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谷SAにはほぼ当初の目論見通り到着した。
峠を下りきったドライブインを過ぎると、雨は嘘のように上がり、いまは高度7000m程のところに薄い巻雲が流れている。
車内巡視に行くと、ほとんどのお客様は寝ていて、休憩に降りたのは数名だった。
ふと、プレミアム会員のおじさまがコーヒーを差し入れてくださった。
「今日はいつものSAじゃないんだねぇ。」
さすが常連様である。
手抜きは出来ないなと背筋を伸ばしながら、通行止で一般道に迂回していたことを説明する。
「そうだったの!ウトウトしてて分かんなかったよ!雨ん中大変だったね。」
そう言って軽い足取りで車内へ戻っていった。
出発前の車内巡視で通路に転がり落ちたぬいぐるみを拾い上げ、トランクで預かる旨の書き置きを残し、谷SAを定刻逆算7分遅れで出発した。
コーヒーの香りが鼻腔を漂い、
西の空に夏の大三角が沈んでゆく。




