刻通り到着出来た。
車両点検を終えると、改めて降車予定を確認する。
10列目の方は県民会館前、ぬいぐるみの方は市駅前、今日は大波止が多いな、フェリーの出港日か、などと考えながら、降車に時間がかかることを見越して県南SAを5分早めに出発する。
サイドミラー越しに東の空が白んでゆく。
静まり返った客室を背負い、この景色を愛でる時間こそ、この仕事の醍醐味である。
我々が、それぞれのお客様の乗車理由やご事情を知る機会は少ない。
明らかな行楽客を除いて、その事情は推測するほかない。
いや、行楽客であっても、ネガティブな事情を抱えて「夜行バス」を選択している可能性は少なくないのである。
我々にできることはただ「目的地に無事に送り届ける」こと。そして、その時間がせめて快適であるよう努めること。
そのために全力を尽くすことの「正しさ」を、薄明の空が肯定してくれている気がする。
そんな感傷に浸っているうちに空は随分と青みを増し、高速出口まで2kmを示す案内看板が上空を飛び去った。




